8月最後の木曜日になりました。

すでに多くの学校で二学期が始まっていると思いますが、台風10号の進路や影響が気になります。

台風の速度がかなり遅く、関西に接近して直接的な影響が出始めるのも、当初の予想より遅くなっています。

現時点では、関西は、31日(土)あたりが最接近でしょうか。

土曜日のジーニアスの授業にも影響が出そうです。

さて、福島第一原発に関する『NHK』の記事(編集しています、すみません)を読んでください。

『福島第一原発 核燃料デブリ取り出し 直前で延期 再開時期未定
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240822/k10014555731000.html
 東京電力は22日、福島第一原子力発電所の事故からおよそ13年半で初めてとなる核燃料デブリの試験的な取り出しに2号機で着手する予定でしたが、取り出し装置の取り付けにミスがあり、直前で延期したと発表しました。
 今後、ミスが起きた原因を確認するとしていて、再開の時期は決まっていないということです。
■核燃料デブリの試験的な取り出し 直前で延期
 福島第一原発の1号機から3号機では、2011年3月の事故で溶け落ちた核燃料と周囲の構造物が混ざり合った核燃料デブリがあわせておよそ880トンあると推定され、極めて強い放射線を出し続け容易に近づけないことから、その取り出しは「廃炉最大の難関」とされています。
 東京電力は22日、事故からおよそ13年半で初めてとなる核燃料デブリの試験的な取り出しに2号機で着手するため、午前7時半前から準備作業を始めましたが、取り出し装置の取り付けにミスがあり、直前で延期したということです。
(中略)
■予定していた核燃料デブリの試験的な取り出し作業とは
 今回の試験的な取り出しで、東京電力は、2号機の原子炉を覆う格納容器の底にある核燃料デブリのうち、小石状のものをひとつぶ取り出す計画です。
 この際、放射線量が高くなりすぎないよう、重さを3グラム以下に抑えるとしています。
 取り出しには専用に開発した「テレスコ式」と呼ばれる伸縮式の細いパイプ状の装置を使います。
 はじめに、格納容器の内部に通じる直径60センチメートルの配管の中に装置を入れ、21メートルまで徐々に伸ばしていきます。
 そして、格納容器の内部に達した先端部分からデブリをつかむ器具を数メートル下までケーブルでつり下ろし、底に堆積しているデブリをつかんで回収する計画です。
 現場の放射線量が高く人が容易に近づけないことから、ほとんどの作業は遠隔操作で行われ、器具の先端についたカメラで状況を確認しながら装置を慎重に進めます。
 さらに、作業員の負担や被ばく線量を考慮し、1日の作業時間は午前中の数時間に抑える予定で、こうした事情から、東京電力は作業を完了するまでには1週間から2週間程度かかるとしています。
 装置でつかんで持ち上げ、格納容器の外へ回収したデブリは容器に入れる前に表面から20センチメートルの距離で放射線量を測定し、1時間当たり24ミリシーベルトを超えた場合には、作業員の被ばく線量を抑えるため格納容器の内部に戻す計画です。
 放射線量に問題がなければ、デブリを容器に入れ、一連の取り出し作業は完了となります。
 このあとデブリを入れた容器は、茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の研究施設に運ばれ、半年程度かけて詳しい分析を進める予定です。
 今回、核燃料デブリの取り出しを試みる2号機の格納容器は、5年前に同じような形状の装置を使って調査していて、このとき小石状のデブリとみられる堆積物を動かせることを確認しています。
 こうした調査の結果から、政府と東京電力は小石状のデブリは取り出すことができると判断し、2号機で試験的な取り出しを行うことを決めました。
■「30年から40年で廃炉」工程表と現在
 政府と東京電力は、事故が起きた2011年に福島第一原発の廃炉を「30年から40年で完了する」とした工程表を策定し、これまでの合わせて4回の改訂でも最終的な目標は堅持するとしています。
 ただ、今回初めて行う核燃料デブリの取り出しは「2021年までの開始」からすでに3年近く遅れ、はじめは数グラム程の試験的な取り出しにとどまる計画です。
 今後、3号機で始める予定の本格的な取り出しについても、東京電力が、ことし3月に国の専門機関からの提言を受けて工法を検討している段階で、開始時期の見通しは立っていません。
 さらに核燃料デブリを取り出せたとしても、デブリを含む膨大な放射性廃棄物をどこでどう処分するかについては、取り出し開始後に検討するとしていて、工程表どおりに最長40年で廃炉を終えられるかは不透明さを増しています。
(後略)』

いかがでしょうか。

全部で880ドンあるといわれている「核燃料デブリ」を、今回3グラムほど取り出そうとする試みに人的ミスで失敗したわけです。

この取り出し作業が順調に行われて、1日に1千回繰り返すことができたとしても、1日の取り出し量は3キログラム、1年でおよそ1.1トンです。

あくまでも単純計算ですが、これら880トンをすべて取り出すのに、

880トン÷1.1トン=800年

かかることになります。

取り出す量が10倍の1日30キログラムになっても、80年かかります。

しかも、取り出したデブリは「正しく」処分する必要がある危険な「放射性廃棄物」です。

地震大国日本で、原子力発電が直面する現実です。

私たちも、原発を推進する「日本の政治や行政」を直視する必要があります。

最近、「う~ん」とちょっと唸ってしまうような記事を見つけました。

①も②も、『プレジデントオンライン』の記事(どちらも編集しています、すみません)です。

①『学歴詐称を気にするのは"学歴バカ"だけ…疑惑ありで公約不履行でも小池百合子氏が圧倒的に女性ウケする訳 「カイロ大学を卒業してるかどうかなんて都知事の仕事をするのに関係ない」
https://president.jp/articles/-/83458
 都知事選の候補、小池百合子氏が蓮舫氏より女性支持者ウケしているのはなぜか。元参議院議員で大正大学准教授の大沼みずほさんは「学歴詐称疑惑や公約の7つのゼロ化未達成などを批判する人がいますが、女性はそれをあまり問題視していない」という――。
 現職の小池百合子さんと前参議院議員の蓮舫さんへの男性からの支持は各3割なのに対し、女性の支持は小池さんが4割あまり、蓮舫さんが約3割――。都知事選の投開票が7月7日に迫る中、このような調査結果が報じられた(JNNによる電話調査、6月29~30日)。
 なぜ、小池さんは女性ウケがいいのか。
 彼女は学歴詐称疑惑を抱えるとともに、公約も7つのゼロ化未達成で不履行も多いといった声もある。反小池派はこれを攻撃材料としているが、総じて女性有権者はそれらをあまり気にしていないように見える。
 理由は大きく2つある。まず、「女性は学歴社会で生きていない」ということだ。もうひとつは女性が共感できる政策を一定程度実行したことへの評価があるからということだ。2つの理由の背景にあるものを順番に解説しよう。
■学歴詐称疑惑に無関心な女性たち
 小池さんは過去に何度も学歴詐称疑惑を指摘されている。この質問を受けるとき、彼女は「またですか?」といらだちを隠さない。そうした言動に反発するのは主に男性ではないか。もちろん、学歴にウソを書いてはいけない。だが、そんなに毎回大騒ぎすることなのかどうか。
 筆者の母親(76歳)は先日、言っていた。
「だって、小池さんがカイロ大学を出ているかどうかって都知事の仕事をするのに関係ないじゃない」
 まあ、その通りだよな、と思う。ネット上でも、「どんな噂があれ、大学が証明しているのだから問題ない」「失政がないから、こうした批判材料を探してくるのだろう」といった声が少なくない。ところが、学歴に固執する人々がいる。批判を覚悟で言うが、中高年の男性だ。なぜ彼らは学歴にうるさいのか。
■学歴社会の男社会
 日本社会は昔も今も学歴社会である。かつて霞が関では、「東大法学部出身」は当たり前で、「どこ出身?」というのは、あくまでも「どこのゼミ出身か?」という質問だ。ジェンダーギャップ指数118位の「ザ・男社会」の日本で、世に働く男性にとって学歴というのはとても重要なものなのだろう。
 企業のエントリーシートに大学名を書かなくなった現代でも、学生間では企業がどこ大学出身かわかる仕組みがあるらしいとまことしやかに言われる。就活が終わって蓋を開けて見れば、結局、大手企業はみな高学歴出身者ばかりだからだ。
 そうした“学歴バカ”もしくは“学歴コンプレックス”の男性が小池さんを執拗に叩いているのではないか。
■日本社会における女性の学歴の価値
 結婚した女性たちは高学歴の旦那を持つママたちの会では、こちらから聞いていないのに「うちの主人は慶應出身で、商社に勤めている」とか「うちのパパは東大出たけど、その後起業して」といった旦那の学歴を使ってのマウンティングが盛んに行われているとも聞く。
 一方、ママ友会では、自分の学歴を言ったり、相手に聞いたりしてはいけないという暗黙のルールがある。学歴は女性にとってタブーなのだ。そのため小池さんの「カイロ大学を卒業しているかどうか」問題にも無関心になるのも必然なのかもしれない。
■女性国会議員の肩書は学歴より職歴
 では、政治家にとっての学歴はどうか。衆議院で男性国会議員は9割を占めるが、その内訳は東大出身者が最多で、早稲田、慶應と続く。一方で、女性国会議員で、東大出身者としては上川陽子外務大臣や片山さつきさんなどが知られているが、少数派だ。
 それよりも「世襲、キャスター、タレント」といった肩書のほうが強い。世襲議員としては、小渕優子さん、野田聖子さん、加藤あゆ子さん。キャスターとしては小池百合子さん、高市早苗さん。タレントとしては、三原じゅん子さん、今井絵理子さん……。学歴よりも出自や職歴が大事なのだ。女性議員は女性議員の学歴を知らないケースも多い。
■公約未達成より時代を先んじた女性目線の政策
 小池さんの7つの公約について「待機児童」「残業」「満員電車」「ペット殺処分」「都道の無電柱化」「介護離職」「多摩格差」をそれぞれデータで見ると、待機児童は8466人から286人へ大幅減少。残業時間は13.5時間から16.8時間に増加、満員電車は164%から123%に減少、ペット殺処分については、203匹から0匹。都道の無電注化率38%から46%へ。介護離職は7800人から1万4200人に増加。といった具合に7つのゼロ化のうち、達成されているのは、「ペット殺処分」だけであり、公約はクリアされていないが、多くの女性にとって共感できる政策を打ち上げた小池さんを信頼しているようだ。
 小池さんは一貫して、女性が活躍できる社会が日本をよりよく成長させ、発展させるという信念を持っていた。そのため、女性の管理職の割合を高めようとか女性議員を増やそうとかそういった政策に熱心に取り組んだ。都知事になってからも、それを実践しているからこそ、女性の支持者が多いという結果につながっているのだろう。』

かなり省略しましたが、それでも長くなりました。

この記事の筆者は、大沼瑞穂さんという大正大学地域創生学部公共政策学科准教授ですが、記事中にもある通り、自由民主党所属の元参議院議員(1期)でもあります。

教鞭をとる身でありながら、少々トンチンカンな論理を展開しています。

たとえば、タイトルの『学歴詐称を気にするのは"学歴バカ"だけ』は、一見すると納得できるものですが、不満な点もあります。

小池百合子氏の「学歴詐称問題」は、「どこの大学を出たかの学歴問題」というより、「立候補者が学歴詐称を疑われる問題」だということなんですね。

しかも(学歴が本物かどうかは別にしても)、「カイロ大学卒業」を持ち出した時点で、小池氏自身が「"学歴バカ"」であるといえるかもしれませんし、「"学歴バカ"な有権者からの集票を見込んだ策士」であるともいえるわけです。

筆者に、そのような視点はないのでしょうか。

また、女性国会議員では、「世襲、キャスター、タレントといった肩書のほうが強い」とあっさり書いていますが、「"学歴バカ"」を云々するなら、たとえば「"世襲バカ"」にも問題意識を持ってほしいものです。

やはり、ネットの記事の「タイトル」には要注意ですね。

②『いつまで「第○波」を続けるつもりなのか…「高齢者を守れ」の大合唱を繰り返す国は衰退するしかない コロナ騒動を続けたい老害のせいで若者が犠牲に
https://president.jp/articles/-/85162
 「この夏、日本に新型コロナの『第11波』が到来」。専門家やメディアのそんな喧伝が止まらない。ライターの中川淳一郎さんは「一体いつまで『第○波』と煽るつもりなのか。コロナ騒動で過度に高齢者を優遇したため、子どもや若者が割を食った。後進のことを考えず、コロナ騒動を継続したい老害のせいで、日本はますます衰退していく」と憤る――。
■「5回目の夏」を迎えたコロナ騒動
■「準緊急事態」って何?
■予想を外しても検証すらしない専門家たち
■根性論でウイルスは撃退できない
■専門家の自己保身に振り回される
■「休日になると人流が増加して感染リスク拡大」は眉唾
■政治家の語る注意喚起も変わらない
■高齢者を優遇し続ける衰退国家
 そろそろ「コロナを気にするのはオワコン」という話にすればいいのに、波が来たら「マスクを着けろ!」「高齢者を守れ!」の大合唱。とことん学ばない国である。こうした意見がテレビを通じて流れると、日本人は一斉に信じてしまう。
 2024年の出生数は日本総研によると70万人を割る見込みで、少子高齢化はますます進む。第2次ベビーブームのピークである1973年の出生数は209万人だったから3分の1だ。この世代が高齢者になるとき、とんでもなく少ない人数の現役世代が支えなくてはならない。つまり、子どもや若者の将来を鑑みるのであれば、少しでも日本の衰退を鈍化させるための策を打つことこそ、喫緊の課題ということ。そんな状況下で「コロナ治療に公費を」とはよく言えたものだ。
■コロナ騒動を続けたい人々が日本をダメにする
 本当にこの4年半は「おじいちゃん、おばあちゃんの命を守れ」の大合唱のもと、若者や子どもが犠牲を強いられ続けた。「えっ、オレ、学校行かなくて済んだからマジ嬉しかったっすよ」などとホザく不心得者もいるが、貴殿はさすがに自分のことだけを考えすぎだ。
 どうせ2024年夏、コロナの恐怖を煽っていた専門家も、メディアも、政治家も、日本が本格的にヤバくなる2050年代には「逃げ切る」人々であろう。コロナ騒動をいつまでもダラダラ続けたい人々は、後進のことを考えていない老害だ。仮にいま30代、40代であっても老害である。
 正直、日本という国がここまでバカだとは思っていなかった。なんで風邪をもたらすウイルスにビビり続け、“コロナに怯えて過ごす5回目の夏”を許容するのだ。ワケがわからない。
 そんな状況なので、政治にも国民にも、もはや期待なんてできない。賢明なる皆さんは自分の力で、自分なりにたくましく生きるすべを見つけていただきたい。
【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・新型コロナの蔓延から5回目の夏を迎えたが、一体いつまで「第○波」と続けるつもりなのか。
・いまだに2020年ごろと変わらない感染対策を推奨してくる専門家や政治家には、あきれるばかりだ。
・コロナ騒動で犠牲になったのは、子どもや若者。彼らのことをいちばんに考えられない日本に、明るい未来はない。』

『「高齢者を守れ」の大合唱を繰り返す国は衰退するしかない』というセンセーショナルなタイトルの記事です。

主に「新型コロナ専門家」を痛烈に批判する記事ですが、志の低い政治家や官僚ばかりが目立つ日本で、専門家による「正しい議論や情報発信」が成立するはずもなく、当然、新型コロナ対策もグダグダなまま続いてきました。

マスメディアによる厳密な検証もほぼありません。

とはいえ、この記事の以下のような記述は、

『コロナ騒動で過度に高齢者を優遇したため、子どもや若者が割を食った。後進のことを考えず、コロナ騒動を継続したい老害のせいで、日本はますます衰退していく』

『この4年半は「おじいちゃん、おばあちゃんの命を守れ」の大合唱のもと、若者や子どもが犠牲を強いられ続けた』

『2024年夏、コロナの恐怖を煽っていた専門家も、メディアも、政治家も、日本が本格的にヤバくなる2050年代には「逃げ切る」人々であろう。コロナ騒動をいつまでもダラダラ続けたい人々は、後進のことを考えていない老害だ。仮にいま30代、40代であっても老害である』

『正直、日本という国がここまでバカだとは思っていなかった。なんで風邪をもたらすウイルスにビビり続け、“コロナに怯えて過ごす5回目の夏”を許容するのだ。ワケがわからない』

「正論」なのでしょうか、それとも、世の中の分断を促す「暴論」なのでしょうか。

新型コロナウイルスは、ほんとうに、単なる「風邪をもたらすウイルス」なのでしょうか。

新型コロナに関して、「正しい分析」はどこにあるのでしょうか。

誰が「本物の専門家」なのでしょうか。

もしかすると、①の「大学准教授」氏の記事も、②の「名の通ったライター」氏の記事も、「ネットの記事はほんとうに怖いよ」という見本でしかないのかもしれません。

 

木曜日になりました。

そろそろ二学期が始まる学校もあるようですが、有意義な夏休みを過ごせましたか。

親子ともに、夏休み前の生活のリズムに戻っていますか。

本来なら、長期休暇に入っても、学校があるときと同じリズムの生活を保つべきですが、長期休暇にはいろいろなイベントもあって、「普段のリズム」は乱れがちでしょう。

だからこそ、進学塾に通っている子どもたち(+その親御さん)にとっては、長期休暇明けの最初の「公開テスト」が腕の見せ所だったりするわけです。

少しでも早く「朝起きる時間、夜寝る時間」を元に戻してくださいね。

さて、南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」の呼びかけが一週間で終了しましたが、みなさんはどのように対応しましたか。

家族で、「わが家の防災」について話し合いましたか。

「巨大地震注意」に関しては、次のような記事(『東京新聞』、編集しています、すみません)があちこちでみられます。

『南海トラフ臨時情報の疑わしさ…地震学者が語る「科学的にあまり意味はない」とデータごちゃまぜの内実
https://www.tokyo-np.co.jp/article/347650
 南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」の呼びかけは、政府の発表から1週間が経過した15日、終了した。幸いにも、期間中に巨大地震は起きなかった。だが、お盆休みと重なったため観光地では予約のキャンセルなど大きな影響が出た。臨時情報に問題はなかったのか。南海トラフ地震を巡り科学と政治の密接な関係を取材し、著書「南海トラフ地震の真実」で菊池寛賞を受賞した東京新聞社会部の小沢慧一記者が、臨時情報のあり方を3回にわたって問う。(続編は後日公開します)
◆根拠があまりに薄弱
 「この程度の情報を社会に出す意味が本当にあるのか」。2016~17年に臨時情報を作る上で地震学者たちが地震予測の可能性を検討した調査部会。部会を終えた委員の一人は当時そう話していた。
 「不確実な情報を防災に生かす」として議論が重ねられた臨時情報。社会に大きな影響を与える情報にもかかわらず、それを支える根拠があまりにも薄弱なことから、2019年に運用が始まってからも、専門家からは同様の疑問の声が上がっていた。
 科学的にどこがおかしいのか。名古屋大の鷺谷威教授(さぎや・たけし、地殻変動学)に聞くと、臨時情報の根拠となっている統計がそもそも問題だという。「内閣府が検討のために寄せ集めたデータ。学術的意義はほぼない」
◆古すぎるデータ、信ぴょう性に疑問
◆「科学的にはやりすぎ」と専門家
◆日向灘の地震が南海トラフに影響を与えたとする研究はない
◆防災的な判断と科学は別
 こうした教訓から備えを再確認する意義はある。だが、それはあくまで防災的な判断だ。臨時情報は政府が情報を出すだけの立場で、対策を講じたことによって実際に生じるコストや損失は自治体、企業、個人が責任を負う。
 だからこそ「科学に基づいた確度の高い情報ではない」ということもセットで伝えることは、それぞれの主体が的確な判断をする上で不可欠だ。』

引用元を訪れて全文を読んでいただきたいですが、いかがでしょうか。

8月8日に宮崎県で起こった震度6弱の地震以降も、日本各所で地震が続いています。

幸いなことに、南海トラフの巨大地震や首都圏直下型大地震は起こっていませんが、今この瞬間に起こっても不思議ではありません。

地震に関しては、次のような記事(『現代メディア』)もあります。

『「巨大地震」で多数の「電車内閉じ込め」が発生するという「目をそむけたくなる現実」
https://gendai.media/articles/-/135268
山村 武彦 防災システム研究所所長 防災・危機管理アドバイザー』

この記事の中では、2018年6月18日午前7時58分に発生した大阪府北部地震を取り上げ、都市型地震だからこそ起こり得る被災について説明しています。

『その時のエレベーター被害について、日本エレベーター協会によると、近畿圏のエレベーター保守台数12万2000台のうち、緊急停止6万6000台、閉じ込め台数339台。閉じ込め者の救出時間は通報を受けて最大5時間20分、平均80分かかっている。地震時管制運転装置が設置されていたにもかかわらず、閉じ込めが起きた原因の多くは、震源が近くそして浅かったため、初期微動(P波)を感知して最寄り階に着床する前に主要動(S波)が到達したためとみられている。』

『さらに、もう一つの閉じ込めは、朝7時58分という通勤・通学ラッシュ時の地震による列車内閉じ込めだ。これはどこの都市でも起きる可能性がある。大阪北部地震では、東海道・山陽新幹線とJR西日本・JR東海の計26路線、大阪メトロ9路線、関西大手私鉄計33路線、中小私鉄計10路線が、地震直後に緊急停車し運転見合わせとなった。
(中略)
 JR西日本の場合、地震発生時の運行本数は127本。地震発生直後の午前7時58分に全線運転見合わせ、駅間停車列車は35本、乗客は約3万8000人。避難誘導は8時25分頃から開始され、すべての利用客の避難誘導が完了したのが12時45分。つまり、最大で約4時間閉じ込められていたことになる。車内に2時間近く閉じ込められた乗客の一人(35歳女性)にインタビューすると、「満員状態で、電車内は停電で換気やエアコンが動かないため、暑かった。困ったのはトイレでした。3両先の車両にトイレがあるとのことで、人をかき分けながらトイレ車両まで行くと、もう行列で、そこで30分以上待つ間が辛かった。いつ動くのかがわからず情報が少なかった。もし、トイレ車両がなかったら、体調を崩していたと思う」と言っていた。』

エレベーター内や電車内に閉じ込められる可能性は、誰にでもあります。

もしかすると、学校帰りの小学生が、自宅マンションのエレベーター内に閉じ込められるかもしれません。

仕事帰りに一杯飲んだ人たちが、電車内に閉じ込められるかもしれません。

これは以前のメルマガでも書いたことですが、私自身、この大阪府北部地震が起こったとき、JR大阪駅とグランフロント商業ビルをつなぐデッキにいました。

地震があと少し早ければ、JR神戸線で車内に閉じ込められていたでしょうし、あと少し遅ければ、グランフロントのエレベーター内に閉じ込められていたでしょう。

上記記事では、エレベーターに関しては、閉じ込め時間が「最大5時間20分、平均80分」とありますし、電車に関しては、閉じ込め時間が「最大で約4時間」とあります。

今考えてもゾッとします。

エレベーターや電車に乗るとき、そんなに長時間の閉じ込めを意識している人は少ないでしょうが、私はあの地震以来、エレベーターや電車に乗る前に必ずトイレに行く習慣がつきましたし、水のペットボトルをつねに鞄に入れるようになりました。

また、新型コロナが流行して以降、外食や外飲みをやめましたので、飲食した後に電車に乗ることもなくなりました。

地震大国である日本でも、地震予知はまだまだ難しそうですし、しかも日本は、基本的に「自衛」を強いる国なんですよね。

自分や家族を災害から守るために、つねに情報をアップデートして、家族で真剣に話し合う機会を持ってください。

さて、支持率の歴史的低迷が続いていた岸田政権ですが、「旧統一教会問題」や「政治と金の問題」などを解決することもなく、政権を放り出す時がきました。

次は『現代メディア』の記事(編集しています、すみません)ですが、あちこちに似たような記事が見つかります。

『岸田首相、突然の「不出馬表明」は、やっぱり「麻生太郎」が仕掛けていた…! ここにきて浮上する「次期総裁」意外な政治家の名前
https://gendai.media/articles/-/135702
清水 克彦 政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授
■「お盆明け」から早まった岸田首相の不出馬会見
 岸田首相による自民党総裁選挙への不出馬会見の前兆は、パリオリンピックが始まった頃からあった。岸田首相に近い議員から「お盆明けが要注意」との一報がもたらされていたからである。
 「精度は高い」と感じた筆者は、他のオンライン記事に、「お盆が過ぎた後、不出馬を表明する可能性は少なくない」と書いた。
 当の岸田首相は、8月2日、自民党本部で、総裁選挙の鍵を握る人物の1人、麻生太郎副総裁と会談している。岸田首相と麻生氏のサシでの会談は、6月18日のホテルオークラ、同25日の帝国ホテル、そして7月25日の党本部に続くものだ。
 6月の2度にわたる会食では、岸田首相が麻生氏の支持を求めたのに対し、麻生氏は色よい返事をしなかったとされている。
 7月25日の会談は、岸田首相が今一度、麻生氏の支持を求める会談、そして8月2日の会談は、麻生氏が岸田首相に引導を渡す、もしくは岸田首相が「不出馬」を伝える会談となった可能性が高い。
 では、なぜ岸田首相が、「お盆明け」ではなく、8月14日という日に不出馬会見をしたのかだが、1つは、8月20日に自民党総裁選挙管理委員会の会合で選挙日程が決まる前に、自らの判断で身を退く考えを示したかったこと、もう1つは、その夜、麻生氏と茂木敏充幹事長の会食が予定されていたためと推察する。
 選挙日程が決まり、総裁選挙に名乗りを上げる有力者が出てくれば、「岸田さんでは衆議院選挙や参議院選挙は戦えない」と引きずり降ろされる可能性がある。
 思い返せば、2021年10月、「第100代内閣総理大臣」に就任した10日後に衆議院を解散し、今年1月には、「政治とカネ」の問題を受けて、それまで率いてきた岸田派の解散を他派閥に先がけて表明した岸田首相である。
 自民党総裁としての最後の決断も、引きずり降ろされる前に先手を打つ、岸田流のサプライズだったと言っていい。
 実際、自民党内には、総裁選挙で支持を表明するため、岸田首相とアポイントを取っていた議員もいる。議員からすれば、何の前触れもなく、主役が舞台から誰にも相談することなく降りてしまったことになる。
 また、麻生―茂木会談の前に身を退く記者会見を開いたのは、政権発足以降、「三頭体制」を組みながら、最後の最後まで首を縦に振らなかった麻生氏、そして自民党を揺るがせた「政治とカネ」の問題では汗をかこうとせず、総裁である自分を支えるどころか、「ポスト岸田」をも狙おうとする茂木氏に「政治家の意地」を見せたかったから、と筆者は見る。
(中略)
 ただ、岸田首相の不出馬、石破氏の出馬表明で情勢は一気に変わった。今後の大どんでん返しを恐れずに言えば、「石破氏vs小泉氏vs小林氏」が軸で、推薦人(自民党衆参国会議員)20人を確保できれば、これに高市氏が絡む構図と予想する。
 かつてキングメーカーとして権勢をふるった田中角栄氏が、生前、総理総裁の条件として述べた言葉に次のようなフレーズがある。
「党3役(党幹事長、総務会長、政調会長)のうち幹事長を含む2つ。それから、蔵相(現財務相)、外相、通産相(現経産相)のうち2つ」
 この条件を満たしている人は誰もいない。ずいぶん軽量級になったものだ。
 ある自民党議員は、筆者の「誰がいい?」の問いに、総裁選挙後にすぐあるとみられる衆議院選挙や来年の参議院選挙の「顔」になる人がいいと言う。それは、国民にとってどうでもいい話だ。単に「顔」になるだけなら、菅氏や森喜朗元首相らが推す小泉氏で十分だ。
 やはり筆者は、アメリカのトランプ氏もしくはハリス氏と駆け引きができ、中国の習近平総書記や北朝鮮の金正恩総書記らによる脅威と向き合える人、そして、賃上げや少子化対策など喫緊の課題を前に進めることができる人物を選べるかどうか、そして旧派閥単位ではなく、個々の意思で投票できるかどうかで、自民党という政党が本当に変わったのかどうかを判断したいと思っている。』

私は、自民党の政治家に関しても他党の多くの政治家に関しても、「国民を選挙の一票としかみない状況」は、これからも変わらないと思います。

もちろん、マスメディアの責任は重大ですが、今の状況では、私たちが賢くなるしかありません。

前回のメルマガで、『現代メディア』の記事、

『「簡単に手に入れた知識は、簡単に忘れる」…「ググる」ことが当たり前の時代に再考すべき「ひとりでゆっくり考える時間」の大切さ』
https://gendai.media/articles/-/132838

を紹介しましたが、こちらにもお返事をいただきました。

ありがとうございます。

『何か調べたいことがあれば、すぐにググってしまいます。これから、AIもどんどん進化していきそうですよね。また、高校生になると、教科書と一緒に電子辞書も購入すると聞いたことがあります。簡単に調べ物ができて便利ですが、理にかなった勉強方法につながるのでしょうか。』

難しいところですね。

たとえば、小学校の低学年で、紙の辞書の使い方に慣れる前に、ググッたり電子辞書を使ったりの調べ物はおススメしません。

紙の辞書を使って調べ物をしていると、「たまたま別の言葉にも出会う」という楽しい経験をすることがあります。

ターゲットの言葉と同じページの別の言葉が気になったり、ターゲットのページにたどり着く前の別のページの挿絵が目に留まったり、「楽しいハプニング」を味わえるわけです。

もちろん、子どもと一緒に調べ物をしながら、親が、そんな「楽しいハプニング」を演出してあげるのもいいですね。

このような経験を積んでいると、紙の辞書で調べるスピードも精度も上がっていきます。

手で持った厚みの感覚から、大体のページをさっと開けるようにもなります。

英語の辞書を使うようになったときも、この「厚みの感覚」は役に立ちます。

高学年になって、調べ物のボリュームが上がってくると、どれもこれも紙の辞書で調べるという作業が難しくもなってきます。

そんなときは、電子辞書を取り入れるのもいいでしょう。

ただし、電子辞書の効率の良さばかり求めないで、時に「寄り道の楽しさ」を味わってください。

ターゲットの言葉を調べた後、例文を表示したり、同義語や反意語に飛んでみたり、電子辞書ならではの「楽しい寄り道」の経験もおススメです。

寄り道を楽しんでいると、「語彙力増強」や「表現力向上」にもつながります。

その上で、この記事にあった通り、

「知識を内面化するために、ひとりでゆっくりと考える時間」

を大切にしてください。

さらに、インプットした知識を意識的にアウトプットもしてみてください。

例文を作ったり、親子で話し合ったりするのです。

アウトプットまでいけば、「生きた知識」として定着していくでしょう。

 

お盆期間真っ最中の木曜日になりました。

今年のお盆期間は、その前の三連休から続いて、次々に発生する台風やら南海トラフ地震への備え(結局、自衛?)やら、たいへんな期間になってしまいました。

台風7号の進路もたいへん気になる木曜日です。

みなさんのご家族や知人・友人の方々は、大きな被害を受けていないでしょうか。

安全なところにいらっしゃいますか。

まず、夏休みの子どもたち向けのイベントを1つ紹介します。

『香芝市二上山博物館の「二上山が噴火していたころ」
http://kashiba-mirai.com/event
令和6年度 夏季スポット展
会期:令和6年7月27日(土) ~ 8月31日(土)
今から千数百万年前、二上山は活発な噴火を繰り返していた火山でした。そのため、周辺地域には多くの岩石や鉱物が分布しています。
とくに、サヌカイト・凝灰岩・金剛砂が有名ですが、夏季スポット展では、これらの岩石・鉱物の見分け方などを紹介しています。
場  所:香芝市二上山博物館 特別展示室
開館時間:午前9時 ~ 午後5時(入館は午後4時30分まで)
休 館 日 :毎週月曜日(ただし8月12日は開館し、13日は休館日)
皆様のご来館、心よりお待ちしております!!』

南海トラフ地震に加えて、富士山噴火の可能性まであるといわれているわけですから、「二上山が噴火していたころ」を勉強してみるのもいいのではないでしょうか。

暑さもしのげる博物館内のイベント(行き帰りは暑いですね、すみません!)ですから、ご興味のある方は、ぜひお出かけください。

さて、兵庫県では、斎藤知事や取り巻きの幹部たちによる「7つの疑惑」で大揺れが続いていますが、斎藤知事は、「公益通報」に対する自身の認識不足を隠そうともしません。

同様に、鹿児島県警の「公益通報問題」もたいへん重大です。

次は、『西日本新聞』の社説です。

『【社説】鹿児島県警の疑惑 県議会の百条委で究明を
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1244806/
 疑念は晴れるどころか深まるばかりだ。このまま幕引きをさせてはならない。
 不祥事のもみ消し疑惑を巡り、鹿児島県警は記者会見を開いて原因分析と再発防止策の報告書を公表した。
 枕崎署員によるトイレ盗撮事件について、前生活安全部長=国家公務員法(守秘義務)違反罪で起訴=が「本部長の隠蔽(いんぺい)指示があった」と内部告発していた。野川明輝本部長は会見で、改めて隠蔽を否定した。
 しかし報告書や野川氏の説明は依然として不自然な点が多く、説得力に乏しい。
 報告書によると野川氏は昨年12月、この事件について「署員が犯人の可能性がある」と報告を受けている。
 野川氏は捜査の継続を指示したというが「万が一その署員が犯人だった場合、同様の事案が起きるようなことはあってはならない」と考え、この署員を含む全枕崎署員を対象に、盗撮などをテーマにした不祥事防止の研修を急きょ実施させていた。
 問題の署員に「疑われているぞ」と教えるようなものだ。証拠隠滅の恐れさえある。この不可解な対応に野川氏から納得できる説明はない。
 霧島署員によるストーカー規制法違反事件では、防犯カメラの映像に署員の車が写っているのを捜査員が確認し、一部を静止画に残して映像を消去した。県警は証拠として保全しなかった不手際を認めつつ「隠蔽の意図はなかった」と繰り返すだけだ。
 県警は警部補以下が本部長に直接提言する組織を設置するなど再発防止策を示したが、真相究明なしに再発防止などあり得ない。
 野川氏は会見で被害女性に「不安な思いをさせ、おわび申し上げる」と謝罪した。しかし数日後の県議会総務警察委員会では「当事者間で行われるべきものだ」と謝罪を拒否した。報告書を出せば終わりとでも思ったのか。不誠実で一貫性のない対応は怒りとともにむなしさを覚える。
 もはや県警に自浄能力は期待できないのではないか。
 県警によると県民から2400件以上の意見が寄せられ、多くは県警への怒りや失望という。
 県議会は一部会派が調査特別委員会(百条委員会)の設置を提案している。強い調査権限を持つ百条委で真実を究明してほしい。行政機関のチェックは、県議会の重要な機能である。
 信じ難いのは警察庁の対応だ。不審点だらけにもかかわらず、特別監察で「隠蔽なし」と早々に結論付けた。
 野川氏には、現場へのきめ細かい確認と指示を怠ったとして、警察庁長官訓戒の処分を出しただけだ。健全な組織を願い不正を暴いた前部長は逮捕されたのに、である。
 国民の目には、警察庁も隠蔽に加担していると映っていよう。警察組織全体に不信感が募っていることに気付くべきだ。再調査を強く求める。』

引用が長くなりましたが、いかがでしょうか。

このような問題がたびたび起こるのは、「公益通報者保護法」そのものに問題があるせいでしょうが、兵庫県庁の闇も鹿児島県警の闇も、しっかりと究明してほしいものです。

マスメディアは、こんなときこそ「矜持」を示してほしいものです。

前回のメルマガで紹介した『東洋経済education × ICT編集部』の記事、

『国語力を上げる土台は「思考力」、中学受験で点を取る「読解」のコツと注目テーマ 多様性を問う文章が頻出、押さえたい作者とは
https://toyokeizai.net/articles/-/778718

に関して、いくつかお返事をいただきました。

ありがとうございます。

みなさんからのお返事のポイントは、概ね次のようなものでした。

『「国語力の中心が思考力で、すべての学力の中心が語彙力だ」とありました。子どもの思考力を伸ばすにはどうしたらいいのでしょうか。また、語彙力を伸ばすにはどうしたらいいのでしょうか。』

なお、以下に出てくる「会話・対話」に関しては、私は次のような認識でいます。

『会話も対話も、外形的には同じような状況で、2人もしくは少人数で話し合うものを指す。会話では、特に明確な目標がなくてもかまわないが、 一方、対話では、一定のテーマに基づいてお互いの意見を述べ合い、何らかの結論に至る。』

それでは、この記事の気になる部分を取り上げて、考えてみたいと思います。

『国語力には、思考力・読解力・文章力・語彙力など、さまざまな能力が含まれています。中心となるのが思考力で、すべての土台として必要なのが語彙力。そこに読解力や文章力が加わることで学力が上がると考えています』

おそらくこの部分が、この記事の要諦だと思います。

まず、「思考力」について考えてみます。

「思考力」と聞いて、みなさんはどのようなイメージが浮かびますか。

「何かしら難しいことについて考える」状況を思い浮かべますか。

私は、何かに夢中になって取り組んでいる子どもたちを想像します。

手近なところでは、ブロック遊びでも読書でもお絵描きでもいいでしょう。

そんなとき、彼らは、頭の中でまさに「思考」の真っ只中だと思います。

一心不乱に「思考」をめぐらせていることでしょう。

子どもたちは、幼いころからいろいろなことに夢中になる経験を積む必要があります。

「純粋な気持ちで思考する瞬間」を繰り返し経験することですね。

さらに、親子で同じ経験をして、その経験について話し合うことも大切です。

どんなに素晴らしい経験をしても、「やりっぱなし」では価値が大きく下がります。

「経験+会話・対話」で、子どもの「思考」をさらに広くかつ深く伸ばしてあげてください。

当然、親の「質問力」や「会話力・対話力」を磨く必要もあります。

親子間、家族間の、「思考のキャッチボール」です。

次に、「語彙力」について考えてみます。

「語彙力」をつける、「語彙力」を伸ばすとはどういうことでしょうか。

子どもは、幼いころから、自分の周りに溢れる「言葉」にさらされて生きています。

それら膨大な量の「言葉」から、少しずつ身につけていくわけですが、当然、そこには優先順位があります。

自分にとって「必要だと感じられる言葉」には敏感になるでしょうし、成長するにつれて、「好奇心をそそるかどうか」というフィルターも重要になってきます。

ということは、子ども本人が、「この言葉が必要だ、あの言葉も大切だ」と感じられるような環境があれば、順調に語彙力がついていくのではないでしょうか。

また、子どもの周りに、「これは面白い、それも興味深い」と感じられるような環境があれば、語彙力が伸びていくのではないでしょうか。

それでは、具体的にどのような「環境」を整えてあげるべきでしょうか。

まず、少なくとも家族全員に、「言葉を大切にする、言葉に興味を持つ」意識が必要でしょう。

そのうえで、親子で「言葉のキャッチボール」を楽しむことです。

とはいえ、親が、いつまでも「子ども子どもした言葉」ばかりを使うわけにはいきません。

ニュースや天気予報、ドラマや映画などで使われている「生きた言葉」を、親子の会話・対話に少しずつ取り入れていってください。

当然、子どもによくわからない言葉も多いでしょうが、諦めてはダメですよね。

知らなくても、興味さえ持てれば、子どもたちは自ら「言葉」を学ぼうとします。

親も一緒に、子どもが興味を持った「言葉」を大切にしてください。

その意味を一緒に調べたり、例文を作ったり、親子で夢中になってください。

子どもが興味を持った「言葉」は、使えるようになってこそ「生きた言葉」になり、真の「語彙力」へとつながっていきます。

もう一か所取り上げたいと思います。

『勉強は楽しいだけでなく、苦しい部分もある。40年以上子どもたちを見続けてきた内藤氏は、「物事に集中できる子は成績が伸びる」ということを実感しているという。中学受験を乗り切るには、学力以前に「意欲」や「忍耐力、持続力」がカギとなるそうだ。』

「思考力」育成も「語彙力」育成も、最初から楽しめるものではないかもしれません。

あるいは、だんだん難しくなっていくと、より楽しめなくなるかもしれません。

しかしながら、どんな事柄でも、「継続は力なり」は真実でしょう。

いつも書いていますが、子どもが勝手に「意欲」や「忍耐力、持続力」を身につけてくれる奇跡など、なかなか起こりません。

「意欲」や「忍耐力、持続力」の面でも、親がお手本になる必要があります。

親が、落ちついて何かに夢中になって取り組んでいる姿を繰り返しみせてあげてください。

最後に、次の『現代メディア』の記事を紹介します。

『「簡単に手に入れた知識は、簡単に忘れる」…「ググる」ことが当たり前の時代に再考すべき「ひとりでゆっくり考える時間」の大切さ
https://gendai.media/articles/-/132838
鴻上 尚史 作家・演出家プロフィール
(前略)
■知識を内面化するための時間
 「本物の孤独」の良いことは、「ひとりでゆっくりと考える」時間を持てることだ。
 「ひとりでゆっくりと考える」ことは、君が成長するためには、必要不可欠なものだ。
 君が何か新しいことを知ったり、接したりした時、それが君の身体に染み込む時間が必要になる。
 新しい考えを本で読んだり、友だちから聞いたり、テレビで見たり、ネットで知ったりしても、それが本当に君の考えとして納得し、定着するには、「ひとりでゆっくりと考える」時間が必要なんだ。
■「ググる」だけでは知識は残らない
 でも、スマホは君をひとりにしない。友だちやいろんな情報とつなげて、「ひとりでゆっくりと考える」時間を奪っていく。
 素敵な映画を見ても、すぐにスマホでググれば、「この映画にはどんな意味があるのか」「どこが面白いのか」「この映画の見方」がたくさん出てくる。
 でも、それは君の考えではない。そのままそれをリピートして、人に言うことはできる。聞いた人は、感心してくれるかもしれない。でも、それを君はあっと言う間に忘れる。断言してもいい。簡単に手に入れた知識は、簡単に忘れる。何も残らない。
 本当に感動したり、納得したら、「ひとりでゆっくりと考える」時間をとって、それが君の心にしみ込むのを待つんだ。
 君が新しい知識を得ても、それが君自身のものになるためには、君の身体に深くゆっくりと定着していくひとりの時間が必要なんだ。』

いかがでしょうか。

どのような方法で知識を手に入れたにせよ、

「その知識をひとりでゆっくり考える時間を持つとよい」

というアドバイスです。

一つ前の記事の、「思考力」と「語彙力」にも関連するアドバイスですね。

手に入れた「知識」をわが物とするには「考える」ことが必要だと、ここでも「思考力」と「語彙力」との切っても切れない関係が述べられています。

膨大な量の情報が、次から次へと流れていく時代です。

だからこそ、家族全員で落ちついて考え、「思考や言葉のキャッチボール」を楽しんでください。