先日、茨城県の公立中高一貫校の選抜検査が行われました。
県内では公立中高一貫校の開校が相次ぎ、受検者の動向が注目されていましたが、今年の受検者総数は県全体で2,422人でした。
昨年と比較すると750人増(45%増)です
今春の新設校(水戸第一、土浦第一、勝田)の受検者数が803人なので、受検者増はこの3校の開校が大きく影響しています。
最近の受検者数の推移をグラフにしてみました。
2018年、2019年とほぼ一定であった受検者数が、2020年から急激に増加し、この2年間で2倍以上に増加しています。
県内の小学6年生の数は24,302人(令和2年5月1日時点)であることから、今回の入学者選抜には、県内の6年生の約10%が受検したことになります
県立トップ校の選抜状況(受検者数、倍率)を書きますと、、、
■水戸第一(361人、4.51倍)
■土浦第一(261人、3.26倍)
合計すると受検者数は622人。平均倍率は3.89倍。
以前に書きましたが、茨城の公立中高一貫校の辞退率は5%前後と推測され、隣接する千葉(辞退率50%と推測)と比べて、追加合格が圧倒的に少ない特徴があります。
その理由として、茨城は公立伝統校の人気が高い土地柄であることに加え、入学確約書を提出するスケジュールが早く、都内私立中との併願が不可能であること等が挙げられます。
こうした事情を勘案すると、3.89倍という倍率はかなり厳しいものと考えられます
一方、昨年の高校入試の状況はどうだったのでしょうか。
2020年の入試結果(受検者数、倍率)を以下に示します。
■水戸第一(497人、1.53倍)
■土浦第一(409人、1.28倍)
合計すると受検者数は906人。平均倍率は1.42倍。
試験範囲が明確で対策がしやすい公立高校の入試に対し、適性検査は毎年出題傾向が変わり、問題との相性が大きく影響すると言われる公立中高一貫校の受検。
高校入試と比べて倍率の高さだけではなく、対策がしにくいという意味でも、公立中高一貫校の難易度は高い
次に、中学の受検者数を、高校の受検者数で割ってみます。
■水戸第一 361/497=0.73 → 73%
■土浦第一 261/409=0.64 → 64%
この数字は一体何を意味しているのか
これまで茨城県内では、成績トップ層は公立中から県立トップ高に進学するケースがほとんどでしたが、県立トップ校の中高一貫化によって状況は一変し、県内の成績トップ層の60~70%が公立中高一貫校を受けている可能性が高いということです
ただ公立中高一貫校の入学者選抜の競争が激化したといっても、私立中とは異なり、県外からの参戦はほとんどないため、県内のライバルと競っているという意味では、高校入試と何ら変わらないことになります。
県立トップ校の中高一貫化は、成績トップ層を早期に競わせることで、公立・私立問わず、県内の教育環境に大きな刺激を与え、県全体の学力向上を目指した改革といえるのかもしれません
【ご参考】
県立トップ校の中高一貫化は、県内私立中の入試に大きな影響を与えています。
例えば・・・
・土浦日大(適性検査型入試-ISAT)の応募者増(28%増)
・常総学院(適性検査型入試)の応募者増(38%増)
・江戸取の適性検査型入試の新設 ← 1/17(日) 実施予定
・茗溪学園のアカデミアコースの新設