『人口減少時代の自治体経営改革―日本のあしたのつくり方』 大庫直樹 | 石川巧オフィシャルブログ「すべては三浦のために」Powered by Ameba

石川巧オフィシャルブログ「すべては三浦のために」Powered by Ameba

一期一会を大切に、神奈川県議会議員石川たくみのブログです。
<私の目指す政治活動>
 ○自立的な生活経済圏     ○誇りの持てる教育
 ○一人でも多くの三浦ファンを ○より身近な市政に

経営コンサルタントの視点で自治体のあしたを考える。

私が議会一般質問で紹介した「エコノミックガーデニング」
のような自治体による地元企業の支援育成を謳っています。

『人口減少時代の自治体経営改革―日本のあしたのつくり方』
元マッキンゼー共同経営者、大庫直樹著























【人口減少社会で「小さな自治体」をどう実現するか】

(自治体)超長期予算シュミレーションのもたらす重要なメッセージは、

「無い袖は振れないのならどうするべきか」ということである。


税制を変えない限り人口の減少によって税収が減少していくことや、

国からの支援がこれ以上あまり期待できないことを前提にしたとき、

何を取って何を捨てるべきか、それを考える、ということである。


…多くの自治体で長期予算のシュミレーションはしても、

いまだに右肩上がりの前提を使い続けている。

自治体は企業と違って、成長力のある

海外に活路を求めることはできない。

自治体には逃げ道がない。

地球の人口減少がダイレクトに反映されることになる。


もはや限られた資源をどこに投入すべきか、

取捨選択をすべき時代に突入しつつある。

それに気づいた自治体の首長や自治体は、

顧客である地域住民たちを幸福な社会へと導いていける、

そうでない首長や自治体は、

巨額な借金だけを次の世代に残していくだけではないだろうか。



【自治体にとっての成長戦略ー企業を県外に送り出せ】

自治体の企業支援は、基本的には金融支援であることが多い。

だが、金融支援がすべてなのか。

地元企業の広域化において、

おカネだけが不足する経営資源ではない。

人材であり、情報であり、取引先であり、パートナーである。

大企業誘致に積極的に動くのと同じように、

初めての体験をする地元企業への支援を

行なって然るべきではないだろうか。


広域に伸びゆく、あるいは伸びるポテンシャルのある企業を、

自治体がほとんど把握していない…

それは自治体はどちらかというと、

社会福祉の側面から困窮している地元企業に

力を注いできたことにも一因がある。

一方で、短期間で雇用を創出するために、

出来上がった大企業の誘致に

躍起になっていたことも別の要因となっている。

しかし、本当に地元にとって大切なことは、

地元企業が中長期の時間をかけて

成長していくこと、それによって

地元経済も潤うことではないだろうか。



自治体は、その地域から外に広がることはできないが、

地元企業を地域外で助けることを、

これからの重要業務として位置づけていくべきではないだろうか。




【「財政」から「財務」による自治体経営への転換】

日本の自治体の本質的な問題は、

バランスシート全体に目配りをする

「財務マネジメント」という発想が

これまでなかったことである。

人口減少社会が訪れ、確実に財政を

逼迫すると予想される今、

日本の自治体にも民間企業のようなCFO(Chief Financial Officer)が

誕生してもおかしくないはずである。

民間がいう財務とは、一言でいえば、おカネの効率的な管理のことである。

英国では法律の定めに基づいて自治体は

CFOを定めなければならないことになっている。



【人口減少がもたらす自治体の多様性】

今や国や県との役割分担の見直しも含め

自治体の在り方、経営方法などを

社会システムとしてデザインし直さなければいけない時期に

差し掛かっているということである。



人口が減少する過程で、アセット(資産)

は思い切った整理をしなければならない。

アセットとして保有し維持•管理を

続ける限り、それは固定費となる。

固定費である限り、人口1人当たりの

負担は人口減少の過程で増え続ける。


…アセットの生産性は漸減していくことになる。

アセットを人口減少に合わせて

取捨選択していかない限り、

アセットの生産性は向上しない。

人口減少は成熟した社会の訪れでもある。

成熟化は、地域社会の多様性を求めるし、

それを許容せざるを得ないということである。

自治体の目指すべきものは、

それぞれ違った豊かさ、あるいは幸せの実現となる。

異なる目標を目指すのに、同じ体制、

仕組みはかえって足かせになる。



【大阪府特別参与としての4年間】

私は、財務部門を創設することと、

CFOを登用することを提言していた。

2013年4月、ついに総務部が解体され、

別個に財務部が生まれることになる。



実は私の橋下徹さんへの最初の提言は、

中小企業育成についてであった。

提言内容は、広域展開できるポテンシャルを持つ企業への

行政としての支援である。



【公営企業債の改革】

大阪府•市のための最近の仕事は、

水道、地下鉄などの公営企業の資金調達問題である。

既存の借入を政府系資金だけでも

繰上返済して借り換えることが

できれば、その改善効果は極めて大きい。

大阪府•市の場合、試算してみると

100億円を超えるような効果をもたらす。

…仮にこうした検討から日本全国の

公営企業債改革につながるとすれば、

本書を書き著そうとした趣旨である

「大阪の自治体経営の改革を普遍化し、

日本の地方行政の改革に役立ててもらう」

ことに、まさに通じることである。


…国や自治体の顧客は、国民であり、地域住民である。

国民、地域住民にとって便益にかなうことを行うのが、

国や自治体のミッションである。