【登場人物】

・ミカ(40代女性、日本酒好きOL)

・居酒屋の店主

・友人リサ




(夜。行きつけの居酒屋「酔いの道」にて)


ミカ(すでに上機嫌):

「ねぇリサ、今日こそ“景虎”で乾杯よ!」


リサ:

「またそれ? 毎週飲んでるじゃない。」


ミカ:

「違うのよ、今日は“特別純米”の気分なの。

辛口なのに、後味に優しさがあるの…あの人みたいに…。」


リサ:

「誰よ、“あの人”って。」


ミカ(真顔で):

「景虎よ。」


リサ:

「え、酒!?」




(店主が笑いながらおちょこを差し出す)


店主:

「ミカさん、今夜も恋人に会いに来たんですね。」


ミカ(うっとり):

「はい。“冷や”の姿も“ぬる燗”の顔も、どちらも惚れます…。」


リサ:

「ねぇ、それ人間に言うセリフだよ。」


ミカ:

「だって…景虎は裏切らないもの!」




(しばらくして)


ミカ(酔いながらスマホを握る):

「ねぇリサ、私決めた。景虎の蔵元に就職する。」


リサ:

「えぇ!?まさかの“酒に嫁ぐ”宣言!?」


ミカ(きっぱり):

「“愛する人のそばで働く”のが夢だったの!」


店主:

「……でも景虎、瓶詰めですけどね。」


ミカ(ぐっと涙目で):

「…いいの、無口な人ほど深いのよ。」


リサ:

「そのうち“二升目の妻”とか呼ばれるよ!」




(エンディング)


翌朝、SNSにて。

ミカの投稿:

《景虎と出会って人生が変わりました。#推し酒 #越後の彼氏 #二日酔いは恋の証》


(コメント欄:

「ついに人間やめたな」

「ラベルと結婚したら?」)


いかがでしたか?笑っていただけましたか?😆🍶


実は「景虎」は、私の大好きな日本酒です。

バブルの頃には、赤坂の料亭の女将が「土下座しても手に入らない」と語られるほど、希少な一本でした。どうしてもその味を確かめたくて、私は当時関わっていた雑誌の取材を名目に、蔵元を訪ねることにしました。


蔵の人たちは丁寧に酒造りの工程を見せてくださり、最後に一杯、念願の「景虎」を味わわせていただきました。ひと口含んだ瞬間、まろやかで芯の通った旨味が広がり、まさに“雪深い新潟の水の味”がしのです。


以来、このお酒を口にするたび、あの蔵の思い出と、蔵の人々の誠実な笑顔を思い出します。

本当にありがとうございました。^_^