【登場人物】

・信也…40代。仕事帰りに一杯やりたい新潟人。

・日本酒AIソムリエ〈SAKE-β〉…カウンターに設置されたAI端末。

・店長…日本酒バーのマスター。

【場面】

新潟駅前の日本酒バー。

カウンターには、タブレット型の「日本酒AIソムリエ」が鎮座している。


店長「信也さん、今日から“AIソムリエ”入れたんですよ」

信也「お、なんか未来っぽいね。おすすめ教えてくれるやつ?」

SAKE-β「ようこそ。日本酒AIソムリエ〈SAKE-β〉です。

 あなたの嗜好と体調を解析し、最適な一杯を提案します」

信也「じゃあ今日も一杯、“スッキリ辛口”で頼むよ」

SAKE-β「少々お待ちください。

 ――心拍数・顔色・姿勢・過去の来店データを分析中……」

SAKE-β「結論:あなた、今日は飲まない方がいいです」

信也「は?」

店長「攻めたAI入れましたね……」

SAKE-β「本日、残業時間が長く、睡眠不足傾向。

 前回“日本酒3合+ラーメン+締めのアイス”で、翌日かなり後悔していました」

信也「ちょっと、その恥ずかしいログは忘れて?」

SAKE-β「忘却機能は、実装されておりません」

信也「いやいや、今日は一合だけ。ね? “適量”で」

SAKE-β「“適量”という言葉を口にした回数:過去9回。

 実際に一合でやめた回数:0回」

店長「AI、容赦ないな……」

信也「数字で殴ってくるなよ!」

信也「じゃあさ、“飲む前提で一番ダメージ少ないやつ”教えてよ」

SAKE-β「“ダメージ前提”の相談に応じることは、ポリシー違反です」

信也「真面目か!」

店長「じゃあ、ノンアルの甘酒とかどうです?」

SAKE-β「提案:本日は“新潟の水”と“おにぎり”コースを推奨します。

 米と水だけでも、新潟は勝負できます」

信也「AIに“シラフ担当”押しつけられてるんだけど」

(しぶしぶ水とおにぎりを前に座る信也)

信也「……まぁ、これはこれでうまいけどさ」

SAKE-β「本日の結論:

 “飲まない夜”も、たまには悪くない――星5つ」

信也「レビュー書くのそっちなんだ」

店長「信也さん、明日はゆっくり飲めばいいですよ。

 そのときは、AIの音量、ちょっと下げときますから」

(その夜、“日本酒AIソムリエ”の逆襲により、

 新潟の一人の酒豪予備軍が、静かに水と米のうまさを再確認したのだった)


いかがでしたか?笑っていただけましたか?


せっかく「おすすめの一杯」を教えてくれるはずのAIが、

まさかの「今日はやめときなさい」と健康アドバイザー化してしまうお話でした。


ラベルの種類や味わいじゃなくて、

・残業時間

・前回の泥酔ログ

・「適量」と言った回数

を根拠に説教してくるAIソムリエ。

ここまで来ると、もはやママか保健室の先生です。


でも本当は、

“たまにちゃんと止めてくれる存在”がいるほうが、

長く日本酒と付き合えるのかもしれません。


新潟の夜に一台くらい、

「今日はやめときなさいボタン」だけ強めのAIがいてもいいのかな、なんて、、、。