【登場人物】
・ユイ…小学生。楽しく作りたい派。
・父(健)…なぜか職人スイッチが入る。
・近所の佐藤さん…元・美術部。張り合いがち。
・審査員の会長…公平と言いながら好みが顔に出る。
【場面】
町内の広場。日曜の午後。
「雪だるまコンテスト」が開催され、子どもたちが集まっている。
…のはずが、大人の目がギラついている。
会長「ルールは簡単!雪で作れば何でもOK!子どもたち、楽しんでね〜!」
父(健)「よしユイ、まずは雪質チェックだ」
ユイ「え、雪質…?」
父「今日は水分多め。造形向き。勝てる」
ユイ「勝つイベントなの!?」
隣で佐藤さんが腕まくりしている。
佐藤さん「健さん、今年も出るんですね」
父「もちろん。去年は“目が左右非対称”で負けた…」
ユイ「負けた理由そこ!?」
ユイ「私は普通の雪だるま作る〜。目は木の実で、マフラーつけて…」
父「普通はダメだ。普通は埋もれる」
ユイ「雪だけに?」
(父、急に道具箱を取り出す)
ユイ「なにそれ!」
父「ピーラー。彫刻刀。計量カップ」
ユイ「雪だるまに計量カップ使う人初めて見た」
父「比率が大事なんだ。“頭:胴体=1:1.8”」
ユイ「もう建築じゃん」
一方、佐藤さんは雪で“龍”を作り始めている。
ユイ「……雪だるまじゃないよ?」
佐藤さん「だるまの“概念”を超えました」
父「くっ…芸術点狙いか…!」
【審査】
子どもたちの可愛い雪だるまが並ぶ中、
なぜか“作品展”みたいなゾーンがある。
会長「えー、最優秀賞は……」
(会長、父の作品を見る)
そこには、なぜか“米俵を抱えた雪だるま”がいる。
会長「…新潟愛が強い!」
(会長、佐藤さんの龍を見る)
会長「…怖い!すごいけど怖い!」
【ラスト】
会長「最優秀賞は——ユイちゃんの雪だるま!」
父「えっ」
ユイ「やったー!」
会長「理由は簡単。 “いちばん雪だるまが幸せそうだった”から!」
父「評価基準が優しすぎる…」
佐藤さん「……龍、幸せそうにしとけばよかったか」
(翌年、町内に“幸せそうな龍”が増える予感がした。)
