3月最後の木曜日になりました。

楽しい春休みを過ごせていますか。

生活のリズムを崩すことなく、有意義な春休みになるといいですね。

さて、大阪の公立高校が抱える問題について、次のような記事(『大阪日日新聞』)がありました。

『大阪・公立高 志願者昨年度比2400人減 「私学無償化」影響か 2016年度以降、最低
https://weekly-osakanichi2.net/?p=14721
 2024年度府立高校の合格発表が3月19日に行われたが、志願者は昨年度と比べ2400人以上減り、定員割れとなった高校は75校中32校で昨年度より18校増えた。学校関係者らは「私学無償化」の影響があるとみている。
 全日制は、総募集人員3万4789人に対し計3万6379人が志願し、平均倍率は1・05倍。
 教育庁によると、現行の入試制度になった16年度以降、最も志願者数が少なかった。
 出願締切時の最高倍率は豊中(文理)1・57倍。そのほか、春日丘(普通)1・44倍、北野(文理)1・28倍、大手前(文理)1・21倍など。
 一方、府内私立高入試(2月5日現在)に目を向けてみると-。
 私立高の志願者は約1600人増えた。第1志望とする専願者は1万9994人で、全出願者に占める割合は31・64%(同2・99ポイント増)。倍率が最も高かったのは、共学校の清風南海で6・13倍。男子校は興国の2・21倍、女子校は四天王寺の2・78倍。
 志願者はこの20年で最も高く「コロナ禍でオンライン学習に迅速に対応するなど、教育環境の充実ぶりが評価されたのでは」(大阪私立中学校高等学校連合会)とみている。
■吉村知事「子どもたちの選択肢広がる」
 私立高校の授業料無償化制度による影響について吉村洋文知事は「一定の傾向が出るとは思っていた」と想定内との認識だ。その上で、「公立高校は、より選ばれるように教育の質を高めていくことに尽くしていくべき」「よりよい教育環境をつくるということは、子供たちにはプラスなこと」との見解だ。
 そして、授業料無償化の影響のほかに、「少子化で受験者数が減っていますが、不登校生の増加などで通信制の志願者数が増えている」(藤山正彦成学社入試情報室上席専門研究員)ことも公立高校の志願者数減の要因の一つだ。
■府、入試制度の見直しへ
 教育庁は公立高校でも、多様化する生徒や保護者のニーズに対応できるよう「週5日登校」や「5教科入試」の前提を見直す議論や、関係者からは入試時期を私立よりも早くすべきとの声も出ている。公立ならではの良さをどうつくるべきか。今後の議論に注目が集まっている。』

私立高校には「授業料無償化」という手を差し伸べる一方、「公立高校は、より選ばれるように教育の質を高めていくことに尽くしていくべき」と原則論を押し付けているだけのようにみえます。

教育行政の舵取りが難しいのは当然ですが、「私立と公立でバランスが取れていない」と感じるのは私だけでしょうか。

では、前回のメルマガでお伝えした通り、「平成24年の灘中の国語1日目」を紹介します。

親子の、楽しい一日の一助になれば幸いです。

<大問1の問3>
 「渡りに舟」のように、「○○に△△」の形の言葉はいろいろあります。次の①~⑤の意味を表す適当な言葉を答えなさい。ひらがな書きでもかまいません。
①援助(えんじょ)や努力がわずかで効果があがらないことの例え。
②うわの空で人の忠告に従う気がないことの例え。
③元気を失ってしおれていることの例え。
④困っているうえに、さらに困ったことが加わることの例え。
⑤手ごたえや効き目のないことの例え。

→楽しい問題ですね。普段から、慣用句やことわざなど、日本語らしい言い回しを自分の言葉で説明する練習をしていれば、この種の問題に強くなると思います。


<大問1の問4>
 「フレーム」は漢字で「縁」と表すことができます。次の①~⑤の外来語を漢字で表すとどうなりますか。「 」に適当な一字を補って熟語を作りなさい。
①アラーム :「 」報
②クレーム :「 」情
③スチーム :「 」気
④ブーム  :「 」行
⑤ユニホーム:「 」服

→今回の外来語は、語尾が「ーム」となっているものが集められています。それらを二字熟語で表す問題ですが、日本語の語彙力も必要ですね。因みに、⑤はもともと「ユニフォーム」という表記ではありませんでした。


<大問2>
 次の①~⑤の「    」に入れるのに最も適当なものを、後のア~カから選んで答えなさい。
①エラーで、やらず「    」の追加点を与(あた)えてしまった。
②聞こえよ「    」に悪口を言われて、腹が立った。
③京都「    」の落ちついたたたずまいの通りを散歩する。
④まじめに働いていたAさんが成功した話を聞いて、さも「    」と思われた。
⑤夏の暑い日、外に出るや「    」あせがふきだした。
ア:ありなん   イ:いなや    ウ:がし
エ:ならでは   オ:vべからず  カ:もがな

→この問題も、日本語らしい言い回しが並んでいます。選択肢が与えられているので、その分だけ易しくなっています。可能なら、選択肢なしでチャレンジしてみてください。また、それぞれの言い回しを使って、適切な例文を考えてみてください。


<大問3>
 次の①~⑤の「ながら」は、後のア・イのどちらの使い方ですか。
①旗をふり「ながら」マラソン選手を応援(おうえん)した。
②うそだと知り「ながら」そのまま見のがした。
③試合に勝ち「ながら」非難された。
④テレビを見「ながら」食事をするのはやめよう。
⑤狭(せま)い「ながら」快適な部屋を手に入れた。
ア:疲(つか)れてい「ながら」なかなか眠(ねむ)れない。
イ:泣き「ながら」うったえる。

→「~ながら」の識別の文法問題です。今回の識別は、
ア:「~のに」に置き換えることができる。「しかし」を補うことも可能。
イ:「~しつつ」に置き換えることができる。「同時に」を補うことも可能。
という点に注目します。文法問題としては標準レベルです。


<大問4>
 次の①~⑥の各組の俳句の「   」には同じ言葉が入ります。最も適当なものをそれぞれ後のア~カから選びなさい。
①全身を「   」に染め海豚跳(いるかと)ぶ
 「   」の少女耳たぶより燃ゆる
 「   」の中に早出の月白し

②「   」を知らす子の手の大き円(まる)
 「   」と同じ高さの観覧車
 「   」や窓の硝子(ガラス)を拭(ふ)ききよむ

③「   」に子ら喜んで登校す
 「   」をやわらかく置く庭の芝(しば)
 「   」のそれより白き鷺(さび)の舞(ま)う

④「   」が洗っていった茄子(なす)をもぐ
 「   」を避(さ)ける術(すべ)なき峠道(とうげみち)
 月ほのと「   」の今上がりたる

⑤「   」や身をすり寄せて一(ひと)つ傘(がさ)
 「   」や刺(とげ)に紅していばらの芽
 「   」の止(や)む明るさに蜘蛛(くも)の糸

⑥また次の「   」と言う空模様
 「   」の空を剥(は)がして行きにけり
 「   」が魔球(まきゅう)を覚え新コース
ア:台風   イ:初雪   ウ:春雨(はるさめ)
エ:名月   オ:夕立(ゆうだち)   カ:夕焼け

→灘中で頻出の短歌・俳句問題です。しっかり鑑賞して、適切な語を考えるわけですが、選択肢があるので、かなり易化していると思います。「音」の数は、どれも同じになっていますね。


<大問5>
 次の①~⑥の「   」にそれぞれ適当な言葉を補って文を完成させなさい。どれも「~立つ」という表現になります。ひらがな書きでもかまいません。
①AさんとBさんは、映画界では「   」立つ巨匠(きょしょう)だ。
②この絵画は美しさが「   」立っている。
③急に「   」立って、北海道に出かけた。
④人気歌手の熱唱に、場内の観衆は「   」立った。
⑤急に背後から敵におそわれて、味方の軍勢は「   」立った。
⑥はだしで歩くと海岸の砂が熱いので、「   」立って歩いた。

→どれもよく耳にする言い回しですが、選択肢がない分だけ難しくなっています。すっと思いつかないと、案外考え込んでしまいそうです。


<大問6>
 次の①~⑥について、二字熟語が四組完成するように、「 」に漢字を入れなさい。矢印の向きに注意しなさい。
     欠           悲          力
     ↓           ↓          ↓
① 会→「 」←議   ② 志→「 」←念  ③ 解→「 」←自
     ↑           ↑          ↑
     末           大          学

     求           送          真
     ↓           ↓          ↓
④ 博→「 」→児   ⑤ 分→「 」→人  ⑥ 論→「 」→想
     ↓           ↓          ↓
     情           格          性

→このパターンの問題も頻出ですが、案外簡単な漢字を使った熟語が多いですね。ただし、語彙として知っていないと、簡単な漢字を使っていても「難しい熟語」になりますね。。


<大問1の問3の解答>
①焼け石に水
②馬の耳に念仏
③青菜に塩
④弱り目にたたり目
⑤ぬかに釘

<大問1の問4の解答>
①アラーム :「警」報
②クレーム :「苦」情
③スチーム :「蒸」気
④ブーム  :「流」行
⑤ユニホーム:「制」服

<大問2の解答>
①エラーで、やらず「カ:もがな」の追加点を与えてしまった。
②聞こえよ「ウ:がし」に悪口を言われて、腹が立った。
③京都「エ:ならでは」の落ちついたたたずまいの通りを散歩する。
④まじめに働いていたAさんが成功した話を聞いて、さも「ア:ありなん」と思われた。
⑤夏の暑い日、外に出るや「イ:いなや」あせがふきだした。

<大問3の解答>
①:イ   ②:ア   ③:ア   ④:イ   ⑤:ア

<大問4の解答>
①全身を「夕焼け」に染め海豚跳ぶ
 「夕焼け」の少女耳たぶより燃ゆる
 「夕焼け」の中に早出の月白し
②「名月」を知らす子の手の大き円
 「名月」と同じ高さの観覧車
 「名月」や窓の硝子を拭ききよむ
③「初雪」に子ら喜んで登校す
 「初雪」をやわらかく置く庭の芝(しば)
 「初雪」のそれより白き鷺の舞(ま)う
④「夕立」が洗っていった茄子をもぐ
 「夕立」を避(さ)ける術なき峠道(とうげみち)
 月ほのと「夕立」の今上がりたる
⑤「春雨」や身をすり寄せて一つ傘(がさ)
 「春雨」や刺に紅していばらの芽
 「春雨」の止む明るさに蜘蛛の糸
⑥また次の「台風」と言う空模様
 「台風」の空を剥がして行きにけり
 「台風」が魔球を覚え新コース

<大問5の解答>
①AさんとBさんは、映画界では「並び」立つ巨匠だ。
②この絵画は美しさが「際」立っている。
③急に「思い」立って、北海道に出かけた。
④人気歌手の熱唱に、場内の観衆は「沸き」立った。
⑤急に背後から敵におそわれて、味方の軍勢は「浮き足」立った。
⑥はだしで歩くと海岸の砂が熱いので、「つま先」立って歩いた。

<大問6の解答>
     欠           悲          力
     ↓           ↓          ↓
① 会→「席」←議   ② 志→「願」←念  ③ 解→「説」←自
     ↑           ↑          ↑
     末           大          学

     求           送          真
     ↓           ↓          ↓
④ 博→「愛」→児   ⑤ 分→「別」→人  ⑥ 論→「理」→想
     ↓           ↓          ↓
     情           格          性

いかがでしょうか。

長期休暇中は、落ちついて過ごす「休日」も大切ですね。