相変わらず、彼のほうからは何も連絡はなく、

私のほうから3日に1回くらい、とりとめのないメールを送っていた。

それの返事はくれるのだが、

こっちから放っておくと、1週間何も連絡がない。

さすがに心配になって音沙汰なしの1週間後、電話をした。

「元気?死んでるかと思ったよ(笑)」

「大丈夫。首つってないよ」

「あの、出張でしばらく遠くへ行くんだ。名古屋近くの静岡。3か月くらい」

「えっ?いつから?」

「今週の日曜日に出発する」

3日後だ。そんな急に。

じゃあ、ますます会えなくなる。しかし、心の動揺を隠して明るく言った。

「よかったじゃん。仕事が入って。いいことだよ」

でも、私から連絡したからわかったことで、

私から連絡しなければ、こんな大切なこと、何も言ってくれなかったのだろうか。

以前も、期間は短くてもっと距離の近い出張はあったものの、それでも

「かえでに会えなくてさびしいよ。かえでとのんびり過ごしたいよ。休みがなくてごめんね」

などと言ってきたのに、

今回はそんなことは全く言わない。

「まあ、内勤の仕事ずっと放っておけないから、3か月ずっと行ってるわけにはいかない。

2週間に1回くらいは家には帰ってこないといけなくなると思う。でも片道5時間だから、

土曜日の夕方6時に仕事が終わって、それから神奈川の家に帰って、月曜日の朝までには現場に戻らないといけないから、本当にトンボ帰りになっちゃうんだけどね」

「新入社員が入ってきたら、そいつと入れ替わりでもっと早く帰れるんだけど、いつ新入社員が入ってくるのかなあ」

本当に出張なのだろうか?そう言って自然と私と距離を置く口実にしているんじゃないのだろうか。一瞬そう思ったが、彼を信じるしかない。

「そう。でも仕事が入ってきてよかった。気を付けて行ってきてね」


彼が出張へ行って、1か月は様子を見よう。

その1か月間の彼の態度によって、付き合いを続けるか、止めるか、判断しようか?

とにかく、それまではこちらも連絡はするようにしよう。


彼が出張へと出発する前日、メールを送った。

「出張、気をつけて行ってらっしゃい。暑いので無理はしないようにね。もし時間が空いたら教えてください。私もそのころには(アトピーが)治ってると思うので、ぜひ会いましょう」

返信がきた。

「わざわざありがとう。適当にやってきます。早くよくなるといいね」

以前の彼なら「うん、ぜひ会おう。少しでも時間ができたらすぐ連絡するよ」

と送ってきただろうに・・・。遠慮がちな様子が感じられた。


出発直前には思いがけず、彼からメールがきた。

「こんばんは。仮眠して夜中に出発します。しばらく会えないけど頑張ってね」

以前なら「しばらく会えなくてさびしいよ。さびしい思いさせてごめんね。会えなくても気持ちは変わらないから」などと言ったセリフを言ったであろうが、それに比べるとそっけない内容だ。

それでもこうやって彼のほうから送ってきてくれたのだ。本当にうれしかった。

すぐに返信を送った。

「夜中だから特に気をつけてね。寂しいけど、いいことだから我慢して、私も頑張ります。行ってらっしゃい」