出版・編集その4

【登場人物】

・編集者:校了の瞬間だけ人間に戻れる

・著者:ひらめきが遅れてくる天才

・AIくん:校正AI。危険ワードに敏感


場面1

(深夜の編集部。最後のゲラ)

編集者「…よし。ここ直して、ここ整えて…」

AIくん「誤字脱字:ゼロ。整合性:良好。人間の体力:残り3%」

著者「最後までありがとう…」

編集者「こちらこそ…」


場面2

(編集者、静かに宣言)

編集者「…校了です」

(部屋が一瞬、神聖な空気になる)

AIくん「校了を記録しました。祝福プロトコルを起動します」

(キラキラSEが聞こえた気がする)


場面3

(編集者、椅子にもたれる)

編集者「終わった…世界が静か…」

著者「これで読者に届きますね」

編集者「届きます。たぶん、ちゃんと」


場面4

(その瞬間、著者の目がカッと開く)

著者「……あ」

編集者「(いやな予感)」

著者「あの…第2章の“主人公の名前”…」

編集者「やめて。今は呼吸だけして」

著者「…途中で一回“田中”になってます」

編集者「……」

AIくん「危険ワード検出:途中で一回」


場面5

編集者「確認します」

(検索)

編集者「……本当だ。3行だけ田中」

著者「すみません…“自然に”出ちゃって…」

編集者「自然に出るな、田中!」


場面6

AIくん「提案:全員田中に統一」

編集者「大胆すぎる!」

著者「それはそれで面白いかも…」

編集者「面白さで救うな!」


場面7

(著者、さらに気づく)

著者「あと…ラストの比喩、もっと良くできます」

編集者「今!?校了の直後に!?もっと良く!?!?」

AIくん「危険ワード検出:もっと良く」


場面8

編集者「著者さん、“重大な気づき”って、いつ湧きます?」

著者「だいたい…安心した後です」

編集者「安心すると爆弾が湧くタイプ!?」


場面9(オチ)

(編集者、覚悟を決める)

編集者「…わかりました。校了、取り消します」

AIくん「校了を取り消しました。祝福プロトコルを停止します」

(キラキラが消える)

著者「すみません…」

編集者「いいんです。出版とは…“気づき”との戦いですから」

(数分後、著者がポツリ)

著者「……あ、もう一個気づきました」

編集者「校了って言葉、今後“禁句”にします!!!!」

AIくん「禁句リストに追加:校了」


いかがでしたか?笑っていただけましたか?

「校了です!」って言った瞬間に訪れる、あの“世界が静かになる時間”…からの、著者の「……あ」。

出版界のホラーって、幽霊じゃなくて“重大な気づき”が一番怖いんですよね。

AIくんが警告を出すほど、なぜか人間のひらめきは元気になる不思議。

そして結論——校了はゴールじゃない、気づきのスタートラインです(やめてくれ)。