今年は「北海道命名150年」。
蝦夷地と呼ばれていた北海道にその呼び名がついたのが1869年8月で、
今年が150年目となります(名付け親は探検家の松浦武四郎)。
神奈川県議会厚生常任委員会 県外調査で、北海道に入りました。
「社会福祉法人 浦河べてるの家」を視察。
べてるの家は、精神障害等を抱えた当事者たちが
"まちのためにできることはないか?"と考え、
地域活動拠点として1984年に設立しました。
カフェぶらぶらにて、それぞれが運営者である統合失調症患者の伊藤さん、
熊本から引っ越してきた池松さん、反復性鬱病性障害"人間アレルギー症候群(オリジナル病名)"秋山さん、
統合失調症の和田さんからご説明を頂きました。
基本理念の一つが"三度の飯よりミーティング"。
就労継続支援B型「カフェ ぶらぶら」・「新鮮組(食品加工・引っ越し屋)」、
訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、グループホーム(9棟60名程度)等を運営し、
就労支援や生活介護などの事業を行なっています。
"生活共同体""働く場としての共同体""ケアの共同体"三つの性格を有しており、
100名以上の当事者が活動に参加、三分の一は道外からの移住者です。
自分自身を助け、励まし、活かすプログラム「当事者研究」や「SST(生活技能訓練)」の取り組みは世界的に有名で、
多くの研究者が訪れ、日本の精神保健におけるベストプラクティスの一つに選ばれたほか、多くの賞を受賞しています。
「当事者研究」は、向谷地生良教授のサポートのもと始められた、
病気とのつきあい方について当事者同士で話し合いや研究をすることです。
自分の病気にオリジナルの病名(自己病名)をつけたり、
病気や生活の苦労のパターンやメカニズムを研究しその経過や自分の助け方(対処)の実践などを報告・発表したりしています
(毎週月曜日の午前中に定例的に行われている)。
例えば統合失調症の場合、幻聴が症状として現れますが、
この幻聴の声の主を「幻聴さん」と呼び、症状に対立するのでなく尊重する事で、
幻聴の内容が改善した、などの報告がされています。
今では同様のプログラムを取り入れる施設や医療機関が各地に広がり、
毎年当事者研究全国交流集会を開催、
東京大学先端科学技術研究センターにも当事者研究の研究分野が立ち上がっています。
べてるの家の始まりは1978年回復者の「どんぐりの会」。
1983年には浦河日赤病院の精神科を退院した早坂潔さんをはじめとする精神障がいの回復者数名が、教会夫人の協力のもと
教会の片隅で地元特産日高昆布の袋詰め作業を請け負うことを始めました。
浦河町は、北海道の東南、襟裳岬にほど近い人口約1万2千人の町です。
まちのスローガンは"丘と海とまきば"で、
サラブレットや日高昆布、サケ、マス、スルメイカが有名な町です。
〈べてるの家の理念〉
・三度の飯よりミーティング ・安心してサボれる職場づくり・自分でつけよう自分の病気・手を動かすより口を動かせ・偏見差別大歓迎・幻聴から幻聴さんへ・場の力を信じる・弱さを絆に・べてるに染まれば商売繁盛・弱さの情報公開・公私混同大歓迎・べてるに来れば病気が出る・利益のないところを大切に・勝手に治すな自分の病気・そのまんまがいいみたい・昇る人生から降りる人生へ・苦労を取り戻す・それで順調、など…