今年度の課題図書の紹介ページを、参照・引用させていただいています。
https://www.dokusyokansoubun.jp/books.html

ありがとうございます。

また、上記ページには、「課題図書」選定委員会の選定理由が掲載されていますし、各図書の表紙写真をクリックすると、最初の4ページ分を読むこともできます。

今までよりずっと便利になっています。

ぜひ、上記ページを訪問してみてくださいね。

なお、「→」以下の記述が、私からの一言アドバイスです。


『つくしちゃんとおねえちゃん』
いとうみく作 丹地陽子絵 福音館書店 1,320円
 気が強くて優等生の小学4年生の姉と、マイペースで不器用な小学2年生の妹つくし。妹の視点で日常をつづった5編の物語。
【みどころ】頭がよくてなんだってできるおねえちゃんは、あたしの自慢です。おねえちゃんは歩くとき、少し右足をひきずります――。揺れ動く気持ちを鮮やかに描いたある姉妹の日常の物語。
【選定理由】妹の視点で姉への気持ちがよく表現され、文学性も高い。妹から見ると何でもよくできるお姉ちゃん、実は足が不自由で、がんばりやで妹思いの姉。姉妹のそれぞれの思いが伝わってくる。

→右足が少し不自由だけれど、頑張り屋でしっかり者のお姉ちゃんと、そのお姉ちゃんに憧れて慕う妹のお話です。日常の小さな出来事の中での姉妹のやりとりが書かれているので、子どもたちにも心情がつかみやすいと思います。感想文を書くという点では、4冊の中でこの本が一番おススメでしょう。自分自身の立ち位置から(姉・兄として、あるいは妹・弟として)読み解けば、感想文を書きやすいかもしれません。
 とはいえ、
「私は姉の立場ですが、あのとき弟はどう感じていたのかなあ」
「私は妹ですが、お兄ちゃんはどう思っているのかなあ」
「お父さんやお母さんは、ぼくたち兄弟のことをどう思っているのだろう」
というように、逆の立場や別の視点で考えてみるのもいいですね。


『ばあばにえがおをとどけてあげる』
コーリン・アーヴェリス文 イザベル・フォラス絵 まつかわまゆみ訳 評論社 1,650円
 「大好きなばあばを笑顔にしたい!」と、まちに「よろこび」を探しにでかけます。おばあちゃんと孫娘のやさしくあたたかな物語。
【みどころ】大好きなばあばが最近笑わない。「人生から、よろこびが消えちゃったみたい」と、ママは言う。ならば「とりもどしてあげよう!」と、まちに「よろこび」を探しにでかけます。おばあちゃんと孫娘のあたたかな物語。
【選定理由】歳をとり、笑顔が消えたばあばに笑顔を取り戻そうとするテーマに、明るさがある。絵がすばらしく、絵本の世界で遊ぶばあばと孫の姿が美しい。

→元気がなくなって笑わなくなったばあばに、「よろこび」を届けようと頑張るファーン。「よろこびってどんなもの?」とママに聞いて、「ワァーイ!」とできるものが「よろこび」だと知りました。自分にとって「よろこび」や「よろこびをもたらしてくれるもの」とはどんなものかを感想文のメインにすえるのもいいですね。
 また、ばあばのところに「よろこび」を運ぶための道具をあれこれ考える場面がありますが、
「空きカン、紙袋、フライパン、ふたのない箱、箱のないふた、魚のあみ、小枝」
などでどんな「よろこび」を運べるのかを考えてみるのも、楽しい感想文になりそうです。とりわけ「箱のないふた」や「小枝」では、どんなよろこびが運べるのでしょうか。自由な発想で自分らしい感想文を仕上げてくださいね。


『すうがくでせかいをみるの』
ミゲル・タンコ作 福本友美子訳 ほるぷ出版 1,760円
 うちのかぞくには、それぞれすきなことがある。すきなことがあるっていいな…「すき」を通して、世界の見方をみつける絵本。
【みどころ】うちのかぞくには、それぞれすきなことがある。すきなことがあるっていいな…この絵本の主人公が「これだ!」って思ったのは、すうがく! すきなことは、みんなちがう。「すき」を通して、世界の見方をみつける絵本。
【選定理由】フィクションだがノンフィクションのような独特な視点、身の回りの数学的な事象に関心を持つという視点、人それぞれ好きなことは異なり、得手不得手があってよいというテーマが流れている。

→タイトルには「数学」という言葉が使われていますが、主人公の女の子が好きなものは「算数の世界」です。小学生にも十分理解できる内容なのに、どうしてこんなタイトルをつけたのでしょうか。本屋さんで一度手にとってみて、子ども本人が気に入ってくれれば問題はないと思います。算数の世界の楽しさに目を向けて感想文を書くのもいいですし、自分の好きなもの・家族の好きなものなどに目を向けるのもいいですね。
 因みに、東大教授の名前が日本語監修として出ていますが、このタイトルに異を唱えなかったのでしょうか。ちょっと残念です。


『おすしやさんにいらっしゃい!:生きものが食べものになるまで』
おかだだいすけ文 遠藤宏写真 岩崎書店 1,760円
 魚を釣り上げてからお寿司になるまでを動画のような連続性で描き、私たちが命をいただいて生きていることを伝える写真絵本。
【みどころ】釣り上げた魚をさばき、寿司にするまでを見せる写真絵本。魚の特徴や部位の働きも解説。赤い魚「キンメダイ」、ニョロニョロしてるぞ「アナゴ」、腕がいっぱい「イカ」の全3章。最後にお寿司を美味しくいただきます。
【選定理由】キンメダイ、アナゴ、イカなど、釣り上げた魚をさばくところからすしにしていく過程に、独自の表現方法と視点があり、類書がない。写真と写真の構成も生き生きとしていてすばらしい。

→昨年の課題図書『どこからきたの?おべんとう』とよく似た種類の本です。お寿司大好きで食いしん坊の私は、この本が一番気に入りました。とはいえ、この写真絵本の感想文を仕上げるにはどうしたらいいのでしょうか。
 実際に釣りに行くのもいいでしょうし、魚をさわってみるのもいいでしょう。さらに、さく(お刺身を作りやすいように、形を整えて大きな切り身にしたもの)の状態までさばいてもらったものを、自分で切ってみるのもいいですね。そんな経験から得られた体験を丁寧に描写すれば、しっかりした感想文ができそうです。手順がよくわかるように、理科の実験や社会の研究などの手順を書く要領です。
 また、この本のサブタイトル「生きものが食べものになるまで」に着目して、他の食べものが私たちの食卓に上るまでを考えてみるのもいいですね。


なお、中学年以上のアドバイスに関しては、『にしきた学習教室』のホームページからメールでお問い合わせください。