【登場人物】

・夫
・妻


夜。

夫婦で夕食。

妙に静か。

「……」

「……」

「何か言うことない?」

「いただきます?」

「もう食べ終わるわ!」

「あ……ごちそうさま?」

「そうじゃない!」

夫、考える。

「今日も……元気そうだね。」

「健康観察じゃないのよ。」

「難しいな……。」

「私たちってさ。」

「うん。」

「昔から、気持ちを言葉にするの下手だよね。」

「……そうだね。」

「『ありがとう』とか。」

「うん。」

「『ごめんね』とか。」

「うん。」

「『大事に思ってる』とか。」

夫、黙る。

「ほら、また黙った。」

「いや……」

「何?」

「言おうとすると恥ずかしい。」

妻 少し笑う。

「私も。」

沈黙。

夫が立ち上がり、

妻の空になった湯のみへお茶を注ぐ。

「……ありがとう。」

妻は夫の皿に、

最後に残っていた好物のおかずを置く。

「……ありがとう。」

また沈黙。

「私たち。」

「うん?」

「不器用だね。」

「うん。」

妻、笑う。

「でも、なんで一緒にいられるんだろうね。」

夫、しばらく考える。

「たぶん……」

「うん?」

「二人とも不器用だから。」

「どういうこと?」

「相手の不器用さを――」

妻を見る。

「だいたい翻訳できる。」

妻、吹き出す。

「長年使ってる翻訳機ね。」

夫も笑う。

「精度は?」

「まだ60%。」

「低っ!」

「でも――」

「うん?」

「アップデートは続いてる。」

二人、笑う。

教訓

愛情は、上手に伝えることだけじゃない。長い時間をかけて、相手の不器用さを読めるようになることも愛なのかもしれない。 ❤️


いかがでしたか?笑っていただけましたか?

「ありがとう」が照れくさい。「ごめん」がなかなか言えない。大切な人ほど、素直になれない。人間って、本当に面倒です。でも長く一緒にいると、不思議なことが起こります。

黙ってお茶を入れてくれた。

好きなおかずを残してくれた。

何も言わず、隣にいてくれた。

そんな小さな行動を、

「あ、これはこの人なりの『大好き』なんだな」

と翻訳できるようになります。

もちろん、ときどき誤訳します。

しかも夫婦の場合、同時通訳なのにケンカになります。🤣

それでも翌日には、また同じ食卓に座っている。

完璧に分かり合えない。

だから今日も、分かろうとする。

そんな不器用な二人を見ていると――

やっぱり、人間って愛しい。と思うのです。😊🌈

教訓

長く一緒にいるということは、相手を完璧に理解することではなく、「分からないままでも大切にする技術」が少しずつ上達すること。