【登場人物】


  • ナオ:昼はやる気ゼロ、夜になると急に片づけスイッチオン
  • ユウコ:同居人。明日朝が早い
  • 上の階の人(声だけ):常識的な人





夜23:58、リビング。


ナオ「……あ、この雑誌、半年ここに置きっぱなしだ。」

ユウコ「そうだね。じゃ、おやすみ。」


ナオ「……今、急に分かった。」

ユウコ「何が?」

ナオ「“今こそ大掃除の時”だって。」

ユウコ「時期も時間も間違ってる。」




0:10。

ナオ、突然クローゼットを開ける。


ナオ「なんで私、こんな服持ってるんだろう。」

ユウコ「知らないけど、今それやる?」

ナオ「“今”しかできない気がする。」

ユウコ「それ毎回言ってる。」




0:30。

掃除機を取り出すナオ。


ユウコ「ちょっと待って!深夜0時の掃除機は隣人にバトルを仕掛けてるのと同じだよ。」

ナオ「でも床が、私に“今だよ”って……。」

ユウコ「床の声は朝聞いて。」




モップに切り替えて拭きはじめるナオ。


ナオ「見て、このホコリ!私、今日から生まれ変わる!」

ユウコ「その台詞、年に5回聞いてる。」




0:45。

テーブルの上も整理しはじめる。


ナオ「ここに住んでるの、私じゃなくて“散らかった物たち”だったんだ……。」

ユウコ「名言っぽく言っても夜中は夜中。」


天井からドンッと音がする。


上の階の人(声)「すみませーん!今、掃除してませんかー!?」

ナオ「バレた。」

ユウコ「そりゃそうだ。」




1:00。

部屋はそこそこキレイになった。


ユウコ「……まあ、キレイにはなったね。」

ナオ「でしょ?やっぱり“深夜の私”が一番仕事できる。」

ユウコ「明日の朝の“寝坊した私”が全部チャラにするけどね。」




いかがでしたか?笑っていただけましたか?

掃除スイッチって、なぜか一番まわしちゃいけない時間に入りますよね。

“今じゃない”と分かりつつも動き出しちゃう自分との戦い、ご経験ある方も多いのでは…。