【第3章】仕事は想定外でできている

――仕事とは、予定していなかった仕事をすること。

【登場人物】
・男
・前任者
・取引先

前任者:「引き継ぎ資料、作っておきました!」

男:「ありがとうございます!」

分厚いファイル。

全120ページ。

男:「すごい……完璧ですね」

前任者:「全部書いてあります!」

男:「安心しました!」

前任者:「じゃ、お疲れさまでした!」


翌日。

取引先から電話。

取引先:「例の件、どうなりました?」

男:「例の件?」

資料を探す。

ない。

男:「すみません。何の件でしょう?」

取引先:

「御社にとって一番大事な案件です」

男:「ええっ!?」

120ページを必死にめくる。

ない。


男、前任者に電話。

男:「一番大事な案件、資料にありません!」

前任者:

「ああ、それね」

男:「どこに書いてあります?」

前任者:

「書いてないよ」

男:「え?」

前任者:

「大事だから、昨日口頭で説明したじゃん」

男:「……いつ?」

前任者:

「エレベーターの中」

男:「あの30秒!?」

前任者:

「うん。完璧に引き継いだ」

男:

「120ページより30秒が本編だったのかよ!!」


男、引き継ぎ資料の表紙に赤ペンで書く。

『重要事項』

そしてその下に――

「前任者を退職させない」




いかがでしたか?笑っていただけましたか?

引き継ぎ資料120ページ。

でも一番大事なことは――

エレベーターで30秒。

仕事の情報量と重要度は、比例しないようです。

そして最高の引き継ぎ方法は、

前任者をずっと隣に置いておくことかもしれません(笑)。