【登場人物】

・ユカ…県外から来た観光客。写真のイメージで来た。

・新潟の友人・直人…現実を愛する県民。

・観光案内のお姉さん…笑顔で受け止めるプロ。


【場面】

新潟駅の観光案内所。

ユカはパンフレットを片手に、窓の外を見て固まっている。

外は、しっとり曇天。


ユカ「ねえ…このパンフ…見て」

(パンフの表紙:真っ青な空、日本海、キラキラの夕日)

ユカ「空が…青すぎない?」

直人「うん、青いね。

“年に数回の青”が全力で載ってる」

ユカ「年に数回!?」

ユカ「でもさ、今の空…」

(窓の外:グレー、グレー、そしてグレー)

ユカ「“無限グレー”じゃん」

直人「それが新潟の通常運転」

そこへ観光案内のお姉さん。

案内「いらっしゃいませ!観光ですか?」

ユカ「あの…パンフの空と…違いすぎて…」

案内「はい、よく言われます」

ユカ「よく!?」

案内「パンフは“晴れの日の新潟”です。

本日の新潟は“味のある新潟”です」

ユカ「味のあるって…言い方!」

直人「しっとりしてる分、食べ物がうまい」

ユカ「曇りを味付けに使うな」

【ラスト】

ユカ、パンフを閉じて外を見る。

ユカ「じゃあ…この天気でも楽しめるコースある?」

案内「もちろんです。

“空を見ないコース”をご案内します」

直人「温泉、酒、米、ラーメンね」

ユカ「観光の要素から空を外す潔さ!」

(新潟は、空がどんよりでも、胃袋は晴れる。)


いかがでしたか?笑っていただけましたか?


観光パンフレットの新潟は、だいたい年に数回しか現れない“奇跡の青空”でできています。

一方、実際に迎えてくれるのは、しっとり・どんより・でも落ち着く空。

そのギャップに戸惑う観光客の表情と、

「まあまあ、そういう日もありますよ」と言わんばかりの案内係の余裕——

この温度差こそが、新潟観光の入口かもしれません。

でも不思議なもので、

空が灰色でも、

ごはんは白くて、温泉はあったかくて、

人の距離は近い。

パンフは“夢の新潟”。

現実は“暮らしの新潟”。

そして気づけば、

どんより空のほうが思い出に残っている——

そんな一編です。