2023年最後の木曜日になりました。

クリスマスも終わり、いよいよ大晦日も目前です。

2023年を振り返りながら、冬休みを元気に過ごしてくださいね。

さて、大阪・関西万博は相変わらず「問題満載」で迷走を続けていますが、次のような『courrier』の記事もありました。

『この時代に万博を開催する意味はあるのか
英紙の皮肉「大阪万博の混乱はドキュメンタリー番組の最高のネタだ」
https://courrier.jp/news/archives/347807/
 建設費の膨張、参加予定国の撤退など混乱の大阪・関西万博について英紙「フィナンシャル・タイムズ」が皮肉めいたコラムを掲載。その手に汗握る展開は、まるでドキュメンタリードラマを観ているようだと揶揄する。
■会場はいまだ「殺風景な駐車場」
 メキシコとエストニアは撤退を表明したが、デンマーク、カメルーン、ジャマイカはまだ参加を希望している。
 建設費のあまりの急騰ぶりに、ブラジル、アルゼンチン、ポーランドは、自国のパビリオンを簡素な「倉庫タイプ」へ変更することを検討中だと伝えられる。
 欧州のある国は、日本最大手の建設業者から「希望通りのパビリオンを作ることはできるが、完成は万博が閉幕してから1ヵ月後になる」と告げられたらしい。
 ドキュメンタリードラマのシリーズを一気見できる時代にあって、2025年大阪・関西万博の開催準備は「完璧」な進捗を見せている。主催者側が全力で頑張れば、2シーズン分のボックスセットすら制作できるかもしれない。
 万博開幕まで1年半を切った大阪湾に浮かぶ人工島、夢洲の光景は、主催者すら認めるように、多くの観点から見て理想には程遠い。
 完成すれば各国のパビリオンをぐるりと囲むことになる「木造リング」の建設がようやく着工となった。だが建築現場を視察に訪れた人々はまだ、155ヘクタールもある殺風景な駐車場めいた場所に立ち尽くすばかりだ。
 11月半ばには、参加を予定している150ヵ国以上から関係者が集結した大規模な国際会議が開かれた。参加者たちいわく、期待以上に盛況だったとのことだが、そもそも最初から彼らの期待値は驚くほど、そして辛辣なまでに低かった。
 同じ月、日本政府は会場の建設費として2350億円を承認した。これは当初予定のほぼ2倍で、さらに増額されるのではとの憶測を呼んでいる。
 この上方修正は人件費や資材価格の高騰を理由に正当化されたが、予算の大盤振る舞いには違いない。すかさず反応した地元・大阪のテレビ局は、ただでさえインフレ高騰で苦しみ、不満を募らせている納税者にどれだけ負担が増加されるかを、1円単位で解説してみせた。
(中略)
■大阪万博には「日本の問題」が凝縮されている
 万博の歴史は、1851年のロンドン万国博覧会までさかのぼるが、当時ははるかに明確な目的を持っていた。海外旅行が一般的ではなかった時代、外国の食べ物や技術、文化に触れる機会が限られた世界の人々にとって、万博は素晴らしくスリリングな国際展覧会だった。
 大阪万博は多くの参加国とともに、そうしたスリルの「現代版」を提供したいと真に願っているのだろう。そこに疑いの余地はない。
 だがマインクラフトのお菓子の村の作り方や、チキンビリヤニのレシピを紹介したYouTubeの動画1本が、大阪万博の想定来場者数2800万人を軽く上回るような時代に、「グローバルリーチ(世界的展開)」を定義するのは難しい。
 とはいえ、悲惨な結末になろうと成功裡に終わろうと、大阪万博が見応えたっぷりな催しになることは間違いない。そしておそらく、それこそが万博が目指すべき進化系なのだろう。つまり、完成した姿よりも準備を見せ物にするのだ。
 興味深いことに、大阪万博が直面している問題の多くは、日本が抱える課題の縮図でもある。深刻な労働力不足、厳格な規制、予算の大幅な上振れなどがその顕著な例だ。
 一方、万博そのものの意義に寄せる信頼も、きわめて日本的といえる。万博は日本が莫大な利益を享受してきた古い世界秩序に感情的に根差している。その秩序は、技術的にも地政学的にも変化を遂げようとしており、新たな秩序は日本にとって格段に不利なものとなるだろう。
 それでも、この類のプロジェクトに対する日本のノスタルジックな情熱は、決して侮れない原動力となり、見る者に手に汗握る楽しみを与えてくれるはずだ。
 万博をめぐる明らかな混乱と世間の反発は、このドラマシリーズの展開にとって、私たち視聴者をまさに在るべき場所に立たせている。この時代に万博が存在意義を保とうとするのなら、まさにそうあるべきなのだ。
 いまの世の中、視聴者の嗜好は大惨事となった音楽フェスや、セレブがオーナーを務める弱小サッカーチームといった感情を揺さぶるドキュメンタリー番組によって形成されている。世界はそうした危機あるいはその危機の克服というドラマを観たがっているのだ。
 数千億円規模の万国博覧会は、もはや世界にとって不要なものだが、少なくともそのどちらかのストーリーは保証してくれるだろう。』

かなり長くなりましたが、いかがでしょうか。

ジャニー氏による虐待や性加害問題は、イギリスの『BBC』が口火を切って、日本のマスメディアの報道姿勢が一変したわけですが、この時代遅れの愚策「大阪・関西万博」も、イギリスの『フィナンシャル・タイムズ』の報道が口火となるのでしょうか。

自民党の裏金問題にも感じますが、日本のマスメディアの報道姿勢のだらしなさには呆れるしかありません。

この記事の『この時代に万博を開催する意味はあるのか』というタイトルが示すような現実を、日本のマスメディアは、今までしっかりと検証してきたのでしょうか。

仮想空間でも十分実現可能といえそうなコンテンツに、巨額を投じて推進・開催する「大阪・関西万博」は、IR(カジノ)という真の狙いを煙に巻くためのものともいわれています。

愚かな為政者は、勝手な論理を振りかざして、どこまで人々を蔑ろにするのでしょうか。

前々回のメルマガで紹介した『デイリー新潮』の記事、

『頭を良くするには寝るのが一番? 東大大学院に首席で入学した脳研究者が解説する「効率的学習法」
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/05070710/?all=1

に関しても、お返事をいただきました。

ありがとうございます。

『「テスト直前しか勉強しない。毎回徹夜だ」という例が挙げてありましたが、私も似たようなものだったと思います。いえ、似ているとは言っても、「徹夜でテスト勉強しよう」というほどの意欲もなく、毎回泥縄で、「まあ、赤点じゃなければいいか」という意識でした。あれで成績が上がるはずもありませんね。そんな人間が勝手に親になって、子どもに「勉強しなさい!」と金切り声を上げるわけですから、まさに「どの口が言う」状態です。恥ずかしいですねえ。』

親になって、自分が若かったころのことを忸怩たる思いで反省する人も多いかもしれませんね。

私も、特に高校生のころはラジオの深夜放送が真っ盛りで、夜遅くまで起きていてラジオを聴くのが「カッコいい」と思っていました。

もちろん睡眠不足になるだけで、勉強が捗ることはありません。

高校2年生~3年生のころには徹夜で麻雀をするのも「カッコいい」と思って、長期休暇になると、友人たちを自宅に誘っていました。

彼らは、日常的な勉強と、時々の私の悪の誘惑を上手に両立していました。

一方私は、真面目にコツコツ勉強する必要があることを分かっていながら、青春真っ只中の日々をひたすら浪費していました。

今思えば、ほんとうに幼稚で愚かでした。

そんな私が、エラソウニ「塾の先生」をしているわけですから、、、。

恥じ入ります。

『この記事は、「普段から少しずつ勉強して、テストの前にもきちんと睡眠を取るように」とアドバイスしているんですよね。脳の働きからも睡眠が必要となると、「テスト前に無理やり詰め込むだけではダメだぞ」ということですね。誰もが分かっていることではありますが、実際には「普段から少しずつ」がなかなかできません。中学受験を目指す場合は、準備にかける期間が長いので、「コツコツ勉強」を続けた後に「追い込み勉強」に移行していくことになりそうですが、どうしたらうまくいくのでしょうか。6年生になると、睡眠時間を削ることも多いと聞いていますし。』

当たり前ですが、普段から少しずつコツコツ勉強できる人は、テスト前に慌てる必要がなく、睡眠時間を確保できる可能性が高まります。

まさに「好循環」ですね。

では、「普段からコツコツ」という習慣を、どうやって身につければいいのでしょうか。

私の経験からすると、子どもが、自ら「コツコツ勉強」の習慣を身につけてくれるようなことはほぼ期待できません。

というか、「奇跡」に近いことです。

そんな「奇跡」をグッと引き寄せるためには、親の努力が必須です。

もちろん、一朝一夕に身につくはずもないので、子どもが小さいころから、家族の中に落ち着いて過ごす時間を設けるよう努め、そのような時間を「家族の時間」として少しずつ定着させていく必要があります。

親自身が、本を読んだり子どもの教科書や問題集を開いてみたりする時間を大切にして、落ち着いて過ごす時間の価値を高めるわけですね。

そんな親の姿が家族に良い影響をもたらすと信じてください。

次に大切なことは、子育て全般で、親にとって都合の良い計画が思い通りに進むことも奇跡に近いと、しっかり認識・理解することです。

当然、「コツコツ勉強を続けた後に、自然に追い込み勉強に移行する」のも簡単なことではありません。

子どもに限らず、親自身にもそんな「都合の良いこと」はなかなか起こりませんよね。

それなのに、親は、子どもにそんな「都合の良いこと」が起こると勝手に期待してしまうわけです。

その結果、子どもに「親の勝手な期待」を満たさないところが見つかると、子どもを追い込んでかえって萎縮させてしまうこともありますよね。

何度も書いてきましたが、「親のしないこと、親にできないことを、子どもに求めてはいけない」が親の基本姿勢です。

「子どもに○○を求めるなら、率先して親がそのお手本を示す」ことです。

親が、「要領よくいこう」などと考えるはもってのほかです。

さらに、私自身が、この記事の元になった

『受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習法』 池谷裕二著 新潮文庫

を読んで印象に残ったところを紹介します。

29ページ~32ページあたりを要約します。

『人間の脳の中で短期記憶が長期記憶に移行する際に、その関所役を演ずるのが海馬です。海馬の判定基準は、その知識・記憶が「生きていくために不可欠かどうか」ということです。
 しかしながら、学校で覚えなくてはいけない知識のほぼすべては、海馬が「生きていくのに不可欠だ」とは判定してくれないものなんです。』

いかがでしょうか。

この記述を読むと絶望的にもなりそうですが、これに続く記述(38ページ)を読んでみてください。

『学校で教わる知識を、(まだ進化的に未熟な)海馬に「必要なもの」と判断してもらうためには、できるだけ情熱をこめて何度も繰り返し情報を送り続けるしかありません。すると海馬は、「何度もやってくるのだから必要な情報に違いない」と勘違いしてくれます。
 古来「学習とは反復の訓練である」といわれてきたのは、脳科学の立場からもその通りだといえます。だから、学習したことを忘れてしまったとしても、また必要になったときに覚え直せばいいのです。』

「忘れてしまっても、反復すればよい」と、前向きになることが必要です。

その際に重要なことは、上記にも「情熱をこめて何度も繰り返し情報を送り続ける」とある通り、子どもが、目の前の学習内容に積極的に取り組めるかが重要なんですね。

たとえば、子どもたちがポケモン図鑑を覚えるとき、自分で意識はしていなくても「情熱」を持っているでしょうし、自分から前向きに取り組んでいるのも確かでしょう。

子どもたちが勉強する際も、同じような気持ちでいてほしいものです。

「勉強は、自分にとって価値があるものだ」という価値観ですね。

最後に、次の『ダイアモンドオンライン』の記事を紹介します。

『頭のいい親は「YouTubeをやめなさい!」なんて叱らない。子どもが進んで動き出す“魔法の言葉”
https://diamond.jp/articles/-/335448
■頭のいい親は叱るかわりに「選択」させる
 小学生以上の子どもで「勉強をしない」「ゲームばかりしている、YouTubeばかり見ている」という場合は、「子どもに選択させる」ことを意識すると効果的です。
 「勉強しなさい」と強制せずに「いつやるのか自分で決めてね」と伝え、子どもに選択を任せるのです。ゲームばかりしている子どもには「いつまでゲームをするのか決めて教えてね」と伝えると効果的です。子どもの口から「あと30分でやめる」などと言わせるように導きましょう。もし約束を守らなかった場合には、厳しく叱ってください。
 子どもに選択権をゆだねると、子どもの中に「自分は親から尊重されている」「自分がやりたいことをやらせてもらっている」という感謝の気持ちが生まれます。すると、親に対して素直になり、「やるべきことに自主的に取り組む」習慣が身につきます。
 また、子どもに選択させる場面を増やすと、自分の好き嫌い、つまり自分自身を理解できるようになります。この積み重ねが自己形成(アイデンティティ)の土台となり、自分のやりたいことを追求できる豊かな人生へとつながっていくのです。
 私は世界最高峰の名門難関大学群といわれるアイビーリーグ出身の若手エリートたちにインタビューをしたことがありますが、「子ども時代は好きなことばかりしていた!」という回答が多くて驚きました。遊んでばかりいたということではなく「スポーツや音楽など、自分がやりたいことを好きなだけやっていた」という意味です。
 この子たちが本当に好きなことばかりして、勉強をしていなかったかというとそんなことはありません。でも「好きなことばかりしていた」と言うのです。この答えを聞いた時に「できる親のなせる技!」と思わずうなってしまいました。
 親が指示・命令・先回りをせず、子どもの選択を尊重して育てると「やらねばならないこと」について「自主的なやる気」で取り組むことができる、自主性の強い子どもに成長するのです。
■子育て成功のカギは「強み育て」にある
 子どもが社会の変化に翻弄されずに、自分らしく幸せに生きていくには、失敗や挫折に負けない「たくましさ」を確立しなければなりません。一生ものの武器になるたくましさですが、どのように育てれば良いのでしょうか?
 たくましさが育つ要因は、家柄、血筋、遺伝ではありません。もちろん親の学歴や職業も無関係です。「子どもの潜在的な強みを引き出すこと」でたくましさは育つと断言できます。
 つまり、子育てで最優先すべきは「強み育て」なのです。強みは、音楽でもスポーツでも勉強でも、なんでもいいのです。
 一人ひとり違う「強み」を見出す。
 その具体的な方法をお伝えするために、この本を書きました。【子どもの強みの見つけ方・伸ばし方】を、科学的エビデンスをベースに、家庭で簡単に行える35の具体的なメソッドまで落とし込んだ1冊です。
 「強み育て」でお子さんの人生をより前向きなものにしていく。そんなお手伝いをできたらと思います。』

かなり長くなりましたが、いかがでしょうか。

みなさんのお返事を待って、次回のメルマガで考えてみたいと思います。