【登場人物】

・美咲(みさき)…新潟在住。神戸に帰省する女性。プロペラ機は人生初。

・客室乗務員(CA)…穏やかで頼れる。笑顔が強い。

・隣席のおじさん…飛行機慣れしてる風を出す人。

【場面】

新潟空港。美咲は「タキエア」で神戸へ帰省。

搭乗口の先に、プロペラ機が待っている。

美咲「えっ…プロペラ…回ってる…!

(心の声)これ、飛ぶ前から“元気”すぎない?」

隣席のおじさん「初めて? これね、“音と振動を楽しむ乗り物”だよ」

美咲「楽しむ…? 私、移動のつもりで来たんですけど」

(離陸。機体が揺れる)

美咲「うわっ……!

(心の声)地面とケンカしてる!」

隣席のおじさん「ほら、プロペラは生き物だから」

美咲「生き物って言われると余計こわい!」

(CAがすっと近づく)

CA「大丈夫ですか? お飲み物いかがなさいます?」

美咲「(震えながら)い、今…飲める状態じゃ…」

CA「では“深呼吸”をどうぞ。吸って、吐いて。

揺れは、飛行機がちゃんと空気をつかんでる証拠です」

美咲「……空気をつかむ……

(心の声)CAさん、言葉の持ち方がプロ」

(もう一度揺れる)

美咲「ひぃっ!」

CA「あ、今のは“新潟の風”ですね。

新潟の風は、最後まで自己主張が強いんです」

美咲「新潟の風、見送りまで押しが強い!」


(少し落ち着く美咲)

美咲「…でも、なんか…クセになりますね。

ジェット機より“旅してる感”がある」

隣席のおじさん「そうそう。音がBGMになるんだ」

【ラスト】

神戸に到着。

美咲「ありがとうございました…!

(心の声)スリルはあったけど、CAさんのホスピタリティで助かった…」

降り際、CAがにこっと言う。

CA「おかえりなさい、神戸へ。

そしてまた、新潟へ“お戻り”くださいね。風が待ってます」

美咲「待たなくていいです、風は!!」

(プロペラの音が、なぜか“新潟の実家の換気扇”に聞こえた美咲だった。)


いかがでしたか?笑っていただけましたか?

プロペラ機に初めて乗ったときの、

あの「え、想像より生身じゃない?」という感覚。

音・振動・距離感すべてがダイレクトで、

ジェット機という文明のありがたみを一瞬で思い出させてくれます。

でも、そんなスリルをふわっと受け止めてくれるのが

客室乗務員さんのホスピタリティ。

揺れは説明できても、不安は“言葉”でしか和らがないんですよね。

あの一言で、人はちゃんと空を飛べる。

そして最後に残るのは、

「ちょっと怖かったけど、なんだか楽しかった」という不思議な余韻。

それってもう、立派な“旅の思い出”です。

タキエアで帰省して、神戸に着いたはずなのに、耳の奥にまだ新潟の風が残っている——

そんな人が、また新潟に戻ってくるんだと思います。