統一地方選で当選した全国都道府県の新任議員600名を対象に、
地方議会の制度と運営について、また地方行政の諸課題などを学ぶことで、
議員の職務遂行に必要な共通知識を深めます。
研修会のテーマは下記三点です。
①地方議会～期待と課題
大森彌東京大学名誉教授
②地方自治の母国に優る我が国の地方自治・財政制度
内貴滋帝京大学教授
③議会運営の基礎
内田一夫 全国都道府県議会議長会議事調査部長
第二部の講師は、「一億円のバラマキ男」といわれた
内貴滋帝京大学教授でした。
テーマは「地方自治の母国に優る我が国の地方自治・財政制度」。
＜地方こそ民主主義の原点＞
民主主義の母国イギリスでバーミンガム大名誉フェローを務めて…
スコットランドの独立レフェレンダム（国民投票）→
当時スコットランド議会サモンド首相
「独立することで苦労するかもしれないが、
スコットランドのことは、スコットランドで決めていこう！」
これこそが、地方自治の原点。
英国政治家ブライスの言葉
「地方自治は民主主義の学校である」
＜地方創生で思うこと＞
地方自治の本旨は「住民自治」と「団体自治」の原理からなる。
「住民自治」住民の意思が反映されて運営されていること。
住民と地方自治団体との関係 ← 民主主義の原理
「団体自治」国から独立した団体によって運営されていること。
地方の行政が、国から独立した団体によって運営されていること ← 自由主義の原理
「一村一品運動」推進を経験し、
中央省庁・国の制度と対峙した（湯布院や大山町）。
「自ら調べ、自ら考え、自ら行動する」という原則。
霞ヶ関に負けない気概と風に向かって立つ勇気を！
＜憲法による制度保障＞
「憲法第93条 議事機関としての議会を設置」
憲法により「地方自治」という統治機構の制度保障をしている。
議会は憲法で規定されているが、首長はされていない。
自治の根幹は、首長ではなく、議会である。
＜地方分権の改革＞
三位一体改革（国庫補助金・交付税・税源移譲）、
地方分権一括法は現在第五次まで改革が進んでいる。
地方分権の原点としての「ふるさと創生1988年」→
「私は一億円の補助金男と非難されていた」
地域が発想し、国が支援するシステムへ→
「自ら考え、自ら行う地域づくり事業」補助金行政・依存体質の決別
＜都道府県の事務＞
イギリスでは、「カウンティ（県のような広域自治体）」を廃止して弱体化した。
「都道府県」では、市町村を包括する広域の地方公共団体として、
地方公共団体の事務のうち、広域事務、連絡調整義務、補完事務を処理する。
地方公共団体とは「紫陽花の花」、
小さな花一つひとつが光輝いている。
地方財政の位置付け→
福祉、学校教育、消防、道路や河川等の社会基盤の整備はじめ
国民生活に密接に関連する行政は殆どが自治体の手で施されている。
結果、政府支出に占める地方財政のウェートは
国と地方の歳出決算・最終支出ベースで約3／5となっている。
＜イギリスに優る日本の地方自治の素晴らしさ＞
⚫︎地方自治の安定性（憲法に保障）
⚫︎国と地方の信頼関係
⚫︎自治体の包括的権能
⚫︎地方財源の幅広さ
⚫︎地方分権の進展
※イギリスにない制度…条例提案権、リコール、住民監査請求制度
イギリスでは議員は働かない（本会議年に二回程度しか活動していない）
＜地方創生の課題＞
イギリスでは、国が客観化された指標を示された
「パフォーマンスインジケーター」→地域の多様性を失い廃止
自らが人づくり、地域づくりを行っていかなければならない。
地方の価値・自分たちの特色について、地に着いた議論で作り上げてほしい。
国が決めすぎている
新鮮な感覚を大事に
霞ヶ関の役人に負けない気概
国の制度をうまく活用してほしい
住民の意識・知恵を集めて、自治体自らが、
目標・目的を設定すべき。
＜「公務」こそ最高の誇り＞
チャーチル
「一番素晴らしい仕事とは、人のために尽くす仕事である」
前述のジェームズ・ブライス
「民主主義は農村及び小都市の狭小な地域にその端を発した。
共同の利益及び公共的義務の自覚を市民に与え
之を的確に処理せんとする関心を持たせた。
村の問題について、公共的精神を持ち、公明であり積極的であることを学んだのは、
正に国民に欠くべからざるもの教育の一課を終了したものである。
地方制度は、他人のためではなく、他人と一緒に能率的に働き得るような
教育を他人に賦与する。それは常識、穏健性、判断力、社交心等を発達せしめる。
…蓋しこれらの例は、地方自治は、民主政治の最良の学校、
その成功の最良の保証人なりという、格言の正しいことを示すものである」
