【登場人物】
・官房長官…急に首都移転を任されて胃が痛い。
・地元農家・渡辺さん…田んぼの主。落ち着きすぎている。
・若手議員…都会派。靴が泥に弱い。
【場面】
ある日突然、政府発表。
「首都を新潟に移す。新国会議事堂は、田んぼの真ん中に建設する」
そして現地視察の日——。
官房長官「……こちらが新国会議事堂予定地です」
(見渡す限り田んぼ。真ん中に棒が一本立っている)
若手議員「え、ここ!?議事堂って、もっと“威厳”とか“石造りの階段”とか……」
渡辺さん「まあまあ。威厳は、秋になれば稲穂が勝手に出しますて」
官房長官「出しません」
若手議員「でも、アクセスは? 最寄り駅は?」
渡辺さん「田んぼのあぜ道が“最寄り道”です」
若手議員「道が概念になってる!」
そこへ、工事ヘルメットの職員が駆け寄る。
職員「官房長官! 議事堂の基礎、沈みます!」
官房長官「やっぱり!?」
渡辺さん「そりゃ田んぼですから。水はけ良くないですて」
官房長官「最初に言ってください!」
渡辺さん「言いましたよ。“ここは稲が育つ土地だ”って」
若手議員「ていうか、国会ってスーツで来る場所ですよね?
この泥、どうするんですか」
渡辺さん「長靴で来ればいいんです」
官房長官「長靴国会……」
【場面転換:数か月後】
田んぼの真ん中に、なぜか“田園風の国会議事堂”が完成している。
屋根は瓦っぽく、入口には米俵が飾ってある。
官房長官「……完成したのはいいが、国会の運用が問題だ」
渡辺さん「まず議場に入る前に、足洗い場を作りましょう」
若手議員「議場の前に“足洗い場”って、寺じゃないですか」
官房長官「そして議事の開始は……」
(カンカンカン!と鐘が鳴る)
渡辺さん「除雪車じゃないので安心してください」
若手議員「安心できる要素がそこ!?」
【ラスト】
初日の本会議。
議長「それでは本日の議題、“米の価格”について——」
(議場の窓の外、稲穂がサワサワ揺れている)
若手議員「説得力ありすぎる……」
官房長官「……もうこの国、米を中心に回り始めてる」
(こうして新潟が首都になった日、
国会は“田んぼの真ん中”で、少しだけ地に足のついた政治を始める——
はずだったが、全員の靴は泥で終わっていた。)
