地方消滅 | 石川巧オフィシャルブログ「すべては三浦のために」Powered by Ameba

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一期一会を大切に、神奈川県議会議員石川たくみのブログです。
<私の目指す政治活動>
 ○自立的な生活経済圏     ○誇りの持てる教育
 ○一人でも多くの三浦ファンを ○より身近な市政に

『地方消滅』を読了しました。

日本政府が「まち・ひと・しごと創生本部」を新設することになったのは、
今年5月8日に発表した「消滅可能性都市リスト」(日本創成会議)の影響が大きいでしょう。
衝撃のリスト発表から安倍首相の対応は早く、わずか11日後の5月19日、
日本創成会議座長の増田寛也氏に対して、地方の人口問題への体制強化を伝えたと言います。
そして翌月14日、鳥取・島根入りして出雲大社参拝をした首相は、
「地方創生本部」の設置方針を表明したのです。
大きな衝撃を与えた「消滅リスト」を発表した日本創成会議座長増田氏の
新著『地方消滅~東京一極集中が招く人口急減』を読むことで、
地方自治体の未来を考えました。




「人口減少社会は確実にやってくる。しかし、その先を行く
「人口急減社会」すなわち「極点社会はだけは避けなければならない。
政治、行政、住民が議論を深め、知恵を絞る必要がある。
いたずらに悲観することはやめよう。未来は変えられる。未来を選ぶのは、私たちである」

「日本の人口の社会移動は、最終的に東京ばかり集まるという独特の構図です。
近年は円高や周辺諸国の経済成長といった影響から、
地方にあった産業がどんどん海外に移転してしまい、
雇用を失った人々が働き口をもとめて東京へ向かっている。
我々は若年女性人口というものに着目しました。
地方に若年の女性がいなくなってしまったら、次の世代が生まれるはずがないからです」

<東京の一極集中に歯止めをかける>
「日本の人口減少には、人口の社会移動が大きく影響している。
少子化対策の視点からも、地方から若者が大都市へ流出する
「人の流れ」を変えることが必要なのである。
…地方の持続可能性は、「若者にとって魅力のある地域かどうか」
にかかっているといえよう。
すなわち、「若者に魅力のある地方中核都市」を軸とした
新たな集積構造の構築が目指すべき基本方向となる」


<コンパクトシティ>
「地方中核都市より規模の小さい自治体においては、
人口減少が進むなかで避けられないのが「コンパクトシティ」の考え方だろう。
ただし、効率的、効果的にサービスを提供するための
「守りのコンパクトシティ」だけでなく、
新たな価値を生み出す「攻めのコンパクト」をも目指すことが求められる。
すなわち、コンパクトな拠点を交通・情報ネットワークで結ぶ地域構造を
構築することにより、行政や医療・福祉、商業などの
サービス業の効率性や質の向上を図ることが必要だ。
それと同時に、新たな集積がなされることによって、人、モノ、情報が
活発に行き交うようにし、価値の創造やイノベーションにつなげたい」

若者を呼び込むまちにするために
「地方と大都市の間を人が移動する機会は、
「大学や専門学校などへの入学」「最初の就職」「40歳代頃の転職・再出発」「定年」
の四つとされている。
人の流れを変えるためには、こうした時期を地方に人を呼び込む好機として捉えるとともに、
この四つ以外にも移動の機会を増やす努力が必要である。
まず初等・中等教育段階においては、子どもの学習能力・意欲に応じた教育を塾に頼らず
公立学校で提供するシステムを作ることにより、
塾がない地方への子育て世帯の呼び込みを図ることが考えられる。
また、幼年期や青少年期の教育として、田植え、稲刈りなど
一週間程度の農作業体験を通じて、地方の農山漁村に若者を惹きつける
契機とする取り組みも有用である。

…現在若者が大都市に流入している最大の背景には、
若者にとって魅力のある雇用機会が地方に少ないことが挙げられる。
若者の地方企業への就職を支援する方策として、
たとえば、地方企業に就職した若者に雇用保険から
五年間で100万円の所得支援を行うような仕組みを検討してはどうだろうか。
また、圏域内に留まった若者に対しては、人材育成のため、地元自治体が
積極的に支援するとともに、圏域内での異業種交流ができる
コミュニティの形成を推進すべきだ。
…また、子育て世帯に対して、地方都市の近隣で職住近接が可能な住まいを確保する、
「保育サービス付き住宅」を整備し、
子育て世帯が安く居住できるようにする、といった対策も有用である」

中高年の地方移住の支援
「40歳代頃の転職し再出発を目指し、地方への移住を考えている人は増えている。
こうした「地方移住関心層」は、移住先の詳しい情報を求めており、
こうしたニーズに対応して「全国住み替えマップ」のような形で
情報提供を行っていく必要もあるだろう。
総務省の「地域おこし協力隊」や農水省の「新・田舎で働き隊」のような、
都市住民の地方移住を支援する取り組みは着実に実績を上げている。
定年退職者が農村に移住し、農業に従事する「定年帰農」を支援する取り組みも有用である。
…受け入れる側の地方自治体においては、高齢者が安心して住み、医療、介護も含む
必要なサービスを身近で受けられるような「まちづくり」を進める必要がある。
具体的には、高齢者が病院などの充実した「まちなか」に住むよう誘導するため、
住宅を若者に売却して住み替える場合の優遇策を検討すべきである。
また、都市中心部の商業施設の容積率、建蔽率の規制緩和や既存建物を
介護施設、保育所等に活用する場合の要件緩和により、
「まちなか」のケア態勢を整備していくべきである。
さらに今後は一人暮らしの高齢者が急増してすることから、
こうした高齢者の移動(デマンドバスなど)、買い物、見守り、除雪等
のサービスの確保を図る必要がある。
その際には、民間インフラ(コンビニ、宅配業者同時)の活用も視野に入れるべきである」

地域経済を支える基盤づくり
「人口減少が進むなかで、地方の多くは「ローカル経済圏」を形成していくと想定される。
中心的な事業者としては、医療・福祉、バス、水道、教育などが考えられる。
こうした地域産業が安定的に維持され成長していくかどうかは、
官民それぞれの事業体にふさわしいガバナンスやファイナンスのシステムのもとで、
効率的な事業再編と事業運営をできるかどうかがカギとなる。…
地方も守りの姿勢だけでは十分でない。地域資源を活用して、
域外市場への展開を目指す企業の育成を進めるべきである。
そのためには、ブランドで勝負できる地域資源産業として、農林水産物や加工品、
フアッション、観光などの分野には相当なポテンシャルがあると考えられる」

農林水産業の再生
「フランスでは「青年就農交付金」が若年農業者の増加に成果を上げており、
日本においても、都市に住む若者による農林水産業への就業をいっそう支援していくこと
(就労支援とともに、地域社会との交流支援も)が重要である。
…農産品の付加価値を高めるためには、「六次産業化」や
「農商工連携」「農観(光)連携」「医福(祉)食農連携」といった
他分野との連携を推進していくことが重要である。
このため、「六次産業ファンド」の本格展開のほか、
こうした事業を興し運営できるスキル人材の養成・確保にも取り組む必要がある。



<地域が活きる6モデル>
若年女性人口増加率ベスト20
「(「消滅都市」が危ぶまれるなか)全体の流れと反対に若年女性が増える、
もしくは減少がゆるやかな市区町村がある。
2010年から2040年にかけての若年女性人口増加率が上位の市区町村推計に着目し、
主に産業、所得、財政の面から類型化を行い、人口減少対策のあり方を探ってみる」

産業誘致型
「工場や大規模商業施設などを誘致することにより、財政基盤の安定化を図り、
住環境整備を進め、人口流入を実現させているモデルを産業誘致型と呼ぶ。
…企業業績や経営に大きく左右されるリスクがある。グローバル競争が激化するなか、
企業、自治体、住民の緊密なコミュニケーションによる一体的な取り組みが重要になる。
石川県川北町は、若年女性人口変化率が15.8%増で、
1799の市町村のうち、最も増加率が高い自治体である。
…人口6,282人のこの町は、子育て環境の整備に熱心なことで知られている。
樋口敦子氏のルポによれば、1980年の町制施行を機に、積極的な企業誘致を行った結果、
松下電器の工場等が進出し、それらの固定資産税の増収をもとに福祉政策を進めたという。
ルボで例に挙げられているのは、ゼロ歳児でも所得に関係なく
月額2万円にとどまる保育料や、18歳まで医療費が無料になる制度である」

ベッドタウン型
「大都市や地方都市の近郊に位置することを活かして、住環境整備を重点的に進め、
定住人口を増加させているのがベッドタウン型である。
…福岡県粕屋町は、隣接する福岡市のベッドタウンとして人口が増加を続ける。
…若年女性人口変化率は11.3%増の全国4位である」

学園都市型
「大学や高等専門学校、公設・私設研究機関を集積させることにより、
若年人口の継続的な流入を実現し、
ローカル経済を持続させているモデルが学園都市型である。
…(欧米は有名大学の多くは地方にあり、学生が集まることで
大学の街として都市が成り立っている)
今後の日本の構造を考える際の重要なモデルである」

コンパクトシティ型
「将来の人口減少を見据えて、従来の街の機能を中心地に集約することで、
ローカル経済圏としての効率化を目指しているコンパクトシティ型と呼ぶモデルがある。
集積化による都市機能の向上を「魅力」に結びつけられるかどうかがカギになる。」

公共財主導型
「国家プロジェクト規模の大規模施設の立地を契機として、地域のあり方を作り変え、
財政基盤を安定させることで、人口減を防ぐモデルが公共財主導型である。
ただし、今後は従来のような開発を行うことは難しいと考えられる。
京都市木津川市・大阪府田尻町」

カギを握る産業開発型
「地域の特徴ある資源を活かした産業振興を実現し、
雇用の拡大や住民の定着を実現している
「産業開発型」モデルである。「自立型」といってもよく、
どの自治体も目指したいモデルの一つ」

①秋田県大潟村(農業)
産業開発型の代表例である秋田県大潟村は、農業の産業化に成功している。
若年女性人口変化率は15.2%増で全国2位」
「その特徴は農業規模の大きさであり、またそれを活かして
独立独歩による農業の産業化に成功したことある。
農家一軒当たりの農地の広さは全国平均の11倍。
1964年スタート時はわずか6世帯14人だった人口は、
2014年7月現在で1,091世帯3,286人。
…実際、秋田県の2011年度市町村民経済計算年報によると、
大潟村の一人当たりの所得は約341万6,000円で県内一位である。
…農業の大規模化、産業化が進み、人口も安定している大潟村は、
農村部からの若者流出に歯止めをかけているきわめて重要な事例である」

福井県鯖江市(中小製造業)
「1956年から長期にわたりほぼ増加基調であり、人口増加率は福井県内一位である。
…眼鏡フレームの国内市場シェアは96%、世界でも20%を占めており、
今では世界三大産地に数えられている。
…近年では、長年の眼鏡製造で培われた製造技術を活かし、
精密機器や医療分野などの異業種への参入も見られる」

北海道ニセコ町(観光)
「世界でも有数のパウダースノーに人気が集まり、
外国人観光客が集まるようになったのが2000年代以降のこと。
…今やスキーシーズンの冬だけではなく、ラフティング、カヌーといった
夏の観光産業も活発であり、通年型の世界的一大リゾートに変貌を遂げている。
ニセコ町で特筆すべきは、外国人観光客の動きを敏感に捉えた
自治体や地元商工会の受け入れ態勢もさることながら、リーダーの存在である。
…オーストラリア人のロス・フィンドレー氏は…ニセコ地域の自然に惹かれ、
1995年には、ニセコアドベンチャーセンター(NAC)を設立。
冬のスキーだけでなく、ラフティングをはじめとする夏のスポーツ事業化に成功し、
今では年間3万人がNACのツアーに参加し、ニセコ町の観光客増に大きく貢献している。
当初三人だったNACスタッフも、今では80人を数える。
ニセコ町のように、外部の眼によって地元の魅力が浮き彫りになることは珍しくはない。
全国の自治体にとって、観光は大きなポテンシャルのある産業である。
必要なのは、多くの人を迎え入れるにあたっての地元の熱意と柔軟な思考である」

岡山県真庭市(林業)
「真庭市は、ベストセラーとなった藻谷浩介・NHK広島取材班
『里山資本主義―日本経済は「安心の原理」で動く』で取り上げられて、
一躍有名になったように、注目すべき取り組みをしている。
…真庭市はエネルギー革命の最先端にある。
それは「木質バイオマス発電」といわれるもので、
同市の主要産業である林業、製材業で発生する「木くず」を燃料として発電する。
「バイオマスタウン真庭」を謳い、
2010年にはバイオマス関連の研究・人材育成拠点も設立された。
他の山間地域にも参考になる取り組みといえるだろう」