小学校6年生の秋の話。
終わりの会が終わり、私は帰ることにした。
靴を履きかえ、昇降口を出るとピロティにでた。
ピロティには小学3年生くらいの女の子がトンボを追っかけていた。
女の子は全然トンボを捕まえられない。
トンボなんかつかまえれるだろーよ。
と思った私は、女の子とは一切面識なかったのだが、一緒になってトンボを捕まえることにした。
が、虫網を持ってなかったため被っていた赤白帽子を虫網の代用とした。
一回目、帽子を振り回した。
ぶぅん。
空を斬った。
トンボは捕まえられなかった。
そこで私は悟った。
帽子でトンボは捕まえられないと。
が、下校する大勢子ども達がいる中、小六の女が帽子を振り回しているのである。
ここでやめるのは赤っ恥なのだ。
もう一度、今度はジャンプして帽子を振り回した。
周りは「アイツなんで跳ねてるんだ」みたいな冷たい目で見て、去っていった。
そんな人をよそ目に帽子を覗いてみると、青トンボがピクピクしていた。
やべぇ!トンボ死にそう。
女の子が私をみて、目を見開いていた。
いたたまれないので、私は「トンボ捕まえた。あげる。」といって、女の子の手のひらに乗せた。
私は走って逃げた。