【登場人物】
- ユウタ:気をつかいがちな同居人
- ナナ:同じく気をつかいがちな同居人
夕食後、ソファ。
ユウタ「お風呂、先どうぞ。」
ナナ「いやいや、ユウタから入って?疲れてるでしょ?」
ユウタ「レディーファーストで。」
ナナ「ここ日本だし。」
沈黙。
お風呂だけがポコポコ沸いている。
エアコンの前。
ナナ「寒くない?」
ユウタ「全然。ナナが暑くないなら、そのままでいいよ。」
ナナ「私はユウタが快適なら、それでいいよ。」
ユウタ「じゃあ、“ナナが快適な温度”が俺の快適。」
ナナ「“ユウタのちょい快適”が私の快適。」
2人「…………ややこしい。」
テレビのリモコンを挟んで。
ユウタ「なに観る?」
ナナ「ユウタの好きなやつでいいよ。」
ユウタ「いや、ナナが観たいのを——」
ナナ「でも私、ユウタが楽しそうにしてるの観るのが好きだから——」
最終的に、どちらも選べずニュース番組に落ち着く。
ナナ「なんか、“誰も悪くないのに疲れる同居”だね。」
ユウタ「気遣いも、カロリー高いね……。」
寝る前、布団の中。
ナナ「明日からさ、
“どっちが気をつかわないか選手権”しない?」
ユウタ「いいね。優勝したほうが、好きな番組決めていいルールで。」
ナナ「……でも負けたら悪い気がする。」
ユウタ「もうその時点で優勝遠い。」
いかがでしたか?笑っていただけましたか?
気をつかい合うのは素敵ですが、行きすぎると「優しさで自滅する同居生活」になりますよね。
ほどよくワガママを言い合える関係が、いちばん省エネかもしれません。
