「空き家」が蝕む日本 | 石川巧オフィシャルブログ「すべては三浦のために」Powered by Ameba

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一期一会を大切に、神奈川県議会議員石川たくみのブログです。
<私の目指す政治活動>
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 ○一人でも多くの三浦ファンを ○より身近な市政に

人口減少や新築偏重の住宅政策の矛盾が、
「空き家問題」となって噴出しはじめています。
増え続ける価値ゼロ住宅、住宅ローンによる債務超過、
「空き家」で悪化する治安…。
長嶋修 著『「空き家」が蝕む日本』を読み終えました。



「2014年総務省データによれば、全国の空き家数は
約820万戸(五年前の8.3%増)、空き家率で13.5%と、
七~八件に一件が空き家という状況で、
もし2003年のペースで新築(約120万戸)を作り続けた場合、
2040年には空き家率が43%に達するとしています。
「空き家の増大」という現象は、社会構造改革が行われない
日本社会の象徴ともいえる存在です。
空き家の増大が意味するところは、従来型の思考や行動様式の
継続に他ならないからです」

「空き家率が30%を超えると都市環境が悪化し、
居住快適性が著しく低下してしまうことが研究者の間で知られています。
たとえば空き家に侵入していたずらするとか放火するなどの
犯罪の温床になったり、なにより街が荒れてくると、
そこに暮らす人の心も荒みます。
…かつてニューヨークで、ゴミや落書きで汚い地下鉄を綺麗にし、
警官を増やしたところ、劇的に犯罪が減少したといった、
いわゆる「割れ窓理論」をご存じの方も多いと思います。
…また上下水道などのインフラ整備やゴミ収集などの
行政サービスの効率も悪化して自治体の財政事情を逼迫させます。
北国では道路などの除雪作業も必要です。
とびとびにしか人が住んでいないため、
すべての行政コストが割高になるのです。
…(2007年財政再建団体となり、国の管理下に置かれる夕張市では)
行政効率をアップさせるべく、集まって住む「コンパクトシティ化」
に取り組むなどの再建が始まっています。
こうした事態が夕張市だけではなく日本全国で起きる可能性があるのです」


「「なぜ空き家はそのまま放置されるのか?」
ボロボロの建物でも、壊さないでそのままにしておくほうが、
土地だけ(更地)にしておくより固定資産税が安いのです」

「そもそもなぜ空き家が増えるのか。
…答えはかんたんです。
「必要以上に新築を造りすぎるから」です。
日本の新築住宅建設は景気対策の道具になっているからなのです」
「日本はこれまで毎年、おおよそ19兆円程度の住宅投資を続けてきました。
ところが、住宅資産額は常に350兆円程度と一向に積み上がっていません。
こんな事態になっているのは先進国で日本だけです。
日本の住宅は新築を買ったときに最も高く、
中古住宅になったとたんにその価値が15~20%も低下。
およそ10年で半値となり、25年程度でその価値がほぼゼロになる
というのがこれまでの定説でした。
多額の住宅ローンを組んで新築のマイホームを買っても、
住んだ瞬間から資産価値とローン残高の目減り競争が始まる。
住宅は資産ではなく、あたかも耐久消費財のような扱いをされ、
いくら投資してもそれが価値に反映されることはなかったのです。

…いまある中古住宅を大事に使う方針に改める必要があります。
…他の先進国と比較すれば、「リフォーム市場」は現在の二倍以上に
伸びてもおかしくありませんし、「中古住宅市場」は五倍くらい
伸びても全くおかしくはないのです」
「新築住宅価格の高止まりは、「生産者重視」であって、
今後は中古住宅価格の維持という「生活者重視」の政策に変わらなければなりません」


「老後に自宅を活用する「リバースモーゲージ」が、
各政党のマニフェストなどに掲げながら一向に実現しないのは、
価値毀損を放置しているからです。
自宅を担保にお金を借り、死ぬまで返済不要。本人死亡後、
不動産を売却することで借入金を返済するリバースモーゲージと
いった仕組みは、本格的な高齢化で社会保障費の増大が懸念される
我が国において、必ず実現させたいところでしょう」
「国交省が主宰する「中古住宅市場活性化ランドテーブル」では、
2013~2014年度にわたって、中古住宅の再評価の議論が行われています。
一つ目は「リフォームや修繕を行うことで、建物価格が上昇する」
という考え方、もう一つは「リフォームや修繕を行うことで、
実質的な築年数が短くなる」という考え方です。
同時に「建物評価の現場検証」や「新住宅データベースの整備」なども
並行して取り組まれており、2015年度には住宅評価について
何らかの新体制がスタートする見込みです」


「おそらく今後、日本の住宅はもっと寿命が延びることになります。
適切な点検や修繕を行う習慣がなかったこれまでの状況で推計したのが
これまでの寿命であり、所有者が意識して点検•メンテナンスを行うだけで
格段に長持ちするはずです。
…「建物の平均寿命推計」の最新調査によれば、
…木造住宅の平均寿命は64年としています。
マンションの寿命には諸説あります。117年、150年など。
実際には配管の種類や箇所にも大きく左右されますが、
思いのほか長持ちするイメージですね」
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