【登場人物】
・佐藤…30代会社員。朝が弱い「二度寝派」。
・妻・真由…フルタイム勤務。「起きる派」。
・向かいの田中さん…ご近所の早起き代表。
【場面】
真冬の早朝4時。まだ真っ暗な住宅街。
遠くから、例の音が近づいてくる——。
ゴォォォォォ……ガガガガガッ!!
真由「(ガバッ)来た! 除雪車!!」
佐藤「(布団の中から)今、“来た”って言うタイプの音じゃなかったよ…。
“もう一回寝ろ”って音だったよ…」
真由「何言ってるの、今が一番チャンスなの!
除雪車が通った直後に車どかしておけば、出勤がラクなの!」
佐藤「4時は“チャンス”じゃなくて“夢のゴールデンタイム”なの…」
(窓の外、向かいの田中さん家の灯りがパッとつく)
真由「ほら見て、田中さんもう外出た!」
佐藤「“起きる派”のシンボル出てきた…」
(田中さん、元気よく雪かき開始)
田中さん「今やっとけば、7時が天国なんだわ〜!」
真由「聞いた? “7時が天国”だって!」
佐藤「オレは“今が天国”なの。布団という名の…」
真由「はい立って! “起きる派”に加入!」
佐藤「やだ…“二度寝党”から離党したくない…」
真由「離党届は受理しません!」
(強制的にコートを着せられる佐藤)
玄関前。除雪車が家の前を通り過ぎ、道がきれいになる。
真由「ほら、今ならすぐ車出せる!」
佐藤「(シャベルを持ちながら)…わかったよ。やるよ…。
でもさ、これ終わったら一回帰ってきて二度寝していい?」
真由「ダメ。そこからは“出勤準備モード”に移行です」
佐藤「4時に起きた人の権利はどこ…?」
(30分後。雪かき完了)
田中さん「おー、佐藤さん。今日から“起きる派”仲間だな!」
佐藤「いえ、心だけはまだ“二度寝派”です…」
【場面:同日の夜】
真由「ねぇ、明日も雪マークついてるよ」
佐藤「……じゃあさ、除雪車の音で起きた人が負け、
最後まで寝てた人が勝ちってルールにしない?」
真由「それ、誰も雪かきしなくなるやつだから」
佐藤「じゃあこうしよう。
明日は“起きる派”担当、明後日は“二度寝派”担当」
真由「二度寝派に“担当”ってあるの?」
(こうして佐藤家は、冬のあいだずっと“起きる派”と“二度寝派”の静かな冷戦状態が続くのであった)
