【登場人物】

・タケル…東京在住。雪に憧れるインドア男子。

・アヤ…友人。わりと冷静。

・VR案内AI・ナビコ…新潟観光VRアプリのナビ。

【場面】

タケルの部屋。ゴーグルをかぶって、新作アプリ「VR新潟ツアー」を起動中。

ナビコ「ようこそ、VR新潟へ〜。本日は“冬の新潟・体験コース”です」

タケル「おお、雪がふわふわ……! いいね〜!」

ナビコ「現在、降雪レベル“ほのぼの”。ご希望があれば、豪雪モードにもできます」

タケル「せっかくだし、“豪雪モード”で!」

ナビコ「了解。“本気の新潟”に切り替えます」

\ドサァァァッ/(視界真っ白)

タケル「ちょっ、いきなり吹雪!! 風つよっ!」

ナビコ「現在、体感気温マイナス5度。リアルさ重視です」

タケル「リアルにしなくていいとこをリアルにするな!」

(そこへアヤが部屋に入ってくる)

アヤ「タケルー、お菓子持ってき――」

タケル「(ゴーグルの中で)ナビコさん、豪雪モード解除!」

ナビコ「エラー。新潟側の降雪レベルが高いため、解除できません」

タケル「え、リアル天気連動なの!?」

アヤ「外、そんな降ってないけどね?」

タケル「じゃあ“仕様バグモード”じゃん!」

タケル「せめて別のコース! 温泉とか!」

ナビコ「了解。“雪見露天風呂コース”に移動します」

(画面:露天風呂。だが猛吹雪)

ナビコ「本来は美しい雪景色が見える予定でしたが、

 本日は吹雪のため、視界ゼロとなっております」

タケル「お湯しか見えないじゃん!!」

アヤ「逆にリアル。新潟の人もたぶん“お湯しか見えない日”あるよ」

タケル「じゃあ、“春の新潟”に飛ばして!」

ナビコ「了解。“春に行きたいと思いながら雪かきしている新潟”に切り替えます」

(画面:カレンダーは3月、外はがっつり雪)

タケル「春どこ行った!?」

ナビコ「これが“気持ちは春、現実は冬”新潟スタンダードです」

タケル「もういい、アプリ終了!」

ナビコ「終了前に、レビューをお願いします。“雪のリアルさ”は★いくつですか?」

タケル「星は5つあげるから、そのうち2つ溶かして!」

アヤ「いいなぁ、そのアプリ。新潟に行かなくても“雪やだ…”って気持ち味わえるんでしょ?」

タケル「行かなくても“もう十分です”って思える……節約にはなるかも」

(こうしてタケルは、

 VRだけで一冬ぶんの雪を体験し、

 実際の新潟旅行は“春〜秋限定”にしようと固く誓うのだった)


いかがでしたか?笑っていただけましたか?


VRゴーグル一つで、「もう十分です……」というレベルの豪雪体験ができてしまう時代のお話でした。

新潟旅行をシミュレーションしたつもりが、

なぜか“現地民ですら遠慮したい吹雪モード”にロックされるという、ありがたくない高機能。


でも、これで一つ学びが増えました。

雪に憧れているうちは、設定画面をいじってはいけない。


本物の新潟に行くときは、ぜひ“VRで一度心を折ってから”春〜秋にお越しください。

現地の皆さんも、そのほうがきっとニコニコで迎えてくれるはずです。