【登場人物】
・夫
・妻
夜。
夫婦で夕食。
妙に静か。
妻「……」
夫「……」
妻「何か言うことない?」
夫「いただきます?」
妻「もう食べ終わるわ!」
夫「あ……ごちそうさま?」
妻「そうじゃない!」
夫、考える。
夫「今日も……元気そうだね。」
妻「健康観察じゃないのよ。」
夫「難しいな……。」
妻「私たちってさ。」
夫「うん。」
妻「昔から、気持ちを言葉にするの下手だよね。」
夫「……そうだね。」
妻「『ありがとう』とか。」
夫「うん。」
妻「『ごめんね』とか。」
夫「うん。」
妻「『大事に思ってる』とか。」
夫、黙る。
妻「ほら、また黙った。」
夫「いや……」
妻「何?」
夫「言おうとすると恥ずかしい。」
妻 少し笑う。
妻「私も。」
沈黙。
夫が立ち上がり、
妻の空になった湯のみへお茶を注ぐ。
妻「……ありがとう。」
妻は夫の皿に、
最後に残っていた好物のおかずを置く。
夫「……ありがとう。」
また沈黙。
妻「私たち。」
夫「うん?」
妻「不器用だね。」
夫「うん。」
妻、笑う。
妻「でも、なんで一緒にいられるんだろうね。」
夫、しばらく考える。
夫「たぶん……」
妻「うん?」
夫「二人とも不器用だから。」
妻「どういうこと?」
夫「相手の不器用さを――」
妻を見る。
夫「だいたい翻訳できる。」
妻、吹き出す。
妻「長年使ってる翻訳機ね。」
夫も笑う。
夫「精度は?」
妻「まだ60%。」
夫「低っ!」
妻「でも――」
夫「うん?」
妻「アップデートは続いてる。」
二人、笑う。
教訓
愛情は、上手に伝えることだけじゃない。長い時間をかけて、相手の不器用さを読めるようになることも愛なのかもしれない。 ❤️
いかがでしたか?笑っていただけましたか?
「ありがとう」が照れくさい。「ごめん」がなかなか言えない。大切な人ほど、素直になれない。人間って、本当に面倒です。でも長く一緒にいると、不思議なことが起こります。
黙ってお茶を入れてくれた。
好きなおかずを残してくれた。
何も言わず、隣にいてくれた。
そんな小さな行動を、
「あ、これはこの人なりの『大好き』なんだな」
と翻訳できるようになります。
もちろん、ときどき誤訳します。
しかも夫婦の場合、同時通訳なのにケンカになります。🤣
それでも翌日には、また同じ食卓に座っている。
完璧に分かり合えない。
だから今日も、分かろうとする。
そんな不器用な二人を見ていると――
やっぱり、人間って愛しい。と思うのです。😊🌈
教訓
長く一緒にいるということは、相手を完璧に理解することではなく、「分からないままでも大切にする技術」が少しずつ上達すること。
