全国防衛協会青年部会 第16回青年研修会
「神奈川大会」にお招きを頂きました。
基調講演に防衛大学校國分良成学校長より、
テーマ「今後の日中関係における自衛隊のあり方、
それに伴う防衛協会の関わり方」で
ご講演頂きました。
慶應大卒から永年慶應で教鞭をとられた
現代中国論専門の法学博士です。
「教育とは、若者に夢を与えたり、
夢を考える場を提供すること。
この時代、英語の実力が無いと命に関わる、
そのため、防衛大に赴任してから
英語教育に力を入れ、TOEICを100点以上向上させることに成功しました。
国家機密なので、何点とは言えませんが…。
グローバル化に備え、グローバルセキュリティセンター
を設立し、6%の学生が留学生となりました。
防衛大学校を日本一の大学にしたい、
世界一の士官学校にしたい、と考えています」
「流動化する世界の安全保障、
いろいろな可能性を我々は考えなければならない。
習近平体制は強いのか、脆弱なのか?
鄧小平は江沢民に譲った時に『核心』という言葉を使った。
しかし、江沢民は胡錦濤に対し『核心』を使わず集団指導制になった。
中国共産党6中全会の内容には、
『中国共産党は壊れる。党内に矛盾がある。…
規律の緩み、独断専行、欺瞞、怠慢、個人主義、
セクト主義、買収、権力濫用等蔓延…』
と危機意識が記述されていた。
だからこそ、習政権は締め付けを強めていく。
→ 選挙なき一党体制の矛盾」
「現在党員は9,000万人、その中で
政治局が25人、中央政治局常務委員は7人(習近平、李克強、張徳江…)。
江沢民が圧倒的に牛耳ってきた=腐敗体制
習近平は暗闘を繰り広げ、今は李克強首相(改革派)
を追い落とそうとしている」
「中国経済の長期低落傾向…
経済成長は急激に見込めない。
鄧小平路線(経済成長で政治の安定を図る)が難しくなってきた…
構造改革を進める必要があるが、権力掌握が難しい状況」
「軍の大改革…陸軍(江沢民系)30万人削減と海空軍の重視 →
ロケット軍・戦略支援部隊(宇宙・サイバー)の創設。
一方で反習近平デモ。天津爆発は習近平へのテロ」
「南シナ海プレゼンス…
中国の圧力、動きをどう止めるのか?
仲裁裁判所の判決は効果が無くなりつつある…。
台湾問題…中国の中では依然として主要テーマ。
しかし蔡英文民進党政権の誕生で、台湾の主体性は強まっている。
大陸の5キロ先にある「金門島」→
ビザも出て中国大陸から行けるようになっている。
大陸が金門島を奪う(侵略の証拠)と、
戦争状態が無くなり、独立されてしまう恐れ。
香港ですら独立運動が起こっている。
台湾問題は国民を結集するテーマでは無くなってしまった。
南シナ海・東シナ海の問題は、
中国の『敵』の必要性をあらわしている。
東シナ海・尖閣沖での中国公船の活動活発化
摩擦が起こることを内政利用している
問題を外に転化していく可能性…
歴史上中国の周辺国家は巻き込まれてきた…
トランプもその状態(一程度の摩擦)を望む可能性がある
→ アメリカは中国の圧力を容認するのか?!」
「建国以来中国は北朝鮮に翻弄されてきた。
北朝鮮問題は悪化している」『最後の「天朝」』沈志華 著
○対日強硬派(旧江沢民+守旧派):愛国主義=歴史重視→現在は弱体化
○対日融和派(旧胡錦濤系):戦略的互恵関係=現実主義
○中間派(習近平系):愛国・歴史+戦略的互恵、
対米優先、対日慎重、全方位外交
「我が国の対応は…
自公政権安定のもと、
リーダーシップをとっていかなければならない。
外務省の頑張りが必要 →
中国に国際社会のバランスを自覚させる
(ロシアと同じ悪路を選ぶのか?)
外交(日中対話+日米韓・近隣連携)と
防衛(危機対応準備)の両面強化が必要」