暮らしの手帖と夏と叔母と。 | Keep a journal @ 山脇りこ/Riko's Kitchen

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【 暮らしの手帖と夏と叔母と。 】



夏休みを東京の世田谷にあった叔母の家で過ごすことが何度かありました。

出会いはそんな小学校4年生の夏のことです。


叔母の家の庭に面した家族用ダイニングの本棚に、ずらっと並んでいた『暮らしの手帖』。といっても、私を虜にしたのは、当時連載されていた、藤城清治さんの影絵でつづられた世界の童話。4ページはある、なかなか読み応えのある連載でした。


そこで、まず棚に7,80冊あったバックナンバーを10冊ずつ出してきて、藤城さんのページを探して、どんどん重ねていき、積み上げ、ある程度たまったら、一気にそれだけを読む!というのを日々繰り返していました。


庭に面した畳の縁側でごろんと寝て読むのが私の定番スタイル。叔母は『まあ、なんでそこまで気に入ったのやら・・』と半ばあきれ気味に、でも嬉しそうに見ていました。今でも、ひんやりした畳の感触や庭の芝生の緑といっしょに、いくつかの影絵や物語が目の前に浮かぶくらい、とても強く記憶しています。


だから、私にとっての『暮らしの手帖』は、夏の思い出とセット。夏の午後、みんな出はらった家での私と叔母、ふたりの時間の思い出です。


そうこうしているうちに、掃除機の比較やら、すてきなエプロンの縫い方、なんていう記事も気になりだしました。その中で、当時連載(?)されていた帝国ホテルの村上信夫さんの料理のページが、私の次なるターゲットに。ほたてのコキーユ(グラタン)、フレンチドレッシングのサラダ、ブイヤベース、蟹クリームコロッケ、ビーフライスやピラフ、などなど、今思えば、ごくごくスタンダードな洋食ですが、それはそれは衝激な料理、だったのです。


時は、昭和50年代前半。(わかる人だけついてきて下さい。)街にフレンチやイタリアンがあふれ、スーパーでもホテルの味が売られ、あらゆるソースやドレッシングが買えたりする時代、ではなかった。ましてや普段は長崎のいなかの子=私。そもそもホタテって?(長崎近海にはない、売っていない)フレンチドレッシングって家で作れるの!(誕生日とかにレストランで出てくるものと思っていた)と・・・ただただ感激。


叔母と作戦会議をして、いっしょに買い物に行きました。ピラフやグラタン、コロッケ、ババロア、いろいろ作ってくれました。当時は輸入品でめずらしかったトマトソースやデミグラスソースも買ってみたり。


過日、代官山の蔦屋書店の2階(雑誌のアーカイブ)で当時の『暮らしの手帖』を見たら、盛付けもいたって普通、写真もたいへん普通なページでした。だけど、ちょっとハイカラな料理を家庭でも作り始めた時代の意気込みというのか?気概というのか?優しい印象の誌面ながら、びしばしと伝わってきます。


そして、私にとっては、今見ても色あせていないな、と感じました。特に当時はあまり気に留めていなかったであろう、料理手順の、なんとまあ、丁寧で、いい仕事、大事なひと手間・・と感心するのです。きっとほんとうは難しい手間を家庭でやるにはどうしたらいいか、村上さんが心を砕いていたのでしょう。


同時にてらいのないその料理のおいしそうなこと。私が当時から類まれなる食いしんぼうであったことの確証を得ました。あわせて、自分でつくる!ということへの憧憬?執着?がものすごく強かった、いや『暮らしの手帖』がその楽しさへの未知なる扉を開いてくれた!と改めて思い出しました。


それもこれも、叔母のおかげ。


影絵の物語を読みあさる私を横目に見ながら、最新号を読んでいた叔母の姿が忘れられません。思えば当時彼女は55歳。まぎれもない主婦のエキスパート。

でも、いない日はないぐらい、とってもお客様の多い家でもあり、ベテランを持ってしてもうならせる、頼りになる本物の情報が詰まっていたのでしょう。


特に食いしん坊であるがゆえか?おいしいものを作ることへの情熱が並々ならぬ人で、だから探究心も旺盛でした。たとえば『暮らしの手帖』のレシピから叔母が作ってくれた、チーズが糸をひくような、シンプルな茄子のグラタン。マカロニグラタンやジャガイモのグラタンで、グラタン=ホワイトソースと思っていた当時、とても斬新だった気がします。なにを隠そう、今やわが家の定番の一つです。


今月、その叔母の一周忌でした。


59日、私が絶対にその日を忘れないように?相方の誕生日に、召された叔母。その叔母が私にプレゼントしてくれたものがあります。


『暮らしの手帖』での仕事です。


お話が来たときはほんとうにびっくりしました。あの、憧れの?『暮らしの手帖』?ほんとに??と。伺えば、編集長がピンク本(1冊目の本)を気に入ってくださった、とのこと。お目にかかったら、海外のデリカテッセンの料理みたいで愉しい気持ちになりました・・と。


うれしい!実際、NYでよく作っていたお料理が多い本。「あの本の続きをやるような気分で、おもてなしの特集を。」とおしゃっていただき、宙に舞わんばかりに感激しました。そして、発売は5月と・・・。(5月25日です、照)


ああ、これは叔母が私にプレゼントしてくれたのだ・・と瞬時に思ったのです。「あんなに好きだったんだから、これがいいんじゃない?」と。うん、最高です。


こんどの掲載誌を、叔母と眺めたかった。きっとあれこれ辛口の意見もはさみつつ、誰よりもほめてくれるはずなのです。だから、一周忌の墓前でサンキュー♪と、あらかじめ言ってきました。発売されたら持ってくるね、と。

「ちっちゃな記念に、大事にしていたのに私に譲ってくれた、あのオ―ルハンドメイドのレース編みのクロスを、撮影に使ったから」と。

本当に・・・ありがとう。






※よかったら、525日発売なので、みなさんも見てくださーい。撮影の楽しかった話などはまた。


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