【第8章】時間という最大のトリック(人生後半)その3
【登場人物】
・丸山さん
・妻
・AIくん
休日の朝。
机に並ぶ“やるべきことリスト”。
・健康診断の予約
・歯医者
・部屋の片付け
・老後の資金整理
・原稿執筆
丸山さん
「よし……今日は全部やるぞ」
その瞬間。
YouTubeおすすめ。
『昭和の懐かしいCM集』
丸山さん
「うわっ……懐かしい……」
3時間後。
丸山さん、泣きそうな顔。
丸山さん
「昔のCMって、なんであんな刺さるんだ……」
机の紙、1ミリも進んでない。
そこへAIくん登場。
AIくん
「作業進捗率0%です」
丸山さん
「心は動いた!!」
AIくん
「人生は動いていません」
午後。
丸山さん
「よし!まず片付けから!」
引き出しを開ける。
20年前の写真発見。
丸山さん
「若っ!!!」
気づけばアルバム鑑賞会スタート。
妻、通りかかる。
妻
「で、片付けは?」
丸山さん
「思い出の整理をしてる」
妻
「逃避の別名ね」
夕方。
やるべきリストを見つめる丸山さん。
丸山さん
「なぜ人は、大事なことほど後回しにするのか……」
AIくん
「精神的ダメージが大きいからです」
丸山さん
「急に心理学!!」
AIくん
「人間は、“すぐ終わる小さい快楽”を優先します」
その瞬間。
スマホ通知。
『今だけ!どうでもいい雑学ランキング』
丸山さん
「うわ、気になる……」
AIくん
「弱い」
夜。
結局。
・CM見た
・写真見た
・ネット見た
・昼寝した
だけで終了。
妻
「で、今日何やったの?」
丸山さん、遠い目。
丸山さん
「……人生について考えた」
AIくん
「考えただけです」
翌朝。
机の上。
やるべきリストの一番上に、赤字で追加。
『昨日できなかったこと全部』
丸山さん
「増えてるーーー!!」
いかがでしたか?笑っていただけましたか?
人はなぜ、
“本当に大事なこと”ほど後回しにするのでしょう。
たぶんそれは、
大事だからこそ、失敗したくないんですよね。
だからつい、
“昭和CM”に逃げます。
……そして気づくのです。
人生で最も片付いているのは、
YouTubeの視聴履歴だけだったと。
