【第6章】歳をとるのも予定外

――大人になれば、もう少し大人になると思っていた。

【登場人物】
・25歳の男
・現在の男

夜。

男、昔のアルバムを見ている。

男:「若いなぁ……」

写真の中の25歳の自分が突然しゃべる。

若い男:

「おい」

男:「えっ!?」

若い男:「未来の俺?」

男:「……そうだけど」

若い男、現在の男をじっと見る。


若い男:「で、どうなった?」

男:「何が?」

若い男:「人生だよ!」

男:「ああ」

若い男:「偉くなった?」

男:

「いろいろあった」

若い男:「金持ちになった?」

男:

「そこも、いろいろあった」

若い男:「ずいぶん便利な言葉だな」


若い男:「じゃあ今、何してる?」

男:「会社始めた」

若い男:「今から!?」

男:「本も作ってる」

若い男:「まだ!?」

男:「映画も作りたい」

若い男:

「これから!?」

男:「うん!」

若い男、首をかしげる。

「俺が想像してた未来と全然違う……」

男:「悪かったな」

若い男:

「いや……」

少し笑って、

「そっちのほうが面白そう」

男も笑う。


男:「ちなみに、お前が今悩んでること」

若い男:「うん」

男:

「ほとんど何とかなるぞ」

若い男:「本当!?」

男:

「その代わり、想像もしなかった問題が山ほど来る」

若い男:

「未来の俺、全然安心させてくれない!!」

男:

「安心しろ」

若い男:「何を!?」

男:

「65歳になっても、まだ分かってない」

若い男:

「そこは分かっとけよ!!」




いかがでしたか?笑っていただけましたか?

若い頃に想像していた未来の自分。

もっと立派で、もっと落ち着いていて、人生の答えも全部知っていると思っていました。

ところが実際に来てみると――

まだ迷ってる。
まだ夢を見てる。
まだ何か始めようとしてる。

人生、だいたい予定外。

でも25歳の自分に会えたなら、こう言われたいですね。

「予定と違うけど、その人生、結構面白そうじゃん」

……そして65歳の自分は答えるでしょう。

「うん。俺も今、そう思ってる(笑)」