毎日来ていた電話とメール ー多いときは1日に数回もあったー があれ以来全く来なくなった。

私も意地をはって、こちらから何も連絡しなかった。

本気で私のことを想ってくれているのなら、連絡してくるはずだと思ったのだ。

彼の本心を知りたかったというのと

意地っ張りな私の性格で、

私も電話もメールもしなかった。

それが3日続いた後、「ああ、もうだめだ」と思った。

彼から連絡がないってことは、もう私への気持ちはその程度なのだ。

つらくなって、いたたまれなくて、思わず親友トモに伝えた。

「彼と別れることになると思う」

「そっか、そういう方向になっているのね。かえでがそう決めたなら、それはそれでご縁がなかったんだ、一言で言えば。大けがの前で何より」

「もう皮膚も心もボロボロ」

トモは気を使ってつれて、家に誘ってくれた。話すと気がまぎれるだろうからと。


その後、母からも電話があった。

「その後彼とはどうなったん?」

「もう別れると思う」

と言って、これまでの様子を話した。

「電話で、私のほうが一方的に彼にきつく言ってしまって、彼は反論も何もせず、終始しょぼんとしてた。話してて思わず感情的になって『別れよう』って言いそうになったけど、必死でぐっとこらえて、それは言わんかった。でもそのあと、電話で冷たい態度とってしまって。それ以来毎日来ていた電話が来んようになった。電話がないってことは、もうそういうことやと思う」

「(心配そうに)あんた、それママが反対したって思われとんとちゃう?親に「あんな人やめとけ」って言われとると思われとんだったら、向こうはしょげてあきらめるやろ?」

「いや、はっきりだれとは言ってない。そう思われとるかもしれんけど」

マンションをあんたの名義にして買うんはいかんけど、それをやめることにすれば、別に別れるまでしなくてもええとは思うんやけど」

「まあでも、離婚して子供がおる人やけんの」

「別れるってこっちから言わんほうがええ。自分で結論だすと『ああ、何であのときああ言ったんだろう』ってつらくなると思うわ」

「まあ、向こうが原因を作ったんやけん、あんたから連絡せんでもええわ。向こうからくるんを待っといたほうがええ。で、もし来たら来たとき、あんたそのとき自分の気持ちの思うまま接したらええ。来んかったらそれまでだったんや」

「その間、またネットで別の人探しといたら?向こうももう別の人探しよるかもしれん」

「でもその人、離婚して子供の養育費払っていくというハンディ持っとるわの。今後、あの人ふさわしい人なかなか見つけられんのとちゃう?しかも相手の女性は稼ぎのある人でないといかんし。そりゃ、特別男前っていうんならまだしも、そうでもないし」


母にも言われたし、ずっと来るか来ないかわからない連絡を待ち続けるのもつらく、

彼を振り切るためにも、別の人を見つけようと思って、ネットのサイトに登録しようと思い、プロフィールを書き始めた。

だが、書こう、書かなきゃと思うのに、やはりそういう気持ちにどうしてもなれず、最後まで書けなかった。

やはり彼のことが気になるのだ。彼じゃないといけない。他の人ではだめなのだ。


トモも心配して、家に行く(会う)日までに電話がかかってきた。

「どう?あれから彼から連絡ない?」

「うん」

「やっぱりね。その程度だったんよ。本当、あんな人だめだわ。よかったよ。こうなって」

と言って、トモは彼の悪口を言い続けた。

それを聞いて、悲しくて腹ただしくなってきた。

トモは彼に会ったことも話したこともないくせに、どうしてそんな人って決めつけるの?

りょうさんはそんなひどい人じゃない。

思わず泣いてしまった。

電話口で何も話さずひたすら号泣する私に、トモは何かつぶやいていた。

「まあね、ずっと一緒にいたからね、最初はつらいとは思うけど」

「かえで、そうやって彼に自分の気持ちぶつけたことある?彼の前で泣いたことある?」

トモは何か言っていたけど、何も耳に入らなかった。

そしてやっとの思いで、トモに言った。

「ごめん、今日はこれ以上、話せない。切るね」


そうして、彼と私、お互い連絡しないまま、1週間が過ぎた。