【登場人物】

・ユウタ(観光客。スケジュール命)

・マナ(観光客。食に弱い)

・オカダさん(地元民。微笑みで罠を張る)

・店員さん(決定打を放つ人)


① 新潟市内・食堂(昼前)

(メニューを見る2人)

ユウタ:昼は軽めでいこう。

マナ:うん。午後に観光いっぱいだし。

ユウタ:定食は重いから…

マナ:私は「軽めセット」で。

店員さん:ご注文お決まりですか?

ユウタ:はい、軽めでお願いします。

店員さん:ご飯の量はどうします?

ユウタ:(即答)普通で。

マナ:……いや、少なめで。

店員さん:わかりました。(一瞬の間)

おかわり自由です。

2人:……え?

② 食事開始(5分後)

(湯気立つご飯、つやつや)

ユウタ:……これ、米が主役だ。

マナ:おかずが脇役に回ってる。

ユウタ:軽めって何だっけ。

マナ:概念。

(2人同時に完食)

店員さん:おかわりいかがですか?

ユウタ:(条件反射)お願いします。

マナ:……お願いします。

(オカダさん、隣の席でにこやかに)

オカダさん:初めてですか?

ユウタ:はい、新潟。

オカダさん:それは…逃げられませんね。


③ 地酒という伏兵

(食後)

マナ:あれ、地酒飲み比べ…

ユウタ:昼だよ!?

オカダさん:少しなら。文化です。

ユウタ:文化なら仕方ない。

マナ:文化強い。

(ちょい飲み → いい笑顔)

ユウタ:……これは観光だ。

マナ:うん。これは学習。

④ デザートという追い討ち

店員さん:デザートに笹団子もありますが。

ユウタ:別腹って科学的に証明されて…

マナ:ない。

ユウタ:じゃあ…1個だけ。

店員さん:お2つですね。

ユウタ:なぜ!?

店員さん:お連れさまと半分ずつ。

マナ:優しい罠!

(もぐもぐ)

マナ:…これ、草なのに甘い。

ユウタ:食後の哲学やめて。


⑤ 店外・午後(ラスト)

(ベンチで動けない2人)

ユウタ:次、博物館…

マナ:無理。

ユウタ:港…

マナ:無理。

ユウタ:じゃあ…ホテル戻る?

マナ:うん。消化活動。

(オカダさん、通りがかる)

オカダさん:観光は?

ユウタ:胃の中です。

マナ:新潟、全部入れました。

(2人、同時にスマホで予定表を見る)

ユウタ:……全部キャンセル。

マナ:正解だと思う。

(間)

ユウタ:ねえ、夜ご飯どうする?

マナ:……軽めで。

(2人、同時に笑う)

(暗転)

いかがでしたか?笑っていただけましたか?

「昼は軽めで」は、新潟では呪文みたいなものです。唱えた瞬間、ごはんが主役になり、地酒が名乗りを上げ、笹団子がとどめを刺しにきます。予定表が真っ赤になる頃には、観光名所より胃袋のほうがフル稼働。

新潟旅行で大事なのは時間管理ではなく、消化待ちの覚悟。腹八分スケジュール?それ、新潟では存在しません。どうぞ予定は空白多めでお越しください。