「第13回三浦半島学童保育研究集会」にお招きを頂きました。
記念講演の講師は、日本学童学会代表理事の早稲田大学増山均教授。
テーマを「今子どもの育ちに必要な基本的権利
〜学童保育の生活や子育てで大切にしたいこと」として、
2015年4月スタートした「子ども子育て支援新制度」による
学童保育と子どもの放課後の課題や問題点について
「子どもの権利条約」の視点も含めて、
わかりやすくお話し頂きます。
子どもたちが豊かな放課後を過ごすため、
親や指導員、周りの大人たちはどのような眼差しが必要なのか?
学童保育に禁止事項が増えてくる(けん玉や紙飛行機禁止)
→主人公である「子どもの視点」の後退
放課後児童健全育成事業ではなく「学童保育」という原点
<子どもの育ちの3領域>
「学校」
「家庭」
「地域」→学童は地域の子どもの生活
「地域」と「放課後」の違い
かつては「地域」生活は子どもの自由世界、社会だった。
「地域」が見えなくなっていく
地域生活ではない、「放課後」という捉え方の問題点
→放課後の学校化と活動のプログラム化
1997年 学童保育→放課後児童健全育成(放課後児童クラブ)事業へ
文部科学省の管轄へ 放課後を学びの場に
教育行政と福祉行政が交わることがない問題
放課後児童健全育成事業とは、「授業の終了後に
児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び
及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう」
児童福祉法第6条
「遊び」と「生活の場」を与えて
「遊び」の主体はあくまてでも子ども自身
<子どもの発達本質論>
「エデュケーション」と「アニマシオン」
「エデュケーション」…学校教育・家庭教育・社会教育・児童文化
(論理力・推理力を使っての想像、創造)
「アニマシオン」…今を夢中で生きる。
面白い・楽しい・心地よい(空想力・着想力を使っての想像、創造)
1989年国連総会により採択された「子ども権利条約」では、
児童を「保護の対象」としてではなく、
「権利の主体」としている点に特色があります。
国際人権規約のA規約(文化権、経済権、社会権規約)
及びB規約(自由権規約)で認められている諸権利を
児童について広範に規定し、さらには
意見表明権や遊び・余暇の権利など、
この条約独自の条項を加えて、
児童の人権尊重や権利の確保に向けた
詳細で具体的な事項を規定しています。
<子どもが『健全』に育つために必要な4つの権利>
1.福祉の権利(生存権・生活権)
2.教育の権利(学習権・発達権)
3.文化の権利(休息権・余暇権)→
子どもの権利条約第31条
4.司法の権利(更生権、躓き、失敗する権利)
<子どもの文化権>…
①休息権・余暇権
②遊び・レクリエーション権
③文化的生活・芸術への参加権
「休息・余暇を否定することは、子どもたちの
発達・健康およびウェルビーイングに対して
とりかえしのつかない身体的・心理的影響を及ぼす可能性がある。
子どもたちには、自らの選択によって
思いどおりのことをしながら、または
特に何もせずに過ごすことのできる、
余暇(義務、与えられた娯楽または刺激
または刺激のない時間及び空間)も必要である」
「子どもの『何もしない』時間を持つ権利」
子ども権利委員会ジェネラルコメント第17号より
ゆっくり、のんびりしてもいいんだよ。(文化権)
失敗してもいいんだよ。つまづいたっていいんだよ。(更生権)
<学童保育の始まり>
戦前 社会福祉活動であるセツルメント事業
(労働者の地域に学生が定住して知見を活かす)
墨田区 興館望等
1948年 大阪今川学園
1956年 興望館が児童厚生施設の認可
1967年 全国学童保育連絡協議会 設立
設立当時は全国515施設
現在学童保育の数は、27,000、ほぼ学校と同じ数