【第8章】時間という最大のトリック(人生後半)その2

【登場人物】

・丸山さん(64歳)
・若い頃の丸山さん(22歳)
・AIくん


深夜。

押し入れを整理していた丸山さん。

古いノートを発見。

表紙には大きく、

『人生の悩み一覧』


丸山さん
「うわぁ……若い頃のノートか……」

ページを開く。


【22歳の悩み】

・髪型が決まらない
・好きな人にどう思われてるか
・先輩に嫌われた気がする
・電話の声が変だった気がする
・飲み会でスベった


丸山さん、静かに読む。

丸山さん
「……全部どうでもいいな」


そこへAIくん登場。

AIくん
「当時は深刻だったようです」

丸山さん
「いや、“電話の声が変だった”で3日悩んでるぞ」

AIくん
「若者は、それで眠れなくなります」


さらにページをめくる。

『将来、自分は成功できるのか』

『人生、ちゃんと意味あるのか』

『この先、一人だったらどうしよう』


丸山さん、少し止まる。

丸山さん
「……あれ?」

AIくん
「その悩みは現在も継続中です」

丸山さん
「一部、長寿なんだよ!!」


すると突然、若い頃の丸山さんが現れる。

22歳丸山
「未来の俺!!」

丸山さん
「うわっ!!若い!!髪多い!!」

22歳丸山
「俺、将来ちゃんと大丈夫なのか!?」

丸山さん、しばらく考える。


丸山さん
「うーん……」

「大丈夫じゃない時もある」

22歳丸山
「えっ」

丸山さん
「でもな」

「悩んでたこと、だいたい忘れる」


22歳丸山
「え?」

丸山さん
「人間な、“忘れる力”で生きてる」

AIくん
「高性能です」


22歳丸山
「じゃあ、今の悩みも?」

丸山さん
「10年後には、ほぼ覚えてない」

22歳丸山
「マジで!?」

丸山さん
「たぶん今頃、“電話の声”の件とか宇宙に消えてる」


22歳丸山、少し安心する。

しかし最後のページ。

『絶対に忘れない黒歴史』

丸山さん
「あっ、それだけは残るんだよなぁぁ!!」

AIくん
「高画質保存されています」




いかがでしたか?笑っていただけましたか?

若い頃って、“世界が自分を見ている”気がするんですよね。
でも実際は、みんな自分のことで精一杯です。

そして年を重ねると気づきます。

「あの悩み、何だったんだろう……」

と。

ただし――
黒歴史だけは、なぜか4K画質で脳内再生され続けます。