【登場人物】

・翔…告白を決意した新潟男子

・美雪…その彼女候補。雪には慣れてる

・通りすがりのオジサン


【場面】

真冬の田んぼ道。地吹雪で視界ほぼゼロ。

バス停で並んで立つ2人。

翔「(心の声)今日こそ言う…! たとえ前が見えなくても!」

\ゴォォォォォ!(地吹雪)/

美雪「ちょっと! 本当にここで待つの? 何も見えないんだけど!」

翔「だ、大丈夫。気持ちは…見えてるから!」

美雪「急にポエムやめて」

吹雪、さらに強まる。

2人の間に、よく見るとオジサンも立っている。

翔「(よし、今だ…!)み、みゆ——」

\ビュオオオオッ!!/

翔「…っちゃんが、好きだーー!!」

美雪「えっ!? なに!? “ミルクティー好きだ”って!?」

オジサン「おお…ワシに言ったのかと思ったわ…」

翔「違います!!」

少し風が弱まる。

美雪「ごめん、もう一回、ちゃんと言って」

翔「(深呼吸して)俺は、美雪のことが――」

\ザァァァァッ!(横から新たな地吹雪)/

美雪「“新潟のことが”に聞こえた!」

オジサン「それはそれで正しい告白だて」

翔「今日は日本海側、うるさいなぁ!!」

やっと風が落ち着き、輪郭だけ見える。

翔「……もう一回だけ。今度こそ」

美雪「うん」

翔「俺は、美雪のことが、好きです」

(沈黙)

美雪「……やっと“ホワイトアウト解除”されたね」

翔「返事は……?」

美雪「じゃあ、こうしようか。

 “晴れた日に、ちゃんと顔見て改めて聞かせて”」

翔「え、保留!?」

オジサン「冬の日本海側ではな、“天気のいい日まで続いた恋だけ本物”なんだて」

翔と美雪は思わず顔を見合わせる――

地吹雪の向こうで、ちょっとだけ照れた笑い声だけが、はっきり聞こえた。


いかがでしたか?笑っていただけましたか?


せっかく勇気をふりしぼった告白が、

よりによって地吹雪でホワイトアウトしてしまうという、

日本海側ならではの“天候にジャマされるロマンス”でした。


「好きだーー!!」が

「ミルクティー好きだ!」に聞こえたり、

なぜか横にいたオジサンまで

「ワシに言ったのかと思ったわ…」と巻き込まれるあたり、

肝心なときほど世界がノイズまみれになる感じが、

ちょっと切なくて、でもやっぱり笑えます。


とはいえ最後に、


「晴れた日に、ちゃんと顔見て改めて聞かせて」


と返された時点で、もうだいぶ“勝ち”に近い返事なんじゃないか…とニヤニヤしてしまうのは私だけでしょうか。

ホワイトアウトで何も見えなくても、ちゃんと届いているものもある――