【登場人物】
- タカシ(50代・主人公、卒業アルバムを読み返す中年男性)
- カズオ(タカシの同級生)
- 妻
【場面】
実家の押し入れで見つけた卒業アルバムを久々に開くタカシ。
タカシ(懐かしそうに)
「うわ〜…これが中3の時の卒業アルバムかぁ。懐かしいな〜。あ、これ俺。…若っ!」
妻(横からのぞきこむ)
「へぇ〜、意外とかわいい顔してたのね。誰この横の人、“カズオ”くん?コメントに『百恵命』ってだけ書いてあるけど?」
タカシ
「ああ…カズオな…。あいつ、山口百恵のこと本気で好きだったからな。授業中も『イミテイション・ゴールド』口ずさんで先生に怒られてたし。」
妻
「でも“百恵命”だけって…もっと他に書くことあったでしょ(笑)」
タカシ(笑いながら)
「そうそう。でもあれから30年以上たっても…」
(突然スマホが鳴る)
タカシ
「あ、カズオからだ。久しぶりだな。もしもし?おお〜!元気?…え?今どこって?…えぇ!?百恵神社!?何それ!?」
【テロップ:】
「彼はいま、勝手に作った“百恵神社”の宮司をしている。」
いかがでしたか?笑って頂けましたでしょうか?
昭和の教室で、卒業アルバムを開くたびに必ず話題にのぼる“あの一言”。
「百恵命(ももえ・いのち)」とだけ書かれた自己紹介欄。そう、彼は本気だったのです。アイドルへの愛を全力でぶつけるその姿勢に、笑いとちょっぴりの羨望を込めて描きました。
SNSも推し活もなかったあの頃、ただひとつの言葉にすべてを託した熱き青春。
誰にでもある、“誰かを全力で好きだった”あの時代に、そっとエールを送る一編です。
