『第22回三浦市防災講演会』に出席しました。
講師は、三浦市民で海岸工学専門家、
防衛大学校 システム工学群 建設環境工学科 鴫原良典氏。
テーマは「津波災害とその被害〜三浦半島の場合」です。
◯津波の物理
「津波」とは… 津(港)の波。
波長が長い。全体の9割は海底地震により発生する。
"Tsumami"…1969年に国際語として採用。
2004年スマトラ沖地震以来普及。
海岸付近で急に大きくなり、海岸を襲う波。
毎年、世界で発生する地震の10%が日本で発生している。
直下型地震よりも、海溝型地震において津波が起こる
◯津波の特徴
①「高さ」…海岸線での津波の高さ
⇔「遡上高」…津波が陸上に這い上がる高さで、
津波の高さの2倍以上になることが多い。
②「速さ」…平均36km(陸地付近)
津波の高さ5mで時速約50km
③「力」…約16t/幅1m当たり
足にかかる力は約200km(50cmの津波)
④「地形」…湾の奥は波が高くなる。
津波は繰り返し襲って来て、
第二波、第三波の方が高くなる
◯津波による被害
過去100年でM9.0を超えたのは6度発生。
想定外だった東日本大震災…
長期予測ではM8.0を超えることは無かった。
浸水域も想定外、ハザードマップの範囲を大きく上回った。
リアス式海岸(エネルギー集中による増幅・平地が狭い・女川町等)
と平野部(沖で津波が増幅、「断波」・内陸まで浸水・
盛土等多重防御の有効性・仙台平野等)
で被害メカニズムが大別される。
・インフラ・重要施設の被害…
捜索・救援そして復旧活動の妨げに。
事業継続計画(BCP)を可能にする対策を!
◯南関東での地震と津波
三浦半島で想定される地震→
「活断層地震(直下型)」…熊本、阪神淡路等
三浦半島断層群→今後30年以内発生確率、6〜11%(Sランク)
被害想定 三浦半島で死者1,130人
「海溝型地震」…相模トラフ
過去の地震で津波が来襲した事例
・元禄16年(1708年)元禄関東地震M8.2
三浦 6〜8mの津波発生
・大正12年(1923年)関東大震災M7.9
約200年間隔で発生している→2,100年以降?
〈神奈川県の津波想定〉
最大M8.7を想定→城ヶ島 遡上高24.9m
津波被害死者 113,900人
地震被害死者 40,000人
横須賀市死者想定 47,540人
三浦市死者想定 10,120人
〈横須賀市・中心部の浸水想定〉
京急線路手前まで広い範囲が浸水。
市の中心部施設(市役所・警察署・救急病院など)浸水。
〈三浦市の浸水想定〉
三浦海岸駅も浸水
◯津波対策
・ハード対策→構造物で防ぐ
①防潮堤
②津波避難タワー
③限界がある(震災の教訓)
・ソフト対策→早期避難
①ハザードマップ(避難所と避難ルートを確認するためののもの)
※自分の家が浸水範囲でなくても安心してはいけない!
②避難対策…
◯垂直避難→津波からの避難は、裏山などのできるだけ高い所(高台)に逃げるのが鉄則。できれば5階以上。
車での避難は危険!
道路を使う人は、地震時の避難ルートを常日頃イメージしておくこと。
結局は、自分での判断。
③防災教育…避難訓練は地域で実施するのはとても重要!
しかし、悩みとして…
人が集まらない。参加者の年齢層が高い。
避難訓練を積極的に行なっている地域→
・一度、大きな被害を受けた地域(三陸)
・様々な理由で注目されている地域(徳島県黒潮町(想定津波高34m、鎌倉市等)
・学校で防災教育を積極的に行なっている地域
◯大災害後は住民の活動が最も重要!→
阪神淡路では住民による、救助で1万人以上救われる。
◯自分の命を助けることを最優先。
家族と事前に話し合っておく!