【登場人物】
・父(健二)…初日の出に憧れている。
・母(真理)…現実派。正月も段取り最優先。
・娘(ヒナ)…ツッコミ担当。
【場面】
元旦の朝。窓の外は一面の雪。空はグレー。
こたつの上におせち、みかん、年賀状。
健二「よし!初日の出、見に行くぞ!」
真理「どこに?」
健二「海!」
真理「今の海は“初日の出”じゃなくて“初風”よ」
ヒナ「初風っていうか、初ダメージ」
健二、窓を開ける。
(ドサッ)
屋根雪が落ちてくる音。
健二「……まず、雪が挨拶してきた」
真理「新潟の元旦はね、
太陽より先に雪が主役なの」
健二「でもさ…元旦くらい、縁起よく晴れてほしいじゃん」
真理「晴れは“ご褒美”だから」
ヒナ「新潟、正月から難易度高いゲーム」
そこへ、近所から声。
近所のおじさん(外)「あけおめー!雪、いい感じだねー!」
健二「“いい感じ”って何!?」
真理「積もり具合を褒めてる」
ヒナ「天気を“品質検査”する県」
健二「じゃあ初詣は?神社行こう」
真理「その前に…」
真理、スコップを差し出す。
真理「玄関、掘ろう」
健二「初詣より先に“初除雪”!?」
ヒナ「新潟は“玄関が開くと新年”なんだよ」
【ラスト】
ようやく玄関が開き、3人で外へ。
グレーの空、白い世界。
健二「…初日の出、見えないな」
真理「見えないけど、ほら」
(雪がキラキラしている)
真理「雪が光ってる。これが新潟の初光」
ヒナ「初日の出じゃなくて、初“反射”」
健二「……まあ、いっか。あけましておめでとう、雪」
(新潟の新年は、
太陽より早く、雪に頭を下げるところから始まる。)
いかがでしたか?笑っていただけましたか?
新潟の元旦って、まず窓を開けた瞬間にわかりますよね。
「今年も雪が元気!」——って。
初日の出を見に行く気持ちはあるのに、現実はまず“初除雪”。
玄関が開かないと、初詣どころか新年が始まらないあの感じ、
完全に新潟のお正月あるあるだと思います。
でも不思議で、空がどんよりでも、気分はちゃんと明るい。
こたつ、おせち、みかん、年賀状、そして雪の静けさ。
太陽が見えなくても、雪が光を反射して
「ほら、これが初光だよ」って言ってくれる。
新潟のお正月は、太陽じゃなくて“白さ”で祝うのかもしれません。
ちなみに私の中での新潟の新年第一号の掛け声は、
「あけましておめでとう」より先に
「スコップどこだっけ?」です。
…今年もいい年になりそうですね。
