5月最後の木曜日になりました。

新型コロナが5類に移行してから、ニュースなどで取り上げられることもめっきり少なくなりました。

みなさんの周りではいかがでしょうか。

次のような記事(『週プレNEWS』)もありました。

『"現役最強の伝播力"で日本でも爆増中!! コロナ新変異株「XBB.1.16(アークトゥルス)」のわかっていること
https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2023/05/22/119485/#cxrecs_s
 5月9日以降、1日当たりの新規感染者や死亡者などのデータが更新されなくなり、人々の間でコロナを意識することが薄れつつある中、その間隙を縫うように、不気味な変異株が日本国内でとてつもない勢いで広がっているという。
 これまでの変異ウイルスとは何が違うのか? 結膜炎や下痢など、新たな症状が見られる理由として考えられることは?
■クラーケンを上回るウイルスの伝播力
 5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行され、ポストコロナ時代に向けて本格的に動き出した日本。
 新規感染者の集計は全数把握から定点把握に代わり、毎日発表されていた新規感染者数、重症者数、死亡者数などは更新されなくなった。
 以前のようにリアルタイムな感染状況はわからなくなったが、それはもちろんコロナの根絶を意味しているわけではない。今も、新たな変異株は生まれ続けている。
 そんな中、専門家の間で注目されているのが、今年の春頃からインドや北米など、世界各地で感染が拡大している「XBB.1.16(俗称アークトゥルス)」と呼ばれるコロナの変異株だ。
 日本国内でも感染が確認されていて、東京都が公表している週ごとのゲノム解析結果の5月18日時点の推移を見ると、4月3日から9日の結果では一件も報告されていなかったXBB.1.16が、わずか数週間で全体の14.3%(4/17-23)、23.0%(4/24-30)と急激に増加していることがわかる。
 コロナの5類移行とほぼ前後して、国内でも爆発的に増え始めたXBB.1.16とは、いったいどのような変異株なのか?
「XBB.1.16は、XBB.1.5(俗称クラーケン)よりも高い伝播力を備えているのはほぼ間違いないと思います」
 そう語るのは、東京大学医科学研究所の教授で、新型コロナウイルスの変異株を追い続け、世界的にも注目される研究グループ「G2P-Japan」を主宰するウイルス学者の佐藤佳氏だ。
(中略)
 現役最強の伝播力を持つXBB.1.16がこの先、日本でどの程度の広がりを見せるのか? そして、それが「第9波」を引き起こすのか?
 コロナの5類移行に伴って感染状況の監視体制が大きく引き下げられた今、その行方を予想するのは難しい。
 だが、新たな変異株によってコロナの重症化率や死亡率が急激に高まり、深刻な状況を招かない限り、ある程度の感染拡大を繰り返しながらも、普通の日常を続けるというのが私たちの選んだ「ウィズコロナの世界」の現実だ。
「イギリスのように国民のほぼ全員が感染した国でも流行の波は起きています。今後もコロナが世界から消えることはなくて、おそらく日本でも、社会の中に感染者が20%程度は常にいる、という状態に最終的にはなっていくのかもしれません。
 ということは、ウイルスそのものはずっと増え続けていくので、ウイルスの変異はどんどん蓄積されていくことになります。それがデルタ株のようにウイルスの特性が突然大きく変化し、病原性が高まった変異株を生むことだってある。そうしたことが起こりうる可能性があることを、忘れてはいけないと思います」』

いかがでしょうか。

世の中が「緩み始めている」ことでまた新たな混乱が生じないのか、私が心配性過ぎるのかもしれませんが。

さて、今回も、メルマガにいただいたお返事を紹介します。

『先生が「終活」という言葉をメルマガに書かれていて、偶然だなあと思いました。もう何年も人が亡くなっていく様子を見て、少しずつ終活をしている私です。本人は死んでしまったら終わりですが、残された人たちに負担をかけないように準備を進めていくのは大切です。昨年亡くなった義兄の遺品処理等が大変過ぎますし、生きている間にできることをやっていかないと大変だと実感しました。』

そうですね。

終活は自分の人生の締めくくりですが、残された人たちへの負担をできる限り軽減することにもつながるわけで、その意味でも重要だと思っています。

通帳や印鑑、キャッシュカードの暗証番号などだけでも、伝えるべきことはたくさんあります。

さらに現代は、デジタル遺産のパスワードなども伝える必要がありますよね。

私は、なかなかモノを捨てられないので、このままでは大迷惑をかけることになりそうです。

また、40年近くにおよぶ授業を通じて貯まってきた教材や資料をどうまとめていくのかも、私には大切な作業だと思っています。

簡単には「終わり」にできません。

『「中受あるある例文」はほんとうに面白かったです。私も、①の「生憎ですが、この成績では入塾できません。」には大笑い(失礼!)させていただきました。進学塾の担当者が、困った顔をしてモゴモゴ言う姿が浮かびました。⑦の「復習テストの準備に明け暮れる。」も、「もしかしてわが家の日常をのぞいてました?」と聞きたくなりました。⑧の「浅はかな母は、怪しい情報に振り回される。」もまさにその通りで、ここに浅はかな母の代表がいます。」

楽しいお返事、ありがとうございます。

ほんとうに、どれも楽しく秀逸な例文だったと思います。

真面目な例文を作るのももちろん大切な練習ですが、このような楽しい(少々哀しい?)例文を作るのも大賛成です。

ジーニアスの国語の授業でも、

「楽しい文を書きましょう。みんながイヤな気分になるものでなければ、嘘をついてもいいですよ」

と声をかけています。

『「牛歩戦術」「確定申告」などの四字熟語には、正直びっくりです。うちの子はまったく知りませんでした。また、「水中花」は、親の私もググってみて初めて現物を知りました。6年生の語彙力がどこまで必要なのか、あらためて気が重くなりました。』

そうですね。

中学受験を目指して、その試験だけのためにひたすら語彙力を磨くとしたら、それほどつまらない勉強はないでしょう。

それを、少しでも「価値のある学び」にするには、やはり「語彙力の本質」を考えてみるしかありません。

親子で「生きる力」を伸ばしているのだという、揺るぎない自信ですね。

ぜひ、ほんとうの意味で「強い親子」になってください。

『灘中の過去問の「語彙力養成サブノート」ですが、私も、できれば公開してほしいと思います。虫がいいのはわかっていますが、どんな語句が並んでいるのか知りたいです。』

ありがとうございます。

「どんな語句が並んでいるのか知りたい」という純粋なご希望は、私にはもったいないほどのお気持ちです。

なんとかご期待に応えたいと思いますが、平成3年~平成26年のデータは相当なボリュームですし、まだまだ抽出の基準が甘く荒削りですので、精度を上げる必要もあります。

少しずつになりそうですが、このメルマガで公開していくつもりです。

誠に勝手ですが、今しばらくお待ちくださいね。

最後に、前回紹介した中学受験に関する記事について書かせていただきます。

今回はまず、

①『「やらされ中学受験」にプロが警告! 子どもの将来を左右する「合格・不合格」より怖い“ツケ”とは』
https://dot.asahi.com/dot/2023013000006.html?page=1

についてです。

『「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。』

まさにその通りだと思います。

「正しい学び」を目指して親子で研鑽し、その結果として子ども本人に適した中学校に進学できて、その中学校でまた新たな気持ちでスタートを切ることができれば、それこそまさに「正しい学び」を実践できている証拠です。

それが、「子どもにとって正しい道」だと思います。

『最近の変化で感じることは、子どももなんですけど、親御さんたちもすぐに正解を聞こうとすることですね。』
『枝葉末節、すべてが不安なんですよね。』
『あまり試行錯誤せずに、効率よくやりたい、と思っているのも特徴ですね。』
『今は大人も子どももかつてよりタフさが減っているというか、傷つきやすくなっているから、そのような質問が来ても、やっぱり優しい回答しかしにくいですね。』

中学受験を目指す親子だけでなく、子育て(どの子にとっても一度きり!)に取り組んでいる親子には不安がつきものです。

子育てに真面目に取り組めば取り組むほど不安を抱えてしまうでしょう。

また、うまくいっているようにみえるときでさえ、「いつ道を外れてしまうのか」と不安を感じるかもしれません。

親子ともに失敗を恐れる気持ちもわかります。

しかしながら、子どもの前から「危険や失敗」を排除することは不可能ですし、その種の努力は、「さらに大きな危険や失敗」を先延ばしにしているだけかもしれません。

試行錯誤を厭わず、少しずつ強くなる努力を続けることこそ、子育ての王道だと思います。

『日本では、本人に言いにくいことや耳が痛いであろうことを、いかに傷つけずに伝えるかという技術の話になることが多い。本来は、フィードバックというのはそういうことではないんですが。』
『優しいフィードバックばかりしてしまうと、される側は優しいところだけ受け取って、その奥にある本質のところまで取りにいかない、という弊害もありますよね。本人の想像力にもよるのでしょうけど。』
『自分で考えさせるためには、鏡のようなフィードバックが効果的なんです。つまり、何かを具体的にアドバイスするより、「今あなたの状態はこんなふうですよ」と見せて、どう思いますか?というふうに問いかける。自分の状況をいかにメタ認知させるか、ということが大事なんです。たぶん保護者も同じなんじゃないかな。説得しようとするのではなくて「今のあなたはこうですよ、どう思いますか?」っていうやりとりのなかで、アップデートしていくのが本質的なんだろうと思います。』

フィードバックに対するこの考え方も正しいと思います。

私も、こんな年齢になってしまいましたが、ぜひ身につけたいスキルです。

『思考停止している人が多いからこそ、最近中学受験で増えている「思考力試験」に意味があるっていう側面もありますよね。ちゃんと考えられる人に入学してきてほしい、という。
『それだけ自己決定することがストレスになっちゃっている、ってことですよね。』
『はい。それは「やらされ中学受験」の怖い側面でもありますね。』
『自分でやることを自分で決められる人になるか、誰かに言われたことをひたすらやる人になるか。そこで二極化して、格差が出てきてしまう。今、それがより加速化しているようにも思います。』
『子どもが親の言うことをよく聞くと、親は「よくできる素直な子」って思いがちですが、気をつけたいところですね。』
『誰かの言うことに従うにせよ、それを自分が能動的に選択してるんだったらいいんですけどね。「僕は言われたことをやるほうが幸せなんです。そっちで生きていきます」って。でも、なんとなくそうなっちゃって、なんか人生つまんないな、とか愚痴っているならもったいないな、と思いますね。』

「思考停止」「やらされ受験」「意思なき素直さ」などのキーワードは、もちろんネガティブなものばかりですが、これらが「親にとって楽だ」という構図を作り出してしまう「キラーワード」になってしまう場面も多そうです。

「意思なき素直さ」は、直接受験に関係ない場面でも危険な兆候です。

親として、肝に銘じたいものです。