【登場人物】

・悠斗…新潟在住。雪国歴=年齢。

・翔太…東京から遊びに来た友人。オシャレ重視。

【場面】

新潟駅前。横殴りの雪。

改札から、キメ顔の翔太が登場。

翔太「よっ! 新潟〜! どう? このコート!」

(膝上までの薄いウールコート・足元は白スニーカー)

悠斗「……あのさ」

翔太「ん?」

悠斗「まず謝ろっか。スニーカーに」


翔太「東京じゃ“冬のおしゃれ最終形態”なんだけど?」

悠斗「ここでは“これから転びます”のコスプレだよ」

(外に一歩出る)

翔太「うわ、雪! 思ったより全然すご……

 つめたっ!? 足首に雪入った!!」

悠斗「だから言ったじゃん、“足首は出すな、命と同じ”って」

歩道の端、雪の段差。

翔太「うおっ!?(ズボッ)」

片足、綺麗に埋まる。

翔太「ちょっと待って!? ここ、見た目は地面じゃなかったの!?」

悠斗「それ、“地面のふりした雪の穴”ね。新潟名物だよ」

数分後、近くの店で借りた長靴&ダウンに着替えた翔太。

悠斗「はい、これが“新潟標準スキン”です」

翔太「さっきまでの俺のコート、どうなった?」

悠斗「今、“椅子にかかった東京”になってる」

翔太「せめてクリーニングまでは生かしてあげて

外に出る2人。

翔太「……でもさ」

悠斗「うん?」

翔太「長靴、めっちゃ安心感あるな。

 オシャレより“こけない安心”のほうがカッコいいかも」

悠斗「気づいたね。雪国のファッションチェック、評価基準は“転ばないかどうか”だから」

(その日、翔太のSNSには

 オシャレコートではなく、

 なぜか長靴姿の自撮りがアップされたのだった)


いかがでしたか?笑っていただけましたか?


東京で「冬のおしゃれ最終形態」だった薄手コートと白スニーカーが、

新潟に来た瞬間「これから転びます」のフラグ衣装になるあたり、

ファッションって本当に“環境依存型”だなぁと思いながら書きました。


雪国の現実は、

コーデよりもまず「足首を出さない」「滑らない」「しみてこない」が最優先。

その結果たどり着くのが、

だいたいみんな同じような**長靴+分厚いアウターの“新潟標準スキン”**なんですよね。


でも、最後に東京の友人が

「オシャレより“こけない安心”のほうがカッコいいかも」と気づいた時点で、

もう心の中ではすっかり雪国民。

次に来るときはきっと、

最初から長靴で降り立つ“わかってる観光客”になっていることでしょう。