ご存じの方も多いかもしれませんが、
茨城県内では県立中高一貫校がこの2、3年で相次いで開校しました(下記参照)。
【令和2年度開校】
太田第一、鉾田第一、鹿島、竜ヶ崎第一、下館第一
【令和3年度開校】
水戸第一、土浦第一、勝田
【令和4年度開校】
下妻第一、水海道第一
○○第一という名前の学校は伝統校が多いと思いますが、特に、県立トップ校である水戸第一と土浦第一が中高一貫化されるというニュースが、数年前に流れたときには、受験関係者に衝撃を持って受け止められました。
県内の進学塾は急遽、県立中高一貫校の適性検査対策コースの開講に追われ、また受験生(特にトップ層)は進路選択を早期に決断しなければならなくなりました。
というのも、県立トップ校に附属中が開校すれば、高校での募集人数は大きく減ることになり、また高校から入学した場合でも、(先取り教育を受けるであろう)内部生との学力差が生じるのではと懸念されたためです。
県立中高一貫校の開校は、県内の私立中にも大きな影響を与えており、適性検査型入試を行う私立中が増えています。
一例として、常総学院中(茨城県土浦市)の適性検査型入試の応募者数の推移(2018年度~2022年度)を見てみましょう。
常総学院中の適性検査型入試は、県立中高一貫校の選抜と同様の形式で行われるのが大きな特徴であり、県立の予行練習として定評があります(学校側もその点を強くアピールしていると思います)。
上のグラフを見ると、ここ数年、県立中高一貫校の開校ラッシュに合わせる形で応募者数が急増し、先日行われた2022年度入試の応募者数は、2018年と比較すると、3倍以上にもなっていることがわかります。
常総学院中の入試には、公立とは異なり受験料が2万円かかりますが、応募者が急増している理由としては、県立中高一貫校への入学を強く志願する受験生(本気の受験生)が増えているためではないかと思います。
そのほか、県内で注目すべき動きとして挙げられるのが、江戸取中の適性検査型入試です。
適性検査型入試は、昨年初めて導入されたもので、初年度は113名の応募がありました。
入試結果をまとめておきます。
【2021年適性型入試結果】
応募者:113名
受験者:112名
合格者:50名
東大コース:11名(※A特待1名)
医科コース:11名(※A特待2名)
難関大コース:16名(※B特待2名)
難関大スライド:12名
昨年の適性型入試は、県立中高一貫校の入学者選抜の8日後に行われましたが、今年の入試は1月6日(県立中高一貫校の2日前)に変更されました。
入試日の変更により、県立中高一貫校の併願校として、応募者数の増加が予想されており、学校ホームページによると、現時点での応募者数は215名(12月24日(金)16時現在)であり、ほぼ倍増の勢いです。
江戸取中が適性検査型入試を導入した背景には、県立中高一貫校の相次ぐ開校で活性化している茨城県内の受験事情があり、特に成績優秀層の取り込みを図ったものと推測されます。
娘が当時通っていた塾の入試説明会では、茨城県の公立中高一貫校の入学者選抜は、入試問題が変われば、合格者の3分の1は入れ替わると話していた記憶があります。
受験生の実力が拮抗していることに加えて、その年によって出題傾向が大きく変わったり、適性検査の性質上、私立中入試と比べて受験対策がしにくいことが理由に挙げられます。
また、茨城県の公立中高一貫校の適性検査の問題は統一であり、問題の難易度によっては成績優秀層がだんご状に固まる可能性もあります。実質倍率は概ね3~5倍弱ですので、高校受験に比べると、はるかに厳しい入試なのです。
江戸取中の入試に関して、茨城県内の受験生は、学校の選択肢が少ないため、他県からの受験生と比較して合格者の入学率が高いと推測されます。
このような状況の中、江戸取中は適性検査型入試で何人合格させるのか、その後に実施される一般入試に大きな影響を与えることから特に注目されます。