【第2章】計画だけは完璧

――予定表の中では、誰もが成功者。


【登場人物】
・男
・妻

1月1日。

男、新品の手帳を開く。

男:「今年は違う!」

妻:「毎年聞いてるけど」

男:「今年こそ計画的に生きる!」

妻:「去年も言ってた」

男:「去年の俺と今年の俺を一緒にするな!」

妻:「昨日まで去年のあなたよ」


男、机に向かう。

男:「まず年間目標を決めよう」

カキカキ。

『今年の目標』

・仕事を充実させる
・毎日運動する
・本を50冊読む
・資格を取る
・旅行する
・貯金する
・早寝早起き

男:「完璧!」

妻:「いつやるの?」

男:「それを今から計画する!」


翌日。

男:「まず月間計画を作ろう」

翌々日。

男:「週間計画も必要だな」

さらに翌日。

男:「一日の時間割も作ろう」

妻:「まだ何も始めてないけど?」

男:「焦るな」

男、真剣な顔。

「計画的に始めるための計画を立ててるんだ」

妻:「もう嫌な予感しかしない」


2月。

男:「この手帳、ちょっと使いにくいな」

妻:「え?」

男:「もっと計画しやすい手帳を探そう」

ネットで検索。

3月。

男:「目標管理アプリも必要だな」

4月。

男:「年間計画を一度見直そう」

5月。

男:「上半期の反省を……」

妻:「まだ上半期終わってないわよ」


そして12月31日。

男、手帳を見つめる。

妻:「今年どうだった?」

男:「…………」

妻:「本、何冊読んだ?」

男:「計画表なら50冊分作った」

妻:「運動は?」

男:「年間トレーニング計画は完璧」

妻:「貯金は?」

男:「家計簿のフォーマットを作った」

妻:「資格は?」

男:「受験までのロードマップを……」

妻:

「結局、何を達成したの?」

男、胸を張る。

「計画を立てるという目標は達成した!」

妻:「そんな目標なかったでしょ!」

男:「じゃあ来年の目標に入れよう」

妻:「来年こそ実行しなさい!」

男、新しい手帳を開く。

『来年の目標① 計画を立てすぎない』

男:「よし!」

その下に――

『計画を立てすぎないための年間計画』

妻:

「もう始まってる!!」




いかがでしたか?笑っていただけましたか?

新しい手帳を買った瞬間って、不思議です。

まだ何もしていないのに――

ちょっと人生が成功した気になります。

年間計画。
月間計画。
週間計画。

そして気づけば、

計画を実行する時間がない。

予定表の中の自分は、早起きして、運動して、本を読んで、お金も貯める。

現実の自分は――

その予定表を眺めながらコーヒーを飲んでいる。

人生、だいたい予定外。

でも大丈夫。

計画通りにいかなくても、人生は進みます。

ただし――

手帳だけは毎年、ものすごく立派になります。