【登場人物】

・リョウ(観光客。期待値低め)

・エミ(観光客。すぐ好きになる)

・フジタさん(地元民。謙遜が服を着ている)

① 町の入口(昼)

リョウ:この先、何があるんだろ。

エミ:観光地っぽくは…ないね。

(通りかかったフジタさん)

リョウ:すみません、この町って見どころあります?

フジタさん:ああ、ここ?

何もないよ。

エミ:あ、そうなんですね…

フジタさん:(笑顔)

本当に、何もない。

② 5分後(町を歩く)

エミ:……景色、めっちゃ良くない?

リョウ:空が広い。音が静か。

(通りすがりの人)

通行人:こんにちは〜。

エミ:え、知らない人が挨拶してくれる。

③ さらに10分後

エミ:あ、温泉の看板。

リョウ:日帰り入浴?

エミ:あるね。普通に。

(湯けむりのイメージ)

リョウ:何もないって言ってたよね。

④ 食堂前

(湯上がり・ご飯)

エミ:……米が違う。

リョウ:噛むたびに主張してくる。

エミ:自己紹介が強い。

(フジタさん、再登場)

フジタさん:どう?

リョウ:……あの。

エミ:

全部ありますよ。

フジタさん:え?

リョウ:「何もない」の意味、違いすぎます。

⑤ 町の出口(ラスト)

エミ:また来たいね。

リョウ:次は泊まりで。

(フジタさん、手を振りながら)

フジタさん:またおいで。

でも、

何もないから。

リョウ&エミ:

それが一番こわいです。

(暗転)

いかがでしたか?笑っていただけましたか?

「何もないよ」は、新潟の町が使う最強の謙遜ワードです。信じて進むと、景色が良くて、人が優しくて、温泉があって、米が主役で――結果、全部あります。

観光地アピールをしない町ほど、記憶に残る。派手さはないのに、なぜかまた来たくなる。

つまり「何もない」は、「時間を忘れていい場所」の合言葉。うっかり信じた人から、静かにハマっていきます。