稼ぐ観光 ハウステンボスの奇跡 | 石川巧オフィシャルブログ「すべては三浦のために」Powered by Ameba

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一期一会を大切に、神奈川県議会議員石川たくみのブログです。
<私の目指す政治活動>
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 ○一人でも多くの三浦ファンを ○より身近な市政に

ベンチャーの旗手は、いかに地方都市で「観光」ビジネスを進化させ、
活性化させたのか?ハウステンボス奇跡の再建について、
日経新聞長崎支局長が徹底分析しています。


「18年間、一度も黒字になったことがない不振企業(ハウステンボス)の
再建を乞われ、見事に復活させた。
…2014年四月期の連結営業利益の六割を子会社のハウステンボス一社でたたき出し、
円安で収益が悪化した親会社の旅行事業の不振を補った
…(澤田秀雄)の軌跡はまさに旅であった。外航クルーズが港に寄港するように、
ある時は旅行会社を立ち上げ、ある時は航空事業に一心不乱に取り組み、
今度は金融、次は地方鉄道会社の再建を引き受けるといった感じで。
興味関心のおもむくままに彼はその都度、寄港地を変えていった。
旅の途中だから本人は、どこにも立ち止まろうとはしない。
今はハウステンボスのある住所(佐世保)に住民票を移して一年の半分を園内で過ごし、
東京ディズニーランドをしのぐ観光ビジネス都市にしようと日々、
園内のサービスの品質改善に取り組んでいる。
2014年6月には、トヨタ自動車、愛知県などが出資していた
愛知のテーマパーク「ラグーナ蒲郡」を買収し、経営再建に乗り出すことも発表している」

「ハウステンボスの従業員は約1,000人。周辺のホテルや納入業者など
関連する企業は114社、2,600人以上に上る。佐世保市の資産では閉園した場合、
年間361億円の経済効果が消失する。市の総生産額(7,465億円)の5%に相当した。

「佐世保は商圏が東京の20分の1で、関西圏からも首都圏からも遠い。
福岡から特急電車で行っても二時間。ポジティブな要素が全くない」。澤田(HIS会長)が
ハウステンボスに抱いた第一印象は最悪だった。
(澤田会長への朝駆けという)見栄や外聞もかなぐり捨てた朝長(佐世保市長)の
本音の行動が強運を引き寄せ、閉園の瀬戸際だった巨大テーマパークや地域経済を
救ったのである。→市長が新スポンサーとして澤田に白羽の矢を立てたのも、
高成長を続けるH.I.S.の圧倒的な機動力と動員力を見込んでのことだった」

「澤田が創業当初に読んだ本が、ランチェスター経営本だった。
…その法則の一つに「ナンバーワン戦略」がある。自分より強い相手とは無理して戦わずに、
力が対等の相手や、自分が優位に立てる分野での戦いに限定することを勧めている。
当時のH.I.S.で言えば、大手よりノウハウがあったのが格安航空券の仕入れ・販売であり、
ランチェスターの教えをそのまま適用したのである。
この弱者の戦略はハウステンボスの再建でも澤田が真っ先にとった路線だった」

「アジアの大衆が豊かになり、海外旅行に出かける大航海時代が到来している」

「ここ(ハウステンボス)は本当に面白い。すごく可能性がある。
広さがほぼ同じ南欧のモナコのような国際観光ビジネス都市になれる素材だ」…
スピード再建の秘密は何か、と聞かれれば「オランダの静かな街並み」、
「大人のリゾート」という創業以来のコンセプトをあっさり捨てて、
「(逆が)楽しいことなら何でもあり」の総合レジャー路線を推し進めたことに尽きる。…

「エコロジー(環境)とエコノミー(経済)の共生という創業以来のコンセプトは
大胆に読み替えて、世界最先端の環境技術の発信基地という新しい役割を定義したところに
突破口は開いたのである。…
澤田が就任早々、目標に掲げたのが「売上高の二割アップと経費の二割削減」。
…新生ハウステンボスの最大の特徴は、敷地152haのうち、
運河で仕切られた80haのテーマパーク部分の三分の一を入場無料ゾーンに変えたことである」

「観光ビジネス都市」は、ハウステンボスを単なるテーマパークとして売り出すのではなく、
会議場やビジネス、医療、教育など様々な体験の場に変えるアイディアである。
無料エリアにベンチャー企業や娯楽施設、コールセンターなどを呼び込み、
家賃収入を得るとともに来園者や定住人口の拡大を図る構想である。…教育観光と医療観光、
あとで触れる「スマートシティ化」(最新の環境技術を導入した街づくり)の
三つの要素を加えることで、新たな雇用や定住人口が生まれる効果を期待している。

「冬季の目玉となった季節イベント「光の王国」は、
LEDで街並みを彩るライトアップイベントである。
…「光の王国」のヒットでこれまで閑散期だった冬季シーズンが、
最も客が訪れるオンシーズンに変わった。」

「客はテーマパークに楽しさを求めてやってくる。見応えがある出し物や催しがなければ、
無料でも客はやってこない」…実際、社員にも「東京ディズニーリゾートをいつか抜こう」
と目標を掲げている。
価格に見合った内容があれば、日本の西の果てまで人は来るー。
この言葉は不振を極める地方のテーマパークや観光振興に取り組む地方の関係者にも
何らかの示唆になるかもしれない。…
澤田が季節のイベントの広報宣伝で重視してきたのが、「日本一」や「世界一」といった、
分かりやすいキャッチフレーズだ。…「たった一行でお客さんに伝わる、規模感、
スケール感、クオリティー感」にこだわった広報戦略を展開した。
…「オリンピックはみんな、金が欲しくてやっているのではない。権威が欲しくてやっている。
権威があるものを作ればいい」→「ガーデニング・ワールドカップ」

(後にハウステンボスが建つ)針尾工業団地は高度成長末期に県が
総工費150億円の巨費をかけて造成したが、1972年の完成直後に第一次石油ショックが襲い、
進出企業もないまま放置され、長崎県の「最大のお荷物」として批判された物件だった。
土地は赤茶色の雑草がわずかに茂るだけで、虫や鳥は寄り付かず、
コンクリートで固められた護岸は自然の生態系が破壊され、魚もいなかった。

…「豊かになったアジアの中間層が数百万人、数千万人の規模で海外旅行に
出かけるようになると、世界中でホテルが足らなくなる。
その解を我々のローコストホテ(LCH)が提案する。
新しいコンセプトと運営方式を持つ新種(スマートホテル)が
旧種(既存のホテル)を食ってしまう。
今はそういう時代だ」LCC(ローコストキャリア)からLCHへー。
ハウステンボスで蓄えた先進技術を武器に、澤田は新たな波を起こそうとしている。
「35億人いるとされるアジアの中で10億人が豊かになり、海外旅行に行ける消費者層に育った。
新大陸を目指したかつての大航海時代のように、21世紀の新たな大航海時代が訪れている」

『九州じゃらん』「九州・山口の人気観光地ランキング」で、
ハウステンボスは2014年に2年連続の一位になった(熊本の温泉郷や湯布院を押しのけて)。


「私は失敗そのものを嫌う以上に、失敗することを恐れてチャレンジをしなくなることを嫌う。
私自身、たとえ失敗するかもしれないと思っても、
思いついたならば挑戦するほうを選んでしまう」
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