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監督 リー・タマホリ
原作 フィリップ・K・ディック
出演 ニコラス・ケイジ
ジュリアン・ムーア
ジェシカ・ビール
トーマス・クレッチマン
ピーター・フォーク
ダイナーでマティニを飲むケイジ
8時9分
今日も彼女は現れない
ケイジはベガスの売れないマジシャン
通称"未来が分かる男"
客席から彼を見つめる
ジュリアンと彼女の相棒
ケイジのマジックはちゃちだが
彼は本当に未来が見える
そんな事は人に言えない
ギャンブルでは少しだけ勝つ
大勝ちで目立ったりはしない
未来は見るたびに変わる
今を変えればそのたびに変わる
不都合な未来は変えられる
ロシアで10ktの核爆弾が消えた
既に5週間が経っている
FBI捜査官ジュリアンは
ケイジの能力を2ヵ月前に見抜いた
それから彼をマークしていた
彼は核爆弾捜査に使える
ケイジが唯一心を許す老人
車の修理工ピーター
車を盗み逃げ込むのは彼の修理工場兼自宅
自分の能力も打ち明けられる
見えるのは自分の2分間先だけ
しかし
彼女に関してだけは違う
彼女の未来は2分を超えて見えた
彼女はダイナーに8時9分に現れる
今日か明日か10年後か
ジュリアンはピーターの修理工場を突き止める
ケイジと接触
核爆弾が米国内に持ち込まれた恐れがある
使う場所を見通して欲しい
捜査に強力しなければ窃盗罪で逮捕
ジュリアンが接触する2分前
ケイジは逃げる
ダイナーでマティニを飲むケイジ
8時9分
入り口のドアを開けるジェシカ
彼女はケイジの横を通り過ぎ
奥の席に座る
どう話しかける?
何通りも試す
未来をシュミレートする
ジュリアンはケイジを探す
2分だけ先が読めるちんけな男に何が出来る?
彼女はケイジの能力を買いかぶっている?
核爆弾はアメリカに運び込まれる
2年がかりの計画に失敗は許されない
犯人たちに湧いた心配の種
FBIが探す男は本当に未来が見えるのか?
計画の遂行を邪魔する存在か?・・・
フィリップ・K・ディックの原作映画では
原作とかけ離れたものがちょくちょくある
この映画も
原作 フィリップ・K・ディック
とはなっているが
アイディアを少しもらっただけ
原作の主人公は
厳密には人間ではない
黄金の産毛に覆われたミュータント
原作の主人公は
神のように荘厳な容姿の持ち主
その類い稀なる容姿から
女性をとりこにする
原作の主人公は
読める未来が2分とは限定されていない
先に進めば進むほど
不確定要素が多くなるので
読みがぼやけるだけ
原作では
犯罪捜査に協力はしない
逆に警察から追われる側
警察に捕まって
逃げるまでの話
映画で
こんなちんけな能力の男を
国家的危機の犯罪捜査のために
血眼で探す設定には
かなり無理がある
こんなちんけな能力では
事件の解決の役に立たない
なので
彼の能力は突然進化し
2分の制限がなくなる
原作フィリップ・K・ディックをうたうのは
原作への冒涜に近い
2分先が読めるだけでも
細かい危機は避けられる
山で足を滑らせるとか
キスしようとして殴られるとか
でも
人間万事塞翁が馬
その危機を避けたところで
将来の幸福につながるかどうかは
別問題
未来なんか見たくない
驚きがなくちゃ人生じゃないもの
2007年 アメリカ映画 96分 制作費7,000万ドル
未来を読むのは
囲碁とかで手を読むのに似てる
ちょっと慣れれば3手先は読める
先へ行けば行くほど枝分かれが多くなり
5手先7手先段々ぼやけて来る
その中から最善手を探す能力が
棋力の上下を別ける
プロは20手以上を
一目で読むと言うから
要は訓練だが
結局最善手を知るのは神のみ
読みより勘が勝こともある
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