
第25回東京国際映画祭で最高賞の東京桜グランプリと最優秀監督賞の二冠に輝いたロレーヌ レヴィ監督の「もうひとりの息子」を観てきました。
出生児に取り違えられた子供の話です。
自分の子供だと信じ愛し育てた息子が18年後、他人だったと知る。
出産の際、湾岸戦争の混乱で赤ちゃんの取り違えが起きてしまった。双方の家族はお互いに敵として憎しみあっているイスラエルのユダヤ人と占領下のパレスチナ自治区に住むパレスチナ人。
宗教、文化、政治、戦争、憎しみを背景に愛のもとに壁を隔てたふたつの家族が互いに模索し合う。
愛と希望の映画だった。
あるシーンで聞いた歌が耳に残った。
それまでユダヤ人としてテルアビブで暮らす主人公の青年がパレスチナ自治区に住む本当の家族に初めて会いに行く。
食卓を囲みながらぎこちない会話を続けるが、言葉が違うのでなかなか上手く行かない。
そんな時、青年は突然歌い出す。
パレスチナの童謡だ。
レコードを聴きながらの耳で覚えたパレスチナの歌を歌い始めると、パレスチナの母、兄、妹、父も一緒に歌いだす。
言葉は通じなくても、様々な障壁を歌の力で軽々と乗り越え、心がひとつになった瞬間だった。
音楽の持つ力、歌の持つ力を感じた瞬間だった。
癒し、愛、魂の記憶、そんなもの全てが歌のなかにある。
映画にラストシーンはあったが、私たちの誰もが知っている。
物語は続く。
愛と希望の物語は続くと。


