「 股旅 」 | 0・・映画toほげほげ

0・・映画toほげほげ

   
  
♪ ほげほげたらたらほげたらポン ほげほげたらたらほげたらピー ♪
★映画のほげほげ等、気まぐれ備忘録★

  " 股旅 "


監督 市川崑
脚本 谷川俊太郎
音楽 久里子亭
出演 萩原健一
   小倉一郎
   尾藤イサオ
   井上れい子
   常田富士男


天保十四年
番亀一家の門に立つ三人の若い渡世人

 渡世人は
 刀は差しているが武士ではなく
 元は百姓や町人であったが多くの者は戸籍から外れ
 いわゆる無宿人として
 賭博とそれをめぐる種々のけちな犯罪によって
 生計を得ていた

 渡世人の世界には
 結束を守る為の様々なうるさい仕来りがあり
 仁義と呼ばれる挨拶もその一つであった

これにて御引き合いを願げぇします
 さぁ、御付きなせぇ
どうおつかまりましてこれにて御引き合いを願げぇします
 御付きなせぇやんす
これにて御引き合いを願げぇします
 御付きなせぇやんす
再三のお言葉に従ぇやして、御免を被りやす
 さぁ、お開きなせぇやんしたら、御控ぇなせぇ
どぉつかまつりまして今は未熟なやつがれでごぜえます
 てめえとても未熟者でがんす、御控ぇなせぇ
御控えなさい
 御控ぇなせぇ
御控えなさい
 御控ぇなせぇ
御控えなさい
 御控ぇなせぇ
左様に仰せ下せぇましては仁義になりません
是非ともだなも、御控ぇお願い申し上げます
 はぁ、逆位とは存じやんすが再三のお言葉に従いやんして
 控えさして頂きやんす、ごめんなせぇ
さっそく御控ぇ下さぁまして ありがとうござぁます
向かい合いまする上さんとは お初にござんす
従ぁましてやつがれ生国は美濃の国は・・・・・
姓名発しやするを許しを被りやす、イサオとしゅうしやす・・・
行く末万端宜しく御頼申しやす
 はぁ御念の入ぇた御言葉に申し遅れやんして・・・

この後、心付けに手拭いを渡し
形だけ受け取ってすぐ返し一人目終わり

続いて二人目
・・・お控えなさい
 お控ぇなせぇ
お控えなさい
 お控ぇなせぇ
お控えなさい
 お控ぇなせぇ・・・
てめえ生国と発しやすは信州犀の河原を・・・
名前の義は一郎と発しやして・・・

三人目は健一
三人目ともなれば受ける方も疲れる
 仁義の義、略させて頂きやんす

草鞋を脱いで、足をすすいで座敷に上がり
道中合羽、脚絆などを型通りに畳み、お茶を頂く
 お茶を飲むのは、その家の為に働く証となる

旅人は飯は必ず二杯食べねばならない
 一角の親分の所なら白米を山盛り盛る
二杯食べ切れない時は
真ん中だけ少し食べ、足してもらい二杯とするのが作法

ここは落ち目の親分
飯は粥で、二杯食べてもまだ空腹

夜、部屋をあてがわれる
三人は最近会ったばかり、世間話を始める
どこそこの親分は偉いとか子分が多いとか

旅人は着の身着のままで寝る
長どすは抱いて寝る

仁義を受けてもらえさえすれば
食事と寝床と僅かだが草鞋銭にありつけた

その夜
隣村の貸元が殴り込みに来る
一宿一飯の恩義三人は助っ人を引き受ける

そして
日が変わって場所が変わっても
同じく
御控えなさい
出入りがあれば助っ人

博徒達は一対一の対決を避ける
どちらかが死ななければ終わらない事が多いから
正面からぶつかり数回長どすを合わせると
逃げるのではなく別の闘争に切り込む

そんなある日
とある貸元で一郎は偶然父と出会う・・・


  渡世人は地方出身者が多いので
  訛がひどい


 テレビドラマ「木枯らし紋次郎」の監督
 市川崑が描く無名の渡世人の生活

 ここに英雄はいない
 泥にまみれて這い回る人々がいる


 谷川俊太郎の脚本は
 時代考証を忠実に行い
 等身大の人間を浮き彫りにする


  犬死にするまて
  旅は続く


 $0・・映画toほげほげ-股旅


1973年 日本映画 96分