「男なら、危険をかえりみず、死ぬとわかっていても、戦わなければならない時がある…。
負けるとわかっていても、戦わなければならない時がある…。鉄郎は、それを知っていた…。」
1979年、映画「銀河鉄道999」より
鉄郎じゃなかったです。
タツヤ…でした。
でも、本当は…DOUKIでした。
タカタイチマニア3、後楽園ホールのメイン。
タイチ vs DOUKI、PPVにて観戦。
ヘビー級のタイチとジュニアのDOUKI、結果だけを重要視するのであれば、力の差は歴然としている。
でも、この試合を見る為に、PPV購入可能しました。
DOUKIの生い立ちを知っていたら、これは外せない試合。
DOUKI、いつもの鉄パイプは持たずに入場。
メキシコつながりの美馬姉、セコンドとして姿を現します。
3年前の「タカタイチマニア2」で、メキシコから参戦してきた日本人の若者が、DOUKI。当時、日本では全然無名。
そしてその大会であごを骨折して、直後の「スーパージュニア」を欠場しなければならなくなったのが、デスペ。
そのデスペ欠場の代打として、「タカタイチマニア2」での試合を終えメキシコへ帰ろうと空港へ向かっていたDOUKIを呼び止め、新日に推薦し「スーパージュニア」へ出場させたのが、タイチ。
そのきっかけを自分のものにし、以降新日への継続参戦をつかみ取ったのは、なんの後ろ盾もなくメキシコで一人日本人悪役レスラーとして戦っていたDOUKI。自身の活躍。
とはいえ、力の差、ヘビー級のパワー…経験値…、どれをとってもタイチの方が、一枚も二枚も上手なのは、周知の事実。
見ているお客さんだって、そんな事はわかってる。
でも、皆…何かが見たくて、ここに集まってる。
すばやい身のこなしで、ジュニアらしく試合を組み立てても、一発一発の重さでタイチにかわされてしまう、DOUKI。
DOUKIが、最近多用している「イタリアンストレッチNo.32」は、解説でおなじみのミラノさんが現役時代に使ってた技。
最初に使ったのは、タイチ・ザックと組んで、新日での初めてのタイトルマッチに挑んだ時。後楽園ホールでのメインで、NEVER6人タッグに挑んだ時。その時も解説はミラノさん。
今では、いつものDOUKIの技。
技の応酬になれば、ヘビー級のタイチの方が一枚も二枚も上手。
打撃戦になれば、余計に…。
エルボー合戦…、「力こめろ!もっとだ!もっとだ!」と解説のはずのミラノさん、完全にDOUKI寄り…。「DOUKI、いけ!いけって!」とゲストのノブさん、声の出せない後楽園ホールの客席に聞こえる女性の声はセコンドにつく美馬姉さん、どっちの応援してるんだかわかんなくなってるタイチのディーバーあべみほちゃん。
タイチも、「DOUKI、こい!立ってこいよ」と完全に場は出来上がってる。
DOUKIが前日にツイッターでつぶやいた、ある技。
出すなら、明日しかないと、つぶやいた技。
このまま終わるなら、出せずに終わる技。
返し技のような延髄蹴りにも、雄たけびをあげて踏ん張るタイチに、渾身のラリアット…、ヘビー級のタイチヘジュニアのDOKIのラリアット。
一瞬できた、その隙間に…、いつもと違うDOUKIのムーヴ…
間をためてからの、ミラノ式スーパーキック…
「ミラノぉぉぉー」と指さし叫ぶ、その先で…
解説席で泣き出すミラノ
で…、ミラノさんがスーパージュニアでテッペンを取った時に、フィニッシュホールドで使ってたヴィクトリア・ミラネーゼ…解禁。
これは、もう…一瞬、夢を見ました。
タイチに勝つのか?
現実は返され、タイチのドラゴンスープレックで、おしまいか…と思うが、返すDOUKI。
自身の技へもっていこうとするも、再びタイチの急角度のバックドロップ。…やっぱり、終わるか。
あわただしい解説席の様子が、音として聞こえてきます。
なにやら、冷静なノブさんが慌ててます。
次の瞬間、リングサイドに…ミラノさん
「いけっ、いけって!」
「DOUKIっ、DOUKIっ!」
解説席を離れ、我慢できずにDOUKIを叱咤激励しに、リングサイドへ
DOUKIがプロレスラーになるきっかけ…
18歳の若者がメキシコへ渡るきっかけを作ったのは、ミラノさん。目の負傷で急遽の引退、その引退した直後に訪ねてきた18歳の若者にメキシコへの橋渡しをして、当時メキシコで修行中のタイチへ18歳の若者を託したんです。
その若者が、12年後、自分のフィニッシュホールドを後楽園ホールのメインで…、使う。
ちなみに、メキシコで託した相手は…
自分の急遽の引退でタッグを解消し迷惑をかけたと思っている男…、タッグパートナーを無くし、新たなレスラー像を探している最中の…タイチ
叫びます…リングサイドから…
タイチの技、バグソーキック、のど輪落とし、タイチ式ラストライド
受けても受けても返すDOUKI
終わらない…
DOUKIが、終わらせない…
30分一本勝負、残り2分のアナウンス…
タイチの、本当のフィニッシュホールド、ブラックメフィストを叩き込まれて、…試合終了。
でも、納得の終了…。
こんな試合…
見せられたら…
声出して、泣きます…
皆が見たかったもの…
勝敗を…越えたもの。
「悔しいか、DOUKI?…いや、タツヤ、タツヤ…悔しいか?
俺からしたら、いつまでもお前はタツヤだ。お前、立派だよ。よく、ここまで来たよ…お前。12年前か…12年前…、ちょっと長くなるけど、いいのか?。明日の朝までしゃべるかもしれねえけどいいのか?」
「12年前、オメーはプロレスラーになりたくてよ、どうしていいか、もがいて、なんのツテか知らねえが、ミラノに頼んでよ。『メキシコでプロレスラーになりたいんです』って頭下げて。その時ちょうど、俺がメキシコにいて、ミラノがお前を俺に託したんだよ。
あの時、高校卒業して間もなく、お前はプロレスラーを目指すことだけを考えて、高校生のうちにバイトで貯めた金だけ握り締めて…俺んとこ来たな。言葉も何もしゃべれない…スポーツも何もやったことのない…バイトで貯めた金だけ…夢と金だけ握り締めて、俺んとこ来たな。
まあ、それからいろいろあったよな。お前の事…イチからトレーニング全部教えた。プロレスラーとしてどうしていいか…全部教えてやったな。お前といろんなとこ行ったな。メシ食って…いろんなとこ遊びに行ったな。キツい練習してな、二人でな…楽しかったな。
そしてよ、俺が一番、嬉しかった…いや、よく覚えてんのはよ、俺は6月、アレナ・メヒコ、ビッグマッチ、マキシモとカベジェラ戦やって、俺は負けてハゲになった。その時、お前は客席、見にきてた。客席、16,000人の中で、一番大号泣してるのがお前だったな。
会場ただ一人、俺が負けたの見て大号泣してたよ。そのまま帰りの宿舎まで、一人で泣いて歩いて帰ったらしいじゃねえかよ。周りのヤツに「ボク、どうしたの?」って声をかけられて(笑)。それからオレが宿舎に戻ってからも、オマエは大号泣してたな…。悔しいです、悔しいですって、泣いてくれたな、お前。
そしてオレが帰る時も、玄関先で泣き崩れたな。俺がいなくなるの、寂しいって(笑)。」
「そんな可愛くて、真面目だったお前が、俺の入れ替わりで来たYOSHI-HASHIと、ライガーと生活してから、お前は、すっかり変わった!(場内笑)。
こんなんなっちまったのは、全てYOSHI-HASHIとライガーのせいだ!。むしろライガーだ!アイツが悪い!ライガーによ、毎日毎日いろいろやられたんだろ、お前?だから、こんなひねくれものになっちまってよ。
でも、お前、こうやって美馬姐もよ、皆助けてくれたじゃねえかよ。
でも、悔しかったもんな。新日本の看板があるからって…憧れのアレナ・メヒコに次から次へと出てな…、オメーは名も知らない会場で、名も知らない相手とデビューして、誰も知らねえまま、10年過ごして。
そして今…どうだ?堂々と新日本の『SUPER Jr.』出て、いまこうやって後楽園のメインイベント立ってるじゃねえかよ、お前。
他の誰よりも、俺からしたら立派だよ、タツヤ。俺には出来ねえ…。
18で一人でメキシコ渡って…それから10年間、独りぼっちでやり続けることなんて…。お前は立派だよ…尊敬してるよ、タツヤ。
ミラノ、お前も泣いてんじゃねえよ…お前…何、感極まってんだ、テメー、コノヤロー。
タツヤ、泣きたくば泣けばよい、止めはせぬ」
強くなるぞ…DOUKIは…。
ほかにも、いっぱいあったんです、タカタイチ3
でも、なにがあっても
メインがしめないと
興行としてはダメですが…
立派に…務めてくれました。
最後の最後はサプライズのボス
みほちゃんの誕生日サプライズ
こんなん見せられたら…
プロレス、やめられませんって
DOUKI…、楽しみ。