" あいときぼうのまち "
監督 菅乃廣
出演 夏樹陽子 *西山愛子
勝野洋
千葉美紅
黒田耕平
大池容子 *草野愛子
里見瑤子
あらすじ、ネタバレ御免
1945年、福島県の石川町では
原子爆弾に使用するウランの採掘が行われた
作業に動員されたのは、学徒動員された
旧制中学の約80名の生徒たち
約12万人が関わった
アメリカの原子爆弾・マンハッタン計画には
遠く及ばないスケールだった
高度成長に沸く日本列島の中で
福島県の浜通り地区は、産業化が遅れていた
林業は衰退し、農業は冬場の出稼ぎが必須だった
1958、原子力発電所の本格的な誘致を開始
1966、東海発電所が稼働開始
1967、福島第一原子力発電所の建設を着工(1971年稼働)
(日本で4番目の原子力発電所)
1975、福島第二原子力発電所の建設を着工(1982年稼働)
2011年3月
福島第一原子力発電所の1号機、3号機が爆発
***
福島県 双葉郡 1966
スナックに勤め仕事をサボってたばこを吸う草野愛子(16歳)
客には原子力発電所に田圃売った成金が大勢
彼女の父は原子力発電所には田圃を売らない
だから?彼女の母ちゃんは逃げた
*
東京 2012
南相馬市に住んでた西山美紅(14歳)
原子力発電所が爆発したので東京に来て体を売っている
祖母愛子は津波で死んだ
*
福島県 石川町 1945
4月に理研希元素工業扶桑第八○六工場が創設され
ウランの採掘を行う旧制中学の約80名の生徒
*
福島県 南相馬市 2011
ネットでニュースを見る西山愛子(61歳)
孫の美紅(13歳)にFacebookを教わる
*
福島県 双葉郡 1966
新聞販売店で働く草野愛子
父は原子力発電所反対派
愛子も原子力発電所反対
賛成派の奥村洋とは付き合えない
*
福島県 双葉郡 2011
病院で意識不明の息子を見舞う奥村洋
*
福島県 双葉郡 1966
草野愛子 帰宅
父は昼間からやけ酒飲んでる
田圃は一反(300坪)100万円 畑は70万
みんな補償金に飛びついた
もう駄目 負けた
*
福島県 石川町 1945
採掘へ向かう旧制中学の生徒草野英雄と母瑤子
1人暮らしで不自由している加藤大尉の為の弁当を渡す
*
東京 2012
西山美紅は FUKUSHIMA募金を集める黒田と知り合う
1日立って 集まるお金はラーメン二杯分
1年経って みんな地震の事も原子力発電所の事も忘れる
黒田は それを思い出させる為に立っている
集めたお金は自分で使う
*
福島県 南相馬市 2011
西山愛子と美紅は家族と鍋を突つく
愛子は結構する前 反原子力発電所運動の闘士だった
夫(出来ちゃった婚)もゲバ棒持って機動隊と戦ってた
愛子はFacebookで奥村洋を検索
*
福島県 双葉郡 2011
奥村洋の息子は死んだ
裁判はどうする この子の遺言
原子力発電所で働く事の危険性を訴えてくれ
でも
発癌と放射能被曝の因果関係の立証は難しい
負けたら 元も子もない
*
福島県 石川町 1945
夫が名誉の死を遂げた草野瑤子は加藤大尉と密会
加藤大尉の妻子は東京にいる
戦争が終われば加藤大尉は東京に帰る
*
福島県 双葉郡 1966
福島第二原子力発電所建設予定地も
すでに東京電力のもの
*
東京 2012
西山美紅は黒田の横に立ち募金を集める
私は津波と原発で、家族と故郷を失いました
なのに、がんばれがんばれと言われ、深く傷つきました
避難所の死体安置所で死体が見つかった人はいい
地震の次の日には原子力発電所が爆発して
避難所を追い出され死体すら探せない
家族も家も津波で流されて
知らない町の避難所で放射能測定の為
雪の降る中2時間待たされて
テレビではがんばれがんばれって言うけど
何をがんばればいいの?
東京の親戚も親切なのは最初だけ
結局 人間は ひとり
*
福島県 双葉郡 1966
東京電力が説得に来る
この辺りで原子力発電所反対で頑張ってるのは草野愛子の父だけ
土地だけで4,000万円 それに補償金
国からの交付金 東電から税金 電気代もタダになる
損になる話じゃない
それに 原子力は日本の発展の為にどうしても必要
愛子の父は東京電力の話を信じない
原子力発電所が安全なわけ無い
*
福島県 石川町 1945
新型爆弾が作れれば戦争に勝てる
ウランはなかなか集まらない
加藤大尉は上官から怒られる
*
福島県 南相馬市 2011
西山愛子は奥村洋と会う
45年振りの元恋人
洋の息子は福島第一原子力発電所の安全管理課に勤めいて
放射能を大量に浴びて 死んだ
洋が裁判を起こさないので妻は出て行った
洋は その東京電力に定年まで40年も勤めた
*
福島県 双葉郡 1966
原子力発電所反対派の草野愛子は新聞配達店をクビになる
賛成派からの嫌がらせが色々で店長も不本意だが
*
東京 2012
黒田は西山美紅と中華飯店で食事
地震
然程大きくないが美紅は泣いて動けなくなる
黒田はネット難民になって
いい仕事があると紹介されて福島の原子力発電所で働いた
被曝を気にしなきゃいい仕事
そんなパッパラパーがいるから原子力発電所は止まらない
*
福島県 石川町 1945
試算では
53万tの鉱石の採掘すれば 新型爆弾を作れる
でも
5月25日の空襲で ウラン分離工場は灰になった
それでもウランの採掘はやめない
駄目と分かっていてもやめない
それが日本という国
*
福島県 双葉郡 1966
草野愛子の父は遂に田畑を売る
愛子の父草野英雄は
加藤大尉から国のやることは信じるなと教えて貰った
草野英雄は自殺する
*
1945
広島に原子力爆弾が落とされる
日本は戦争に負ける
草野瑤子は自殺する
*
福島県 南相馬市 2011
西山愛子は奥村洋と会う
愛子の旧姓は草野
愛子と洋は海岸でデート
地震
西山愛子と洋は走って高台に逃げる
逃げ遅れは婆さんを助ける
*
2012
西山美紅は黒田の車で南相馬市へ帰る
建物はほぼ全て流された
美紅の家も流された
ガイガーカウンター レンタル1日1500円
裏の神社34.78
東京に帰る
南相馬は真っ暗なのに東京は事故を忘れて明るくなってゆく
黒田は美紅が神社で集めた枯葉を
ビルの屋上から捲く
原子力は明るい未来のエネルギー???
何度でも 何度でも 言うよ
日本では まだ原子力発電所を動かしちゃいけない
事故が怖いから
だけ じゃなく
日本には
放射性廃棄物を10万年保管出来る場所がないから
子供の頃 鉄腕アトム を見て想像した
原子の力って
こんな事だったの??
原子の力って
ただ発熱するだけの
巨大湯沸かし器だったの??
その火を飛び越して来い
その火を飛び越して来たら...
放射能を浴びて
2014年 日本映画 126分
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