木曜日になりました。

今年度の大学入学共通テストも、ひとまず大きな混乱が起こることなく終われたようですね。

受験を終えたみなさんは、自己採点の結果で出願校を決めているところかと思いますが、追試験を受験するみなさんは、もう一息頑張ってください。

特に、「令和6年能登半島地震」に見舞われた石川県・富山県を中心とした地域では、受験勉強の中断を余儀なくされた受験生も多かったのではないでしょうか。

また、受験生でなくても、たいへんな苦労を強いられている子どもたちも多いと思います。

インフラが整うまでどれだけの時間がかかるかさえはっきりしない状況ですから、子どもたちに日常生活が戻るのはまだまだ先のことでしょう。

子どもたちの学校生活が少しずつでも戻ってくることを祈っていますが、次のような記事(『石川テレビ』)を読むと、今回の地震が大きな「地殻変動」であったことが分かります。

『1分間で約4m隆起か…能登半島地震での地殻変動量を大学准教授が調査 港の復興「東日本の時以上に大変」
https://www.ishikawa-tv.com/news/itc/00000902
 能登半島地震は、石川県の漁業にも大きな影響を与えています。輪島市の鹿磯(かいそ)漁港で行われた、専門家の現地調査に同行しました。
<金沢大学地域創造学類の青木賢人准教授>僕らもほとんど目にすることのない地殻変動量なので。白いところが元々水面だった高さ。こういう仕事をしていますけど見たことがない風景です。正直言葉がない。
 今回の地震で、能登半島の北岸およそ90キロで地盤が隆起し、輪島市の鹿磯漁港では、港全体が干上がりました。
<青木准教授>覗くだけでもすさまじい。
<稲垣真一アナウンサー>ここは今、海の底ですよね。
<青木准教授>はい、そうです。
<稲垣アナウンサー>海水がここにきていて、つまりこの陸地自体は全部上に上がっているんですよね。
<青木准教授>はい、海底も含めて一緒に全部地面が上がってきた。なので船が干上がった、打ち上げられた状態。元々は停泊していた船なんですけど、船が沈んだんじゃなくて、地面が上がってきて座礁している。
 青木准教授は磯に降りて、隆起量を調べました。
<稲垣アナウンサー>ここが海底だったという所に今私たちが立っていること自体が、おおよそ信じられない。
<青木准教授>僕も信じられないです。
 隆起の高さを計測すると…。
<青木准教授>ここまで行くと4m30~40cmというくらいでしょうか、この分が地面が隆起した部分になります。元々は色が変わったところまで海があった。
<稲垣アナウンサー>どれぐらいの速度で上がったんですか。
<青木准教授>これは地震動が起こっている間に地殻変動が起きていますので、基本的には地震が起こっていた1分間。
<稲垣アナウンサー>たった1分で地面が4m一気に上がったという事になるんですね。
<青木准教授>そうですね。この場所だけがドーンと上がったわけではなくてこの辺り一帯が全部4m上がっていくということになるので、当時そこにいらっしゃった方は自分の住んでいる土地が4m持ち上がったという感覚は多分ほとんど持てないだろうと思います。『海が下がっていった』という感覚はあるかもしれませんけども。結果的に『地面が隆起した高さの分だけ津波の影響が少なくなった』ということはあるだろうと理解しています。
 今の能登半島ができた理由は、こういった地震の積み重ねと指摘する研究者もいます。今回の地震は3000年から4000年に1回の規模だといいます。
<青木准教授>長期的にみると能登半島はこういう地震活動を繰り返しながら、たくさんの海岸段丘を作ってちょっとずつちょっとずつ高くなってきた土地。今回だけが特別なことなのではなくて、長い能登の自然の営みの一つを見せられているんだという理解はしないといけないですね。
 漁業に欠かせない港ですが、青木准教授は復興の難しさを指摘します。
<青木准教授>東日本大震災の時との大きな違いというのは、ここは『地面が隆起した』という事なんです。東日本(大震災)の場合は港は沈降しましたので、港の上物の整備さえしっかりすれば、元々あった港に(船が)入ってくるという事に問題はなかったんですけど、ここは地面が干上がってしまいましたので、今ここは船が入れない状態なんですね。ここに船を入れようと思うと、下の岩盤を砕いて掘ってここまで船が入ってこられるようにするとともに、4m上がってしまった施設を4m下げないと、水揚げができないという状態になります。かなり時間がかかるとともに、膨大な予算、コストがかかるということになります。ですので、東日本(大震災)時の水産復興以上に大変な作業が、これから石川県を待っているんだという風に思っています。』

かなり長い記事ですが、いかがでしょうか。

専門家である青木准教授が「見たことがない風景」「僕も信じられない」「地面が隆起した高さの分だけ津波の影響が少なくなった」とおっしゃっているように、「たった1分で地面が4m一気に上がる」という地殻変動だったようです。

「3000年から4000年に1回の規模」であり、「今の能登半島は、こういった地震の積み重ねによってできた」と指摘する研究者もいるとのことです。

想像力にも行動力にも優しさにも欠ける日本の政治家には、「荷が重過ぎる」大きな災害です。

次のような『朝日新聞デジタル』の記事もあります。

『「初動に人災」「阪神の教訓ゼロ」 能登入りした防災学者の告白
https://digital.asahi.com/articles/ASS1G2P91S1CUTFL01Y.html?iref=comtop_7_02
 初動に人災の要素もある。防災研究の第一人者で、石川県の災害危機管理アドバイザーも務めてきた神戸大名誉教授の室崎益輝さん(79)は、能登半島地震の初動対応の遅れを痛感しています。自戒の念もこめて、今、伝えたいこととは。
Q1:6~7日に能登入りして、支援物資を届けて視察しました。
A1:これから指摘することは、私の責任でもあります。県の災害危機管理アドバイザーを務めてきましたから。やるせなさ、自戒もこめて、長年防災と復興支援に関わってきた一人として、誰かが言わなければ、言葉にしなければと。今の段階で、声を上げなければと思いました。トップ、そして関わってきた私たちそれぞれが考えないといけません。
 今回、すぐに現地入りしたかったのですが、交通事情や、なるべく立ち入りを避けて、というメッセージが強かったため、発災から5日後に珠洲市と能登島以外の全域をくまなく視察しました。県庁、被災自治体、避難所などを凝縮して回りました。活動しているNPOにも接触しました。
 初動対応の遅れがとても気になりました。
 これまでの多くの大震災では、発災から2、3日後までに自衛隊が温かい食事やお風呂を被災された方々に提供してきました。
 でも今回は遅れた。緊急消防援助隊の投入も小出しで、救命ニーズに追いついていない。本来は「想定外」を念頭に、迅速に自衛隊、警察、消防を大量に派遣するべきでした。
 被災状況の把握が直後にできなかったために、国や県のトップがこの震災を過小評価してしまったのではないでしょうか。初動には人災の要素を感じます。
 避難所への水や食べ物、物資の搬入が遅れたのは、半島で道路が寸断されるなどした地理的要因もありますが、被災地で起きていることを把握するシステムが機能しなかったことも要因です。それがトップの判断を誤らせています。
 迅速な初動体制の構築は、阪神・淡路大震災から数々の震災の教訓として積み重ねられ、受け継がれてきました。それが今回はゼロになってしまっている印象を受けました。
 災害対応の「基本」とは何か。災害はみな異なるので難しい問題です。それでも、私たちはこの問いから逃げてはいけないように思います。それは、被災者の命に関わるからです。
 私は防災研究者として阪神・淡路大震災で被災も経験しました。その原点がある。
 神戸では震度6以上の地震は起きていなかったから、防災計画は震度5を想定した。でも震度7の地震が起き、「震度7を想定してくれていれば」と市民から重い言葉をもらいました。そこから「想定外」を大切に、国内外の被災地を歩き、行政だけでなく市民同士の対話を大切に、復興・減災の支援をしてきました。
Q2:初動について、詳しくどう見ていますか。
A2:自衛隊、警察、消防の邪魔になるからと、民間の支援者やボランティアが駆けつけることを制限しました。でも、初動から公の活動だけではダメで、民の活動も必要でした。医療看護や保健衛生だけでなく、避難所のサポートや住宅再建の相談などに専門のボランティアの力が必要でした。
 苦しんでいる被災者を目の前にして、「道路が渋滞するから控えて」ではなく、「公の活動を補完するために万難を排して来て下さい」と言うべきでした。
 マンパワー不足と専門的なノウハウの欠如で、後手後手の対応が続いてしまっている。政府は「お金は出します」というリップサービスではなく、関連死を防ぐなどの緊急ニーズに応えられる具体的な対策を提供すべきで、「必要な人材を出します」というサービスに徹するべきです。』

この記事は有料記事ですので、引用はここまでですが、いかがでしょうか。

「初動に人災」「阪神の教訓ゼロ」というタイトルにば、誰もが同意するのではないでしょうか。

いつも辛口の『日刊ゲンダイデジタル』には、次のような記事もありました。

『岸田首相は被災地に寄り添う気なし 会見打ち切り→TV出演で「ニヤけて政局話」に批判殺到!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/334346
 分かってはいたが、やはり被災地や国民に寄り添う気持ちなんてないのだろう。
 4日の年頭記者会見を「地震関係の公務がある」と早めに打ち切った岸田首相。質疑応答で挙手しても当てられなかった記者が「原発について質問させてください」「地震から3日目でいまだ総理が原発について一言もコメントしないのは異常です」などと声をかけ続けたが、一瞬ニヤリと笑って立ち去ってしまった。
 首相動静を見ると、午後5時13分に会見を終えた岸田首相は、たしかに午後5時30分から15分程度の会議をしているが、その後は2時間近く予定ナシ。これでは、まるで会見を打ち切る口実で会議がセットされていたように見える。
 しかも、その後は東京・台場のフジテレビに向かい、午後8時からBSフジの生放送に出演していた。
 1日に能登半島で地震が発生してから、生存率が大きく下がるとされる72時間を過ぎて緊迫するタイミングでのことだ。安否不明者や生き埋めになっている人も多くいる中で、わざわざテレビ出演するからには、政府の支援策を説明したり、被災地を安心させるようなメッセージを発出するのかと思ったら、震災関連の話は冒頭10分強で終了だった。
 それも、「どういう気持ちで(被災地と)向き合っているのか」と問われて、「北陸地方、そして冬場ですので、被災地においては大変厳しい環境の中で被災者の方々が頑張っておられる。それに対して必要な物資を集めて届けるべくさまざまな努力をしている」と答えるなど取るに足らない内容だ。
 あとは反町理キャスターや政治ジャーナリストの田崎史郎氏らと、裏金問題を受けて党内に発足させる「政治刷新本部」、世界主要国の選挙、党総裁選再選に向けた展望などについて、笑いながら政治談議に花を咲かせていた。
 危機感や緊張感はどこにもない。総裁選についても「政策をより磨き上げて結果を積み上げたい」と笑顔で語り、意欲を見せた。
(以下省略)』

さらに、自民党が立ち上げた「政治刷新本部」に関しても、次のような記事(『スポニチ』)があちこちに見つかります。

『自民の政治刷新本部メンバーにネット怒りの声「エッフェル姉さんがいる時点で…」「国民に喧嘩売ってる?」
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2024/01/10/kiji/20240110s00042000550000c.html
 自民党は10日、臨時総務会を開き、派閥の政治資金パーティー裏金問題を受けて「政治刷新本部」の設置を決定。本部長の岸田文雄首相は「国民の信頼回復に向けて努力しなければならない」としたが、そのメンバーが報じられるとSNSでは疑問の声が続出した。
 麻生派会長の麻生太郎副総裁と無派閥の菅義偉前首相が最高顧問に就任。関係者によると、刷新本部の本部長代行に茂木敏充幹事長、幹事長に木原誠二幹事長代理、事務局長に小倉将信前こども政策担当相が内定した。ほかに小泉進次郎元環境相、松川るい参院議員も選ばれているという。
 兵庫県明石市の前市長・泉房穂氏は自身のSNSでこのニュースを引用し、「『政治刷新本部に小泉進次郎氏、三原じゅん子氏、松川るい氏ら 自民新組織の布陣固まる。安倍派からも9人起用』とのこと。安倍派から9人とは、これって刷新されてしかるべきメンバーを、あえて選んだということなんだろうか・・・」とコメント。政治資金規正法違反の疑いで逮捕された衆院議員池田佳隆容疑者が所属した安倍派から大量に起用されたことを皮肉った。
 SNSでも「刷新する気ゼロ」「冗談にもほどがある」「一体どこまで国民をバカにすれば気が済むのか」「誰でもOKってこと?やる気ないのね」「どこまで人事オンチなんだ」と厳しい声が続出。昨年8月、フランス研修中の写真などがSNSで「観光旅行のようだ」と批判され、党女性局長を事実上更迭された松川議員が入っていることにも「エッフェル姉さんがいる時点で刷新になってない」「支持率を自ら下げに行っているのが凄い」「国民に喧嘩売ってるの?」などの声が上がった。
 11日に初会合を開き、今月中の中間取りまとめを目指す。』

2024年度のメルマガは、脱線しすぎですね。

申し訳ありません。

切り替えて、子育てに目を向けます。

少々古い記事ですが、次の『プレジデントオンライン』の記事を紹介します。

『「頭が痛い」という表現にはいくつ意味があるか…中学入試で「慣用表現」の問題がよく出る本当の理由 「言外の意味」をとらえられないと答えられない
https://president.jp/articles/-/75495
 中学入試では「慣用表現」の問題がよく出題される。それはなぜか。中学受験指導のエキスパートである矢野耕平氏は「慣用表現を正しく読み解くには、言外の意味をとらえる必要がある。慣用表現の読み解きが不得手な子は、長文の読解問題でも苦労する傾向がある」という――。
(中略)
■慣用表現とはそもそも何なのか
 日本語に限らずどんな言語にも言内の意味(字義通りの意味)がある一方、言外の意味をそこに見出せることが多い。わたしたちはそれらを互いに無意識のうちに使い分けながらコミュニケーションを図っている。ところが、この手のコミュニケーションを不得手とする小学生は意外と多い。そして、そういう子ほど国語の読解問題で苦労する傾向にある。
 考えてみればこれは当たり前の話である。読解問題とは、たとえば「傍線部が引かれている文言」を字義通りに捉えるのではなく、その言外に隠れている意味を理解することが求められるからだ。
 これは何も文章読解に限らない。ちょっとした表現ひとつについても同様のスキルが求められる。「慣用句」「ことわざ」「比喩表現をはじめとしたさまざまなレトリック」……このような、大きくまとめて「慣用表現」と呼ばれるものの大半は言外の意味で解釈しなければならない。
 唐突だが、皆さんは「頭が痛い」という表現の意味がお分かりになるだろうか。え? そんなの単純ではないか? と訝いぶかしく思われた方、本当にそうだろうか。この表現には2通りの意味に捉えられないだろうか。
 言内の意味(字義通りの意味)では「頭にズキンズキンと鈍い痛みが走る状態」となる一方、言外の意味(「慣用句」としての解釈)だと「(何か厄介な事態が発生して)途方に暮れている状態(悩んでいる状態)」となる。両者を取り違えると、途端にコミュニケーションが不調に陥るのは自明の理だろう。受け取る側ももちろん、そのことばを使うほうも、正しい文脈で受け取ってもらえるように工夫しなければならないのだ。
(以下省略)』

例題の部分を含めて、かなり省略していますので、ぜひ引用元のサイトを訪れて全文読んでみてください。

語彙力を問う問題は、中学入試に限らず頻出ですが、たとえば、次のような文(『新小学問題集 ステージⅠ 国語』)があります。

「風間先生は熱心さが買われて、保護者会では株があがっているらしい。」

ここで、「株があがる」の辞書的な意味を問うことも可能ですし、この文脈での意味を説明させる設問も成立します。

やはり、どのような種類の問題にも対応できるよう、「使える語彙力」を培う必要がありますね。

みなさんからのお返事を待って、次回のメルマガで考えてみたいと思います。