小網代の森、開放へ『環境を知るとはどういうことか』 | 石川巧オフィシャルブログ「すべては三浦のために」Powered by Ameba

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一期一会を大切に、神奈川県議会議員石川たくみのブログです。
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2014年夏、三浦市「小網代の森」の遊歩道が
完成して一般開放されます。

「小網代は、子どもでも一時間で
「ああ、地べたってこうなっているんだ」
と〈流域〉の自然を実感できます」

『バカの壁』の養老孟司と
環境保全家岸由二慶應大教授による
「小網代の森」探索と環境対談!
『環境を知るとはどういうことか~流域思考のすすめ』


「小網代とは、三浦半島のリアスの湾を囲む一帯を指す、
源流から海まで、一つの流域が自然のままで残っている
全国的にも稀有な所である」

岸教授「森が深いでしょう?僕が入りはじめた25年前は、
この一帯にはゴルフの打ちっ放しの練習場があって、
カラスがしきりにボールを拾いに来ていました。
でも谷は湿度も高いので、木や草がすぐに大きくなります。
このシダ(アスカイノデ)がすごい。これが茂ると壮観です。
20年前に子どもたちと来たときは、
ジュラ紀の森だと言って大はしゃぎでした」

岸「谷の自然管理というと、
多くの人はほとんど木のことしか考えませんが、
ここでは水が大事です。
水循環をきちんとしないといけない。

小網代はキノコゾーンで、好きな人は
いろんなものを見つけます。
クリタケとか、かなりの種類があります」
養老「(トンネル状に地表を覆った笹藪を見て)
すごい。みごとなトンネルだ」
岸「『トトロのトンネル』といって、
訪問者にはとっても人気の高い道です。
いずれ壊す日も来るかなとは思うのですが…
…ここの広場は『アカテガニの広場』とよばれています。
管理活動のために神奈川県が先行的に
確保してくれた場所ですね。
背後に小さな谷があって、本流とは別水系です」

養老「岸さんには前から本を書けと
言っているのに、なかなか書かない。
それならこちらから引き出してしまえばいい、
ということでこの対談が生まれました」
岸「小網代は三浦半島の先端にある
リアスの湾を囲む一帯の地域です。
正確には『擬リアス』というようですが。
小網代湾は1000mほどの奥行きがあり、その東に、
三崎台地面にいたる、1200mぐらいの谷が伸びています。
リアス式の湾があり、その奥に細長い湾と谷があるという構造です。
今は半分が水没していて、半分が陸上にあるという構造ですね。
『浦の川』という川が刻んだ谷なのですが、
何が面白いかというと、
流域がまるごと自然のまま残っていることです。
4、50年前までは水田、畑のある農地だったはずですが、
今は道路も住宅他もありません。
『流域』とは、雨水が川に集まる大地の
全体を指す言葉です。
小網代では、降った雨が森を下って川となり、
上流•中流•下流で大きな湿原をつくり、
干潟になって海に流れることで形成される
『流域』の姿がワンセットで全部見られるのです。
規模でいうと80ヘクタール弱くらいで、
そんなに大きくはないのですが、
源流から海まで、自然のままの『流域』の
ランドスケープがそのまま残っている姿は、
関東では小網代でしか見ることができません。…
2005年、おかげさまで小網代の谷は
全域が近郊緑地保全区域に指定されたのですが、
そのときの指定理由の最大のポイントは、当地が
『完結した自然状態の流域生態系』
であるというものでした」
岸「小網代の完結した集水域生態系には、
2001年の私たちの集計では約2000種類という
生物の多様性があることになっていますが、
実際は、たぶん3000から4000になると思います。

…『流域は日本列島の地形と文化の基本、
そのモデルのような小網代の谷はまるごと守るべき』…
1990年には、国際生態学会議という
世界の生態学者を集めた大会議が横浜で開催されました。
私は、『SAVE KOAJIRO』という」ポスター発表
を行いましたが、そのときに、
ランドスケープエコロジーの世界の大物たちと、
小網代までバスで小旅行に出かけたんです。
私も案内役をつとめたのですが、
大物たちが小網代の景色を見て
「何だ、これは!」と非常に驚いた。
彼らが言うには、「日本人はよくわかっていない
かもしれないけど、相模湾の遠景まで含めて、
こんな地形、こんな素晴らしいランドスケープは、
同緯度の北半球にはない。なぜここを壊すのだ?」

養老「生まれてからある年代まで見た空間が
自分の空間意識、地図の読み方を決める
という藤森照信さんの説を紹介しましたが、
これは川でも同じことです。
川の流れや石のあり方はものすごく複雑で、
しかも動いています。
そういったものをずっと見て育った子どもは、
何かの答えをちゃんと身につけています。
だから、現代の都市が何かの答を
一切身につけていない子どもを
大量生産していることが気になる。
子どもは山の中に放っておけと思っている」
岸「小網代の干潟で、ワタリガニを捕まえて
とっても幸せそうにしていた子どもがいましたね」
養老「そう、ああいう泥だらけの連中が、
将来の世界をしょって立つのです」